Brush Up! 権利の変動篇
抵当権の過去問アーカイブス 平成11年・問4
賃料への物上代位・抵当権設定後の賃貸借
Aは,Bからの借入金で建物を建築し,その借入金の担保として当該建物に第一順位の抵当権を設定し,その登記を行った。この登記の後,Aが,Cとの間で本件建物の賃貸借契約を締結した場合,民法の規定及び判例によれば,次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成11年・問4) |
1.「AがCに対して賃貸借契約に基づき賃料債権を有している場合,Bは,建物に対する抵当権に基づく差押えの前であっても,当該賃料債権を抵当権に基づき差し押えることができる。」 |
2〜4 旧395条の短期賃貸借は廃止されたため,掲載を見合わせました。旧395条の短期賃貸借は附則5条の経過措置で出題される可能性があります。 |
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【正解】
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○ |
1.「AがCに対して賃貸借契約に基づき賃料債権を有している場合,Bは,建物に対する抵当権に基づく差押えの前であっても,当該賃料債権を抵当権に基づき差し押えることができる。」 |
【正解:○】 ◆物上代位 抵当権者は,抵当権実行の前であっても,債務不履行があれば,当該賃料債権を抵当権に基づき差し押えることができます。(最高裁・平成元.10.27) ●物上代位 抵当権では,同一性が認められる限り,抵当権の目的物が売却・滅失・毀損・賃貸によって抵当不動産の所有者が受けるべき,『目的物に代わるもの』に対しても,その効力が及びます。これを物上代位といいます。(372条による304条の準用) 目的物に代わるものとしては,火災保険金請求権・不法行為に基づく損害賠償請求権・土地収用の補償金・替地・賃料〔転貸賃料は判例で否定されている。(最高裁・平成12.4.14)〕・売買代金 などがあります。 ただし,抵当権者は,その払渡し又は引渡しの前に差押えをすることが必要です。(372条による304条の準用) ●盲点 賃料に対する物上代位権の行使は,被担保債権が債務不履行 (履行遅滞など) になっていることが必要です。
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●転貸賃料債権に対して物上代位はできない |
・抵当権者は,抵当不動産の賃借人を所有者〔賃貸人〕と実質的に同視できる場合を除いて,賃借人の転貸賃料債権について物上代位権を行使することはできない。〔賃借人は転貸賃料を被担保債権の弁済に供せられるべき立場にはない。〕(最高裁・平成12.4.14) 抵当権者 |
〔問4〕 削除した原題
2 AC間の賃貸借契約の契約期間が2年であり,その契約期間の満了に当たりAC間の合意でさらに2年間契約を更新した場合でも,当初の契約締結時から3年を経過した時点で,その賃貸借契約は終了する。 3 AC間の賃貸借契約の契約期間が4年であった場合でも,契約締結時から3年間は,Cは,Bに対して賃借権を対抗することができる。 4 AC間で契約期間を3年とする賃貸借契約を締結したため,建物の担保価値が下落し,Bの被担保債権全額の弁済を受けられなくなった場合でも,Bは,契約締結時から3年間は,Cの賃借権を認めるほかはない。 |