宅建業法 実戦篇

取引主任者の過去問アーカイブス 平成2年・問39 取引主任者証 

法定講習・取引主任者証の返納・登録の移転


宅地建物取引主任者証 (以下この問において「取引主任者証」という。) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成2年・問39)

1.「取引主任者証の交付を受けようとする者は,国土交通大臣が指定する宅地又は建物の取引に関する実務についての講習で,交付の申請前6月以内に行われるものを,受講しなければならない。」

2.「取引主任者は,取引主任者としてすべき事務の禁止の処分を受けたときは,速やかに,取引主任者証をその処分をした都道府県知事に提出しなければならない。」

3.「登録の移転を受けた者は,移転後の都道府県知事から取引主任者証の交付を受けなければ,取引主任者の業務を行うことができない。」

4.「登録の移転を受けた者は,移転後の都道府県知事から取引主任者証の交付を受けたときは,2週間以内に,既に交付を受けていた取引主任者証を移転後の都道府県知事に返納しなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「取引主任者証の交付を受けようとする者は,国土交通大臣が指定する宅地又は建物の取引に関する実務についての講習で,交付の申請前6月以内に行われるものを,受講しなければならない。」

【正解:×

◆知事指定の講習〔法定講習〕

 × 国土交通大臣が指定  ⇒  都道府県知事が指定

 取引主任者証の交付を受けようとする者は,登録を受けている都道府県知事が指定する講習で,交付の申請前6月以内に行われるものを,受講しなければなりません(宅建業法22条の2第2項)

 ただし,<宅建試験に合格した日から1年以内に取引主任者証の交付を受けようとする者>や<登録の移転申請とともに取引主任者証の交付申請をした者>については,受講義務はありません(宅建業法22条の2第2項但書)

 KEY 

取引主任者証の交付を受けようとする者 

知事が指定する講習で,交付の申請前6月以内に行われるものを,受講

整理

登録
講習
 国土交通大臣の登録を受けた者
〔登録講習機関〕が行う講習
 (宅建業法16条3項,
  施行規則10条の14)
登録講習修了者は,修了試験に合格した日
から3年以内に行われる宅建試験について,
一定のものが免除される。(5問免除)
登録
実務
講習
 国土交通大臣が指定する講習
 (宅建業法18条1項,
 施行規則13条の16第1項第1号)
登録実務講習を修了すると,

国土交通大臣が実務経験2年以上を有する
ものと同等以上の能力を有すると認めた者

として,登録を申請することができる。

法定
講習
 都道府県知事が指定する講習
 (宅建業法22条の2第2項,
 
施行規則14条の10第2項,
 
施行規則14条の16第2項)
 法定講習を受講する義務のある者

・宅建試験の合格後1年以上を経過して
取引主任者証の交付を受けようとする者

・取引主任者証の有効期間の更新を受け
ようとする者

2.「取引主任者は,取引主任者としてすべき事務の禁止の処分を受けたときは,速やかに,取引主任者証をその処分をした都道府県知事に提出しなければならない。」

【正解:×

◆事務禁止処分での取引主任者証の提出先

  × 処分をした都道府県知事  ⇒  主任者証の交付を受けた都道府県知事

 取引主任者が,事務禁止処分を受けたときは,速やかに,取引主任者証を,その交付を受けた都道府県知事に提出しなければなりません(宅建業法22条の2第7項)

 取引主任者に対して,事務禁止処分ができるのは,<登録を受けている都道府県知事>と<事務禁止処分の対象となった行為を行った都道府県の知事>の2つあるので,

 [事務禁止処分を下した都道府県知事 ≠ 登録を受けている都道府県知事]

となることがあります(宅建業法68条2項,4項)

 したがって,『主任者証をその処分をした都道府県知事に提出』とする本肢は誤りです。

 KEY 

 事務禁止処分を受けた

取引主任者証を,その交付を受けた都道府県知事に提出

都道府県知事は,その都道府県の区域内で,他の都道府県知事の登録を受けている取引主任者に対して,指示処分・事務禁止処分をすることができます(宅建業法68条3項,4項)

3.「登録の移転を受けた者は,移転後の都道府県知事から取引主任者証の交付を受けなければ,取引主任者の業務を行うことができない。」

【正解:

◆取引主任者の定義

 取引主任者とは,主任者証の交付を受けた者をいい(宅建業法15条1項),主任者証の交付を受けていなければ,取引主任者の事務を行うことができません。

 登録の移転があると従前の移転前の主任者証はその効力を失うため(宅建業法22条の2第4項),移転後の都道府県知事から主任者証の交付を受ける必要があります。

 通常は,登録の移転とともに主任者証の交付も同時に申請し,従前の主任者証と引換えに交付されますが(施行規則14条の14)登録の移転後の都道府県知事から主任者証の交付を受けていなければ,取引主任者の業務を行うことはできません

 KEY 

主任者証の交付を受けていなければ,

取引主任者の業務を行うことはできない。

4.「登録の移転を受けた者は,移転後の都道府県知事から取引主任者証の交付を受けたときは,2週間以内に,既に交付を受けていた取引主任者証を移転後の都道府県知事に返納しなければならない。」

【正解:×

◆引換え交付

 移転前の主任者証と引換えに,移転後の新しい主任者証が交付されるので誤りです。

 登録の移転の申請とともに主任者証の交付申請があったときは,移転後の都道府県知事は,移転前の主任者証と引換えに移転後の主任者証を交付します(施行規則14条の14)

 その際,移転後の都道府県知事は,移転前の取引主任者証の有効期間が経過するまでの期間を有効期間とする新たな取引主任者証を交付しなければなりません(宅建業法22条の2第5項)

 KEY 

登録の移転の申請とともに主任者証の交付申請 

移転前の主任者証と引換えに移転後の主任者証を交付

主任者証の有効期間の更新時でも,現に有する主任者証と引換えに新しい主任者証が交付されます(施行規則14条の16第3項)


宅建業法の過去問アーカイブスに戻る  

1000本ノック・宅建業法編・本編のトップに戻る  Brush Up! 取引主任者に戻る

宅建過去問に戻る