法令上の制限 実戦篇

都市計画法の過去問アーカイブス 平成18年・問18 地域地区・都市計画制限

地区計画・事業地内の制限・都市計画事業の認可及び承認・特別用途地域


都市計画法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成18年・問18)

1 地区計画は、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい施設を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全をするための計画であり、用途地域が定められている土地の区域においてのみ定められる。

2 都市計画事業の認可の告示があった後においては、当該都市計画事業を施行する土地内において、当該事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事等及び当該事業の施行者の許可を受けなければならない。

3 都市計画事業については、土地収用法の規定による事業の認定及び当該認定の告示をもって、都市計画法の規定による事業の認可又は承認及び当該認可又は承認の告示とみなすことができる。

4 特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区である。

<コメント>  
 この問題の正答率は60%台なので,確実に得点しなければならない問題です。
 都市計画法は苦手意識を持つ方が多いのですが,出題されるものは限られているので,3問とも正解することは可能です。

 肢3は初出題なので知らなかった方が多いと思います。しかし,肢1,2,4とも頻出問題なので,肢4が正解肢だと気づくのは容易だったと思われます。
●出題論点●
 (肢1)地区計画を定めることができる区域。

 (肢2)事業地内の建築制限など−知事等の許可が必要。

 (肢3)都市計画事業については,土地収用法の規定による事業の認定は行なわず,
    都市計画事業の認可又は承認をもってこれに代えるものとされる。

 (肢4)特別用途地域の定義

【正解】

× × ×

 正答率  64.7%

1 地区計画は、建築物の建築形態、公共施設その他の施設の配置等からみて、一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい施設を備えた良好な環境の各街区を整備し、開発し、及び保全をするための計画であり、用途地域が定められている土地の区域においてのみ定められる。

【正解:×頻出問題

◆地区計画

 地区計画は,建築物の建築形態,公共施設その他の施設の配置等からみて,一体としてそれぞれの区域の特性にふさわしい態様を備えた良好な環境の各街区を整備し,開発し,及び保全するための計画

 地区計画は,「用途地域が定められている土地の区域」,「用途地域が定められていない土地の区域のうち,一定の要件を満たす区域」に定めることができます(都市計画法12条の5第1項)

 用途地域が定められていない土地の区域で地区計画が定められるのは以下の区域です。

イ 住宅市街地の開発その他建築物若しくはその敷地の整備に関する事業が行われる、又は行われた土地の区域

ロ 建築物の建築又はその敷地の造成が無秩序に行われ、又は行われると見込まれる一定の土地の区域で、公共施設の整備の状況、土地利用の動向等からみて不良な街区の環境が形成されるおそれがあるもの

ハ 健全な住宅市街地における良好な居住環境その他優れた街区の環境が形成されている土地の区域

2 都市計画事業の認可の告示があった後においては、当該都市計画事業を施行する土地内において、当該事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行おうとする者は、都道府県知事等及び当該事業の施行者の許可を受けなければならない。

【正解:×頻出問題

◆事業地内の建築等の制限

 ・・・都道府県知事等及び当該事業の施行者の許可

 ・・・都道府県知事等の許可

 都市計画事業の認可等の告示があった後は,当該事業地内において,都市計画事業の施行の障害となるおそれがある以下の行為を行おうとする者は,都道府県知事等(市の区域内では市長)の許可を受けなければなりません(都市計画法65条1項)

・土地の形質の変更,

・建築物の建築その他工作物の建設,

・政令で定める移動の容易でない物件の設置若しくは堆積

都道府県知事等は,許可の申請があつた場合に,その許可を与えようとするときは,あらかじめ,施行者の意見をきかなければならない(都市計画法65条2項)。 ⇒ 都道府県が施行者とは限らないため。

3 都市計画事業については、土地収用法の規定による事業の認定及び当該認定の告示をもって、都市計画法の規定による事業の認可又は承認及び当該認可又は承認の告示とみなすことができる。

【正解:×初出題,〔関連〕昭和54年・肢3,

◆都市計画事業の認可または承認

 本肢は,「土地収用法の規定による事業の認定及び当該認定の告示」と「都市計画法の規定による事業の認可又は承認及び当該認可又は承認の告示」の関係が逆になっています。

 都市計画事業については,土地収用法の規定による事業の認定(土地収用法第20条)は行なわず,都市計画事業の認可又は承認(都市計画法59条)をもつてこれに代えるものとされます。

 また,この都市計画事業の認可等の告示をもつて,土地収用法の規定による事業の認定の告示(土地収用法第26条第1項)とみなします(都市計画法70条1項)

●都市計画事業の施行者
(施行者)
第59条
 都市計画事業は、市町村が、都道府県知事(第一号法定受託事務として施行する場合にあつては、国土交通大臣)の認可を受けて施行する。

2  都道府県は、市町村が施行することが困難又は不適当な場合その他特別な事情がある場合においては、国土交通大臣の認可を受けて、都市計画事業を施行することができる。

3  国の機関は、国土交通大臣の承認を受けて、国の利害に重大な関係を有する都市計画事業を施行することができる。

4  国の機関、都道府県及び市町村以外の者は、事業の施行に関して行政機関の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においてこれらの処分を受けているとき、その他特別な事情がある場合においては、都道府県知事の認可を受けて、都市計画事業を施行することができる。

4 特別用途地区は、用途地域内の一定の地区における当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等の特別の目的の実現を図るため当該用途地域の指定を補完して定める地区である。

【正解:頻出問題

◆特別別用途地区

 特別用途地区は,用途地域内に重ねて指定され,当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進,環境の保護等の特別の目的の実現を図るために,当該用途地域の指定を補完して定める地区です(都市計画法9条13項)


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