法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 昭和61年・問24 条例による制限


建築基準法に定める地方公共団体の条例に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和61年・問24)

1.「都市計画区域内の建築物の敷地は,原則として,道路に2m以上接しなければならないとされているが,地方公共団体は,条例で,特殊建築物の敷地と道路との関係について制限の附加又は緩和を定めることができる。」

2.「特別用途地区内においては,地方公共団体は,その地区の指定の目的のため必要があると認める場合に,国土交通大臣の承認を得て,条例で用途地域における建築物の用途に関する制限を緩和することができる。

3.「景観法第74条第1項の準景観地区内においては,市町村は,良好な景観の保全を図るため必要があると認めるときは,条例で,建築物の高さ,壁面の位置その他の建築物の構造又は敷地に関して必要な制限を定めることができる。」

4.「市町村は,地区計画の区域 (地区整備計画等が定められている区域に限る) 内において,建築物の敷地,構造,建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画の内容として定められたものを,条例で,これらに関する制限として定めることができる。」

【正解】

×

1.「都市計画区域内の建築物の敷地は,原則として,道路に2m以上接しなければならないとされているが,地方公共団体は,条例で,特殊建築物の敷地と道路との関係について制限の附加又は緩和を定めることができる。」

【正解:×昭和58年・問22・肢4,昭和59年・問22・肢3,昭和61年・問24・肢1,平成4年・問22・肢4,平成8年・問25・肢4,平成12年・問24・肢3,

◆敷地と道路の関係についての条例による制限の付加

 地方公共団体は,建築物の敷地と道路との関係について条例で,制限を「付加する」ことはできますが,「緩和する」ことはできないので,<制限の附加又は緩和を定めることができる>とする本肢は誤りです。⇒「又は」というと,どちらか一方,つまり,緩和することができる場合があることになるので誤りになります。

 建築物の敷地が幅員4m以上の道路に2m以上面していても,

建築物の用途(特殊建築物)又は規模の特殊性(階数が3以上である建築物,政令で定める窓その他の開口部を有しない居室を有する建築物,延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物)により,

 接道義務の建築基準法の規定だけでは避難又は通行の安全の目的を充分に達し難いと認める場合においては,地方公共団体は,条例で,敷地・建築物と道路との関係について必要な制限を付加することができる,となっています。(建築基準法・43条2項)

具体的な制限の付加の中身は、

  ・敷地の接する道路の幅員 (幅員4m以上というのを変更する)
  ・その敷地が道路に接する部分の長さ (道路に2m以上接するというのを変更する)
  ・その他

となっています。

2.「特別用途地区内においては,地方公共団体は,その地区の指定の目的のため必要があると認める場合に,国土交通大臣の承認を得て,条例で用途地域における建築物の用途に関する制限を緩和することができる。

【正解:

◆特別用途地区

 特別用途地区は,当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進や環境保護等の特別の目的の実現を図るため,用途地域の指定を補完して定める地域地区です。〔用途地域が指定された区域に重ねて特別用途地区を指定する。〕(都市計画法・9条13項)

 地方公共団体は,その地区の指定の目的のため必要があると認める場合に,国土交通大臣の承認を得て,条例で用途地域における建築物の用途に関する制限を緩和することができます。(建築基準法・49条2項)

 特別用途地区  地方公共団体は,

 国土交通大臣の承認を得て,条例で,
 用途地域における建築物の用途に関する制限を
 緩和
することができる。

 地区計画等の区域  市町村は,

 国土交通大臣の承認を得て,条例で,
 用途地域における建築物の用途に関する制限を
 緩和
することができる。

●特別用途地区,特定用途制限地域,用途地域
(特別用途地区)
第49条  特別用途地区内においては、前条
(48条,用途地域)第1項から第12項までに定めるものを除くほか、その地区の指定の目的のためにする建築物の建築の制限又は禁止に関して必要な規定は、地方公共団体の条例で定める。

2  特別用途地区内においては、地方公共団体は、その地区の指定の目的のために必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、条例で、前条(48条,用途地域)第1項から第12項までの規定による制限を緩和することができる。

(特定用途制限地域)
第49条の2  特定用途制限地域内における建築物の用途の制限は、当該特定用途制限地域に関する都市計画に即し、政令で定める基準に従い、地方公共団体の条例で定める。

(用途地域等における建築物の敷地、構造又は建築設備に対する制限)
第50条  第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、工業地域若しくは工業専用地域(以下「用途地域」と総称する。)、特別用途地区特定用途制限地域又は都市再生特別地区内における
建築物の敷地、構造又は建築設備に関する制限で当該地域又は地区の指定の目的のために必要なものは、地方公共団体の条例で定める。

3.「景観法第74条第1項の準景観地区内においては,市町村は,良好な景観の保全を図るため必要があると認めるときは,条例で,建築物の高さ,壁面の位置その他の建築物の構造又は敷地に関して必要な制限を定めることができる。」

【正解:】景観法施行前の問題については,こちらをご覧ください。

◆準景観地区

 市町村は,都市計画区域及び準都市計画区域外景観計画区域のうち,相当数の建築物の建築が行われ,現に良好な景観が形成されている一定の区域について,その景観の保全を図るため,準景観地区を指定することができる。(景観法・74条1項)

 景観法第74条第1項の準景観地区内においては,市町村は,良好な景観の保全を図るため必要があると認めるときは,条例で,建築物の高さ,壁面の位置その他の建築物の構造又は敷地に関して必要な制限を定めることができる。(建築基準法・68条の9第2項)

参考・景観地区の施行後

景観地区内においては、建築物の高さは、景観地区に関する都市計画において
建築物の高さの最高限度又は最低限度が定められたときは、
当該最高限度以下又は当該最低限度以上でなければならない。(建築基準法68条1項)

●集団規定(容積率・建ぺい率・高さ制限・道路関連規定等)が適用される区域
 ・都市計画区域
 ・準都市計画区域
 ・都市計画区域及び準都市計画区域以外の区域のうち「知事指定区域」,「準景観地区」(ただし,準景観地区内では,建築物の高さの最高限度・最低限度,壁面の位置の制限,建築物の敷地面積の最低限度のうち必要な制限)

4.「市町村は,地区計画の区域 (地区整備計画等が定められている区域に限る) 内において,建築物の敷地,構造,建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画の内容として定められたものを,条例で,これらに関する制限として定めることができる。」

【正解:

◆地区計画等の区域での制限

 市町村は,地区計画の区域 (地区整備計画等が定められている区域に限る) 内において,建築物の敷地,構造,建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画の内容として定められたものを,条例で,これらに関する制限として定めることができます。(建築基準法68条の2第1項)

 上の肢2の特別用途地区と同じように,市町村は,用途地域における用途の制限を補完し,当該地区計画等(集落地区計画を除く。)の区域の特性にふさわしい土地利用の増進等の目的を達成するため必要と認める場合においては,国土交通大臣の承認を得て,条例で,用途地域における建築物の用途に関するを緩和することができます。(建築基準法68条の2第5項)

 特別用途地区  地方公共団体は,

 国土交通大臣の承認を得て,条例で,
 用途地域における建築物の用途に関する制限を
 緩和
することができる。

 地区計画等の区域  市町村は,

 国土交通大臣の承認を得て,条例で,
 用途地域における建築物の用途に関する制限を
 緩和
することができる。

●地区計画等の区域での市町村の条例に基づく制限
(市町村の条例に基づく制限)
第68条の2  市町村は、地区計画等の区域(地区整備計画、特定建築物地区整備計画、防災街区整備地区整備計画、歴史的風致維持向上地区計画、沿道地区整備計画又は集落地区整備計画(以下「地区整備計画等」という。)が定められている区域に限る。)内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画等の内容として定められたものを、条例で、これらに関する制限として定めることができる。

5  市町村は、用途地域における用途の制限を補完し、当該地区計画等(集落地区計画を除く。)の区域の特性にふさわしい土地利用の増進等の目的を達成するため必要と認める場合においては、国土交通大臣の承認を得て、第1項の規定に基づく条例で、第48条第1項から第12項までの規定による制限(用途地域)を緩和することができる。


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