宅建業法 実戦篇
保証協会の過去問アーカイブス 平成3年・問48
宅地建物取引業保証協会 (以下この問において「保証協会」という。) に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成3年・問48) |
1.「宅地建物取引業者は,保証協会の社員の地位を失ったときは,当該地位を失った日から2週間以内に営業保証金を供託しなければならない。」 |
2.「保証協会は,その社員が社員となる前に宅地建物取引業に関し取引をした者から,当該取引により生じた債権に関して弁済を受けることができる額について認証の申出でがあった場合において,当該弁済が行われることにより弁済業務の円滑な運営に支障があると認めるときは,当該社員に対し,担保の提供を求めることができる。」 |
3.「弁済業務保証金の還付がなされた場合において,保証協会からその通知を受けた社員は,その通知を受けた日から2週間以内に,当該還付額の60/1,000に相当する額の還付充当金を保証協会に納付しなければならない。」 |
4.「宅地建物取引業者は,保証協会の社員になったことにより営業保証金を供託することを要しなくなった場合において,当該営業保証金の取戻しをしようとするときは,6月を下らない一定の期間内に債権の申出をすべき旨の公告をしなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「宅地建物取引業者は,保証協会の社員の地位を失ったときは,当該地位を失った日から2週間以内に営業保証金を供託しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆社員の地位を失ったときは1週間以内に営業保証金の供託 宅建業者が,保証協会の社員の地位を失ったときは,当該地位を失った日から1週間以内に営業保証金を供託しなければならない(宅建業法64条の15)ので,2週間以内とする本肢は誤りです。
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2.「保証協会は,その社員が社員となる前に宅地建物取引業に関し取引をした者から,当該取引により生じた債権に関して弁済を受けることができる額について認証の申出でがあった場合において,当該弁済が行われることにより弁済業務の円滑な運営に支障があると認めるときは,当該社員に対し,担保の提供を求めることができる。」 |
【正解:○】 ◆社員が担保の提供を求められる場合−社員になる前に取引した者が還付を受けるとき 保証協会の社員が社員となる前に宅建業に関し取引したことにより生じた債権を有する者も弁済業務保証金から還付を受けることができます(宅建業法64条の8第1項)。 保証協会は,保証協会の社員が社員となる前に宅建業に関し取引したことにより生じた債権を有する者から認証の申出があった場合に,当該弁済が行われることにより弁済業務の円滑な運営に支障があると認めるときは,当該社員に対し,担保の提供を求めることができます(宅建業法64条の4第3項)。
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3.「弁済業務保証金の還付がなされた場合において,保証協会からその通知を受けた社員は,その通知を受けた日から2週間以内に,当該還付額の60/1,000に相当する額の還付充当金を保証協会に納付しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆通知を受けた日から2週間以内に還付充当金を納付する 弁済業務保証金の還付がされたときは,保証協会の社員は,保証協会から通知を受けた日から2週間以内に,還付額の全額に相当する額の還付充当金を保証協会に納付しなければならず(宅建業法64条の10第2項),その期限内に納付しないときは社員の地位を失います(宅建業法64条の10第3項)。 本肢では,納付する額を<当該還付額の60/1,000に相当する額>としているので誤りです。
▼還付される額は,社員が社員でないとしたならば供託すべき営業保証金の範囲内です(宅建業法64条の8第1項)。 |
4.「宅地建物取引業者は,保証協会の社員になったことにより営業保証金を供託することを要しなくなった場合において,当該営業保証金の取戻しをしようとするときは,6月を下らない一定の期間内に債権の申出をすべき旨の公告をしなければならない。」 |
【正解:×】 ◆保証協会の社員になったときの営業保証金の取り戻し−公告は不要 宅建業者が営業保証金を取り戻すときには,原則として,債権者に対して6ヵ月を下らない一定期間内に申し出る旨の公告をしなければなりませんが,宅建業者が保証協会の社員になった場合に営業保証金の取戻しをしようとするときは,この公告をする必要はありません(宅建業法30条2項)。 保証協会に加入したことにより,社員になる前に宅建業に関して取引のあった者への弁済も保証協会が認証する額の範囲内で保証されるからです。
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