宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 平成4年・問36 登録の基準(欠格要件)
次の者のうち,宅地建物取引主任者資格登録 (以下「登録」という) を受けることができないものはどれか。(平成4年・問36) |
1.「A ―― 宅地建物取引業に係る営業に関し,成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で,その法定代理人甲が3年前に建設業法違反で過料に処せられている。」 |
2.「B ―― 3年前に乙社が不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとしてその免許を取り消されたとき,乙社の政令で定める使用人であった。」 |
3.「C ―― 6月前に丙社が宅地建物取引業法に違反したとして1年間の業務停止処分を受けたが,その丙社の取締役であった。」 |
4.「D ―― 3年前に丁社が引き続き1年以上宅地建物取引業を休止したとしてその免許を取り消されたとき,その聴聞の期日及び場所の公示の日の30日前に,丁社の取締役を退任した。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
1.「A ―― 宅地建物取引業に係る営業に関し,成年者と同一の行為能力を有しない未成年者で,その法定代理人甲が3年前に建設業法違反で過料に処せられている。」 |
【正解:×】ヒッカケ問題 ◆営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者 宅建業に係る営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者は,取引主任者の資格登録を受けることはできません(宅建業法18条1項1号)。 宅建業者の免許は,宅建業に係る営業に関して成年者と同一の能力を有しない未成年者でも,その法定代理人に欠格要件に該当するものがなければ,受けることができますが(宅建業法5条1項6号),このことと混同してはいけません。
※未成年者が婚姻したときは成年に達したとみなされるので(民法753条,婚姻による成年擬制),宅建業者の免許,取引主任者の資格登録とも,受けることができます。 |
2.「B ―― 3年前に乙社が不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとしてその免許を取り消されたとき,乙社の政令で定める使用人であった。」 |
【正解:○】 ◆不正手段により免許取消処分を受けた法人の政令で定める使用人 不正手段により宅建業の免許を受けたとしてその免許を取り消された法人において,当該取消に係る聴聞の期日及び場所の公示日前60日以内に役員であった者は,その法人の免許取消の日から5年間,宅建業の免許,取引主任者の登録とも,受けることはできません(宅建業法5条1項2号,18条1項4号)。 しかし,不正手段により宅建業の免許を受けたとしてその免許を取り消された法人で,政令で定める使用人であった者は,宅建業の免許・取引主任者の登録とも,欠格要件には該当しないので,本肢は正しい記述です。
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3.「C ―― 6月前に丙社が宅地建物取引業法に違反したとして1年間の業務停止処分を受けたが,その丙社の取締役であった。」 |
【正解:○】 ◆業務停止処分を受けた法人の役員であった ⇒ 取引主任者の登録の欠格要件には該当しない 肢2で見たように,66条1項8号・9号による免許取消処分 (不正手段による免許取得,業務停止処分に該当し情状が特に重い,業務停止処分に違反) を受けた法人において,当該取消に係る聴聞の期日及び場所の公示日前60日以内に役員であった者は,宅建業の免許・取引主任者の資格登録とも欠格要件に該当しますが(宅建業法5条1項2号,18条1項4号), 業務停止処分を受けたのみにとどまる法人の役員であったというだけでは,取引主任者の登録の欠格要件に該当しません。
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4.「D ―― 3年前に丁社が引き続き1年以上宅地建物取引業を休止したとしてその免許を取り消されたとき,その聴聞の期日及び場所の公示の日の30日前に,丁社の取締役を退任した。」 |
【正解:○】 ◆1年以上宅建業を休止したとして免許取消処分を受けた法人の役員だった者 66条1項8号・9号による免許取消処分 (不正手段による免許取得,業務停止処分に該当し情状が特に重い,業務停止処分に違反) を受けた法人において,当該取消に係る聴聞の期日及び場所の公示日前60日以内に役員であった者は,宅建業の免許・取引主任者の資格登録とも欠格要件に該当しますが(宅建業法5条1項2号,18条1項4号), 引き続き1年以上宅建業を休止したとしてその免許を取り消された法人の役員であった者は,宅建業の免許・取引主任者の資格登録とも欠格要件に該当しません。
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