宅建業法 実戦篇
保証協会の過去問アーカイブス 平成4年・問47
甲は,平成17年2月1日に本店及び2箇所の支店を設置して宅地建物取引業の免許を取得し,営業保証金を供託のうえ業務を行っていたが,同年3月1日に宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という)の社員となって弁済業務保証金分担金を納付し,さらに同年4月1日に2箇所の事務所を増設し,弁済業務保証金分担金を追加納付した。その後,甲から同年2月15日に宅地の購入をしたAが,当該宅地の取引について3,500万円の損害賠償債権が発生した(債権発生の日は5月31日)として,6月1日に保証協会に認証を申し出てきた。この場合,Aの認証に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成4年・問47) |
1.「甲が保証協会の社員となる前の取引であるから,認証額は0円である。」 |
2.「甲が納付した弁済業務保証金分担金相当額180万円を限度として,認証を受けられる。」 |
3.「甲が保証協会の社員でないとしたならば供託すべき営業保証金相当額3,000万円を限度として,認証を受けられる。」 |
4.「甲が保証協会の社員であるので,Aの損害賠償債権相当額3,500万円の認証を受けられる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
●時系列で整理 |
2/1 3/1 5/31 6/1 ―●―――――――●――――――――――――――●―――――●――― 免許取得 保証協会 Aの債権発生 認証の申出 |
1.「甲が保証協会の社員となる前の取引であるから,認証額は0円である。」 |
【正解:×】 ◆保証協会の社員になる前の取引でも弁済を受ける権利を有する 保証協会の社員である宅建業者と宅建業に関して取引をした者は,その取引が免許取得後,保証協会の社員になる前にものであっても,その取引から生じた債権について,弁済業務保証金から弁済を受ける権利を有する(宅建業法64条の8第1項)ので,<認証額0円>とする本肢は誤りです。 |
2.「甲が納付した弁済業務保証金分担金相当額180万円を限度として,認証を受けられる。」 3.「甲が保証協会の社員でないとしたならば供託すべき営業保証金相当額3,000万円を限度として,認証を受けられる。」 4.「甲が保証協会の社員であるので,Aの損害賠償債権相当額3,500万円の認証を受けられる。」 |
【2・4の正解:×】 ◆弁済を受けられるのは,社員でないとしたときの営業保証金相当額 債権について,弁済業務保証金から弁済を受けられるのは,保証協会の当該社員が,社員でない場合に供託しなければならない営業保証金相当額までです。 つまり,肢2の<弁済業務保証金分担金相当額の弁済を受けられる>,肢4の<債権の全額の弁済を受けられる>というのは誤りです。 本肢では,本店(1,000万円)+支店(500万円×4=2,000万円)ですから,その合計3,000万円まで,保証協会の認証を受けることができます(宅建業法64条の8第1項)。 |