法令上の制限 実戦篇
土地区画整理法の過去問アーカイブス 平成元年・問26 保留地・換地処分
土地区画整理事業 (以下この問において「事業」という。) の換地処分に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成元年・問26) |
1.「土地区画整理事業組合が施行する事業における保留地は,換地処分の公告があった日の翌日に,都道府県が取得する。」 |
2.「換地処分の公告があった場合において,施行地区内の土地について事業の施行により変動があったときは,当該土地の所有者は,遅滞なく,当該変動に係る登記を申請しなければならない。」 |
3.「換地処分は,換地計画に係る区域の全部についてしなければならない。」 |
4.「施行者は,清算金の徴収及び交付の完了後,遅滞なく,換地処分を行わなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「土地区画整理事業組合が施行する事業における保留地は,換地処分の公告があった日の翌日に,都道府県が取得する。」 |
【正解:×】昭和56年・問26・肢2,平成元年・問26・肢1,4年・問27・肢4,10年・問23・肢2 ◆保留地の取得 換地計画において定められた保留地は,換地処分の公告があつた日の翌日に,施行者が取得する。(104条11項) 本肢での施行者は土地区画整理組合なので,保留地は土地区画整理組合が取得する。<都道府県が取得>とする本肢は誤りである。 |
2.「換地処分の公告があった場合において,施行地区内の土地について事業の施行により変動があったときは,当該土地の所有者は,遅滞なく,当該変動に係る登記を申請しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆『換地処分による変動』に係る登記申請 本肢では,<換地処分の公告があった場合において,施行地区内の土地について事業の施行により変動があったとき>という107条2項の文言をそのまま使っているために,わかりにくくなっている。このような場合に備え,条文を見ておく必要があるだろう。 本肢で問うているのは,『換地処分で確定した土地・建物についての権利関係の変動に係る登記を申請できるのは誰か』ということである。 換地処分の公告があったということは,どの土地が誰のものになるか,換地による権利関係が確定したことを意味する。〔換地計画において定められた換地は,その公告があつた日の翌日から従前の宅地とみなされる〕(104条1項) 施行者は,換地処分の公告があった場合は,直ちに換地計画に係る区域を管轄する登記所にその旨を通知して(107条1項),土地区画整理事業の施行による変動の登記を遅滞なく申請又は嘱託しなければならない(107条2項)。 したがって,<当該土地の所有者は当該変動に係る登記を申請しなければならない。>とする本肢は誤りである。 |
●条文確認 |
(換地処分に伴う登記等) 第107条 施行者は、第103条第4項の公告〔換地処分の公告〕があつた場合においては、直ちに、その旨を換地計画に係る区域を管轄する登記所に通知しなければならない。 2 施行者は、第103条第4項の公告〔換地処分の公告〕があつた場合において、施行地区内の土地及び建物について土地区画整理事業の施行に因り変動があつたときは、政令で定めるところにより、遅滞なく、その変動に係る登記を申請し、又は嘱託しなければならない。 3 第103条第4項の公告〔換地処分の公告〕があつた日後においては、施行地区内の土地及び建物に関しては、前項に規定する登記がされるまでは、他の登記をすることができない。但し、登記の申請人が確定日付のある書類によりその公告前に登記原因が生じたことを証明した場合においては、この限りでない。 4 施行地区内の土地及びその土地に存する建物の登記については、政令で、不動産登記法 (明治32年法律第24号)の特例を定めることができる。 |
3.「換地処分は,換地計画に係る区域の全部についてしなければならない。」 |
【正解:○】 ◆換地処分 換地処分は,換地計画に係る区域の全部について,原則として土地区画整理事業の工事が完了した後に遅滞なく行うことになっている。〔規準・規約・定款・施行規程に別段の定めがあるときは公共施設などの工事の一部が完了していなくても換地処分を行うことができるが,この場合でも宅地部分の工事は完了している。〕(103条2項) |
4.「施行者は,清算金の徴収及び交付の完了後,遅滞なく,換地処分を行わなければならない。」 |
【正解:×】 ◆清算金は,換地処分の公告の翌日に確定する 換地計画で定められた清算金は,換地処分の公告のあった日の翌日に確定する。(104条8項) 施行者は,換地処分の公告があった場合には,確定した清算金の徴収や交付を行う。(110条1項) したがって,<清算金の徴収及び交付の完了後,遅滞なく,換地処分を行わなければならない>という本肢は順序が逆である。 ▼仮清算金の徴収・交付 施行者は,『仮換地を指定した場合』又は『換地計画において換地を定めないこととされる宅地について使用・収益することを停止させた場合』において,必要があると認めるときは,仮清算金を,清算金の徴収又は交付の方法に準ずる方法により徴収し,又は交付することができる。(102条1項) |
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