宅建業法 実戦篇
自ら売主の制限・広告規制・媒介契約の過去問アーカイブス 平成2年・問47
広告開始時期の制限・取引様態の別の明示・34条の2書面・手付金等保全措置
宅地建物取引業者Aが自ら売主となって行う工事完了前の分譲住宅の販売に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成2年・問47) |
1.「Aは,建築確認を受ける前においては,その旨を表示すれば,この分譲住宅の販売広告をすることができる。」 |
2.「Aが,この分譲住宅の販売広告をする場合,Aは,自己が売主である旨の表示を省略することができない。」 |
3.「Aが宅地建物取引業者Bにこの分譲住宅の売却の媒介を依頼した場合,Bは,Aに対して媒介契約の内容を書面化して交付する必要はない。」 |
4.「Aは,宅地建物取引業者でない買主Cとこの分譲住宅の売買契約を締結する場合,その受領する手付金等の額を代金の5パーセント以下とするか,又は代金の5パーセントを超える部分についてその保全措置を講じた後でなければ,手付金等を受領してはならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「Aは,建築確認を受ける前においては,その旨を表示すれば,この分譲住宅の販売広告をすることができる。」 |
【正解:×】 ◆広告開始時期の制限 宅建業者は,宅地の造成前,又は,建物の建築工事の完了前は,その工事について必要とされる開発許可や建築確認等の法令に基づく許可等の処分(政令で定めるもの)があった後でなければ,宅地又は建物の売買その他の業務に関する広告をすることができません。(宅建業法・33条) 本肢では,建築確認を受ける前なので,建築確認の処分がまだされていないため,建物の売買の広告をすることはできません。
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2.「Aが,この分譲住宅の販売広告をする場合,Aは,自己が売主である旨の表示を省略することができない。」 |
【正解:○】 ◆取引態様の別の明示 取引態様によって,契約締結権限の有無,当事者でない〔媒介と代理〕とすれば報酬などが異なってくるので,広告をするときや注文を受けるときは,当事者なのか,媒介・代理なのかを明示しなければいけません(宅建業法34条)。 本肢では,Aは,広告で,自己が売主である旨の表示を省略することができません。
●広告をするときの明示義務
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3.「Aが宅地建物取引業者Bにこの分譲住宅の売却の媒介を依頼した場合,Bは,Aに対して媒介契約の内容を書面化して交付する必要はない。」 |
【正解:×】 ◆媒介書面の交付は,宅建業者が依頼者である場合も省略できない 宅建業者は,宅地又は建物の売買又は交換の媒介契約を締結したときは,遅滞なく,宅建業法34条の2第1項の事項を記載した書面を作成して記名押印し,依頼者にこれを交付しなければいけません。(宅建業法・34条の2・第1項) 媒介書面(34条の2書面),重要事項説明での35条書面,契約書面(37条書面)は,相手方等が宅建業者でも省略できない(宅建業法・78条2項)ので,本肢は誤りです。
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4.「Aは,宅地建物取引業者でない買主Cとこの分譲住宅の売買契約を締結する場合,その受領する手付金等の額を代金の5パーセント以下とするか,又は代金の5パーセントを超える部分についてその保全措置を講じた後でなければ,手付金等を受領してはならない。」 |
【正解:×】 ◆手付金等の保全措置 宅建業者が,自ら売主として,宅建業者ではない買主と未完成物件の売買契約を締結するに際し,代金の5%超または1,000万円超の手付金等を受領しようとするには,手付金等保全措置を講じなければなりません(宅建業法41条1項)。 保全措置を講じる必要があるか問う問題では,買主への移転登記の有無,買主が所有権の登記をしているかどうかを確認した上で(⇒登記がしてあれば保全措置は要らないから), 1 代金がいくらなのか ⇒ 5%に該当する金額はいくらになるのか把握するため 2 1,000万円を超えているか ⇒ 完成物件・未完成物件を問わず,保全措置が必要 この2つに着目する必要があります。 本肢では,この肝心の代金が示されていないので,5%のみで考えるわけにはいきません。 本肢では,<その受領する手付金等の額を代金の5%以下とするか,又は代金の5%を超える部分についてその保全措置を講じた後でなければ,手付金等を受領してはならない。>としていますが,次の点から本肢は誤りです。 ・代金の5%以下であっても,1,000万円を超えていれば保全措置を講じる必要がある。 ・保全措置を講じるのは,代金の5%を超える部分だけでなく,受領しようとするものだけでなく,これまでに受領した分も併せて,手付金等の全額についてしなければならない。 |
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