宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 平成4年・問46
破産手続開始の決定・登録の基準(欠格要件)・免許の基準
Aがクレジットカードを使い過ぎて破産した場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成4年・問46) |
1.「Aは,破産の復権を得ない限り,宅地建物取引主任者資格試験を受けることができない。」 |
2.「Aが甲県知事の登録を受けた取引主任者である場合,Aは,破産手続開始の決定があった日から30日以内にその旨を,また,復権したときは速やかにその旨を,甲県知事に届け出なければならない。」 |
3.「Aが乙県知事の登録を受けた取引主任者である場合において,Aが破産の届出をしないときは,乙県知事は,Aについて破産手続開始の決定があった事実を知ったとき,聴聞をしなければ,Aの登録を消除できない。」 |
4.「Aが,破産の復権を得ない限り,Aは,宅地建物取引業の免許を受けることができず,また,Aが他の宅地建物取引業者B社の役員になったときは,B社は,免許を取り消される。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「Aは,破産の復権を得ない限り,宅地建物取引主任者資格試験を受けることができない。」 |
【正解:×】 ◆復権しないとできないのは,取引主任者の資格登録 宅建試験は,復権を得ていなくても,受験することができます。 |
2.「Aが甲県知事の登録を受けた取引主任者である場合,Aは,破産手続開始の決定があった日から30日以内にその旨を,また,復権したときは速やかにその旨を,甲県知事に届け出なければならない。」 |
【正解:×】 ◆破産手続開始の決定 登録を受けている者に破産手続開始の決定があったときは,その日から30日以内に,登録をしている都道府県知事にその旨を届け出なければなりません(宅建業法21条2項)。都道府県知事は,その届出を受けて,登録消除処分をします(宅建業法68条の2第1項,第2項)。 しかし,復権を得たときに届出は義務ではないので,本肢は誤りです。
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●取引主任者〔厳密には,登録を受けている者〕の死亡等の届出 (宅建業法・21条)
いつ届け出るか | 届け出る人 | |
死亡した | 事実を知った日から30日以内 | その相続人 |
成年被後見人になった 被保佐人になった |
その日から30日以内 | その後見人 その保佐人 |
営業に関して成年者と 同一の能力を有しなくなる |
本人 | |
破産手続開始の決定があった | ||
業者の免許を取り消された(自営・役員) | ||
禁錮以上の刑に処せられた | ||
宅建業法違反・傷害等の罪で 罰金刑に処せられた |
3.「Aが乙県知事の登録を受けた取引主任者である場合において,Aが破産の届出をしないときは,乙県知事は,Aについて破産手続開始の決定があった事実を知ったとき,聴聞をしなければ,Aの登録を消除できない。」 |
【正解:×】 ◆本人からの届出がない場合に登録消除するには,原則として,聴聞が必要 登録を受けている者に破産手続の決定があったとき,本人から届出があったときは,都道府県知事はその届出に基づいて登録消除をします。(この場合,聴聞は不要。)(宅建業法22条2号)。 また,本人から届出がなく,都道府県知事がその事実を知ったときにも登録消除処分をすることができますが,この場合に,行政手続法13条2項2号により,裁判所の決定書により証明できるときは聴聞は不要です(宅建業法22条2項)。 ▼登録消除処分,免許取消処分をするには原則として聴聞が必要ですが,本肢のように,行政手続法の規定により聴聞が不要となる場合があります(行政手続法13条2項)。 |
●行政手続法 |
(不利益処分をしようとする場合の手続) 第13条 行政庁は、不利益処分をしようとする場合には、次の各号の区分に従い、この章の定めるところにより、当該不利益処分の名あて人となるべき者について、当該各号に定める意見陳述のための手続を執らなければならない。 一 次のいずれかに該当するとき 聴聞 イ 許認可等を取り消す不利益処分をしようとするとき。 ロ イに規定するもののほか、名あて人の資格又は地位を直接にはく奪する不利益処分をしようとするとき。 ハ 名あて人が法人である場合におけるその役員の解任を命ずる不利益処分、名あて人の業務に従事する者の解任を命ずる不利益処分又は名あて人の会員である者の除名を命ずる不利益処分をしようとするとき。 ニ イからハまでに掲げる場合以外の場合であって行政庁が相当と認めるとき。 二 前号イからニまでのいずれにも該当しないとき 弁明の機会の付与 2 次の各号のいずれかに該当するときは、前項の規定は、適用しない。 一 公益上、緊急に不利益処分をする必要があるため、前項に規定する意見陳述のための手続を執ることができないとき。 二 法令上必要とされる資格がなかったこと又は失われるに至ったことが判明した場合に必ずすることとされている不利益処分であって、その資格の不存在又は喪失の事実が裁判所の判決書又は決定書、一定の職に就いたことを証する当該任命権者の書類その他の客観的な資料により直接証明されたものをしようとするとき。 (以下略) |
4.「Aが,破産の復権を得ない限り,Aは,宅地建物取引業の免許を受けることができず,また,Aが他の宅地建物取引業者B社の役員になったときは,B社は,免許を取り消される。」 |
【正解:○】 ◆法人の欠格事由 破産は,取引主任者の登録,宅建業者の免許,ともに欠格要件です。 破産の復権を得ない限り,取引主任者の資格登録も,宅建業の免許も受けることはできません。 また,復権を得ていない者が役員にいる法人も,その免許が取り消しになります(宅建業法5条1項7号,1号)。 |