宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 平成元年・問37
変更の登録・登録消除・登録欠格事由に該当したときの届出・
宅地建物取引主任者資格登録 (以下「登録」という。) に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成元年・問37) |
1.「登録を受けている者がその本籍 (その者が日本の国籍を有しない場合にあっては,その国籍) を変更した場合,本人が,遅滞なく,当該登録をしている都道府県知事に,変更の登録を申請しなければならない。」 |
2.「登録を受けている者が刑法第208条の罪 (暴行罪) を犯し,科料に処せられた場合,当該登録をしている都道府県知事は,当該登録を消除しなければならない。」 |
3.「登録を受けている者が禁錮刑に処せられた場合,本人が,その刑に処せられた日から30日以内に,当該登録をしている都道府県知事に,その旨を届け出なければならない。」 |
4.「登録を受けている者が死亡した場合,当該登録をしている都道府県知事は,相続人からの届出がなくても,その事実が判明したとき,当該登録を消除しなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「登録を受けている者がその本籍 (その者が日本の国籍を有しない場合にあっては,その国籍) を変更した場合,本人が,遅滞なく,当該登録をしている都道府県知事に,変更の登録を申請しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆変更の登録 −本籍の変更− 取引主任者の資格登録を受けている者は,資格登録簿の登載事項に変更があったときは遅滞なく,変更の登録を申請しなければなりません(宅建業法20条,18条2項)。 本籍は資格登録簿の登載事項なので,本籍を変更したときは,遅滞なく変更の登録を申請しなければなりません。 ●資格登録簿の登載事項 (宅建業法20条,18条2項,施行規則14条の2第1項) 氏名,生年月日,住所,本籍,性別,宅建業者の業務に従事している者はその商号・名称・免許証番号,登録時の実務経験を有する者は新生児の経験年数・内容・従事していた業者の商号(名称,免許証番号),能力を有すると認められた者はその認定内容・年月日。 ●取引主任者証の記載事項 (宅建業法22条の2,施行規則14条の11第1項) 氏名,生年月日,住所,登録番号・登録年月日,交付年月日,有効期間の満了日 |
2.「登録を受けている者が刑法第208条の罪 (暴行罪) を犯し,科料に処せられた場合,当該登録をしている都道府県知事は,当該登録を消除しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆科料では,登録消除にはならない 登録を受けている者〔登録のみで主任者証の交付を受けていない者も含まれる。〕が刑法第208条の罪 (暴行罪) を犯し,罰金刑に処せられた場合,当該登録をしている都道府県知事は,当該登録を消除しなければなりません(宅建業法68条の2第1項第1号,18条1項5号の2)。 しかし,科料は罰金よりも軽いので,登録消除の対象にはなりません。したがって,本肢は誤りです。 |
3.「登録を受けている者が禁錮刑に処せられた場合,本人が,その刑に処せられた日から30日以内に,当該登録をしている都道府県知事に,その旨を届け出なければならない。」 |
【正解:○】 ◆禁錮以上の刑に処せられたときの届出 取引主任者の資格登録を受けている者が禁錮以上の刑に処せられたときは,その旨を30日以内に,登録を受けている都道府県知事に届け出なければなりません(宅建業法・21条・2号)。 |
いつ届け出るか | 届け出る人 | |
死亡した | 事実を知った日から30日以内 | その相続人 |
成年被後見人になった 被保佐人になった |
その日から30日以内 | その後見人 その保佐人 |
営業に関して成年者と 同一の能力を有しなくなる |
本人 | |
破産手続開始の決定があった | ||
業者の免許を取り消された | ||
禁錮以上の刑に処せられた | ||
宅建業法違反・傷害等の罪で 罰金刑に処せられた |
4.「登録を受けている者が死亡した場合,当該登録をしている都道府県知事は,相続人からの届出がなくても,その事実が判明したとき,当該登録を消除しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆死亡による登録消除 登録を受けている者が死亡した場合,当該登録をしている都道府県知事は,相続人からの届出(宅建業法・21条・1号)がなくても,その事実が判明したときは,当該登録を消除しなければなりません(宅建業法・22条・3号)。 本人が死んでいる以上,登録を継続する意味が無いからです。
▼宅建業者が死亡した場合には,{ 相続人からの届出もなく,その事実が判明したとき } に免許取消しとする規定はありません。 |