宅建業法 実戦篇
監督処分(取引主任者)の過去問アーカイブス 平成5年・問38 登録の消除
宅地建物取引主任者資格登録(以下「登録」という。)の消除に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成5年・問38) |
1.「Aが役員をしている宅地建物取引業者B社が,不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとしてその免許を取り消されても,Aは,宅地建物取引主任者証の交付を受けていなければ,その登録を消除されることはない。」 |
2.「取引主任者Cが知人に頼まれて無免許で宅地の売買の媒介を数回行った場合,Cは,その登録を消除されることがある。」 |
3.「Dが宅地建物取引主任者資格試験に不正な手段で合格した場合,Dがその後取引主任者として業務に従事していても,その事実が発覚したときは,Dは,その登録を消除されることがある」 |
4.「取引主任者Eが刑法第211条 (業務上過失傷害) の罪を犯し,10万円の罰金の刑に処せられた場合,Eは,その登録を消除されることはない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
1.「Aが役員をしている宅地建物取引業者B社が,不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとしてその免許を取り消されても,Aは,宅地建物取引主任者証の交付を受けていなければ,その登録を消除されることはない。」 |
【正解:×】 ◆免許取消になった法人の役員 = 登録消除要件 66条1項8号〔不正手段による免許取得〕,9号〔業務停止処分に該当し情状が特に重いとき,業務停止処分に違反したとき〕に該当して免許を取り消された法人の役員であった者〔その取消処分の聴聞の公示の日前60日以内に役員であった者〕は,取引主任者証の交付を受けていても受けていなくても,登録を消除されます(宅建業法68条の2第1項第1号,第2項第1号)。
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2.「取引主任者Cが知人に頼まれて無免許で宅地の売買の媒介を数回行った場合,Cは,その登録を消除されることがある。」 |
【正解:○】 ◆無免許営業 (罰金刑または懲役刑) =登録消除要件 免許を受けずに宅建業を営むことはできず,これに違反すると,3年以下の懲役,もしくは300万円以下の罰金に処せられ,またはこれらの併科になります(宅建業法12条1項,79条2号)。 したがって,取引主任者Cは,宅建業法違反による罰金刑または懲役刑に処せられるため,登録消除処分に該当し,都道府県知事はその登録を消除しなければなりません(宅建業法68条の2第1項第1号,18条1項5号,同5号の2)。
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3.「Dが宅地建物取引主任者資格試験に不正な手段で合格した場合,Dがその後取引主任者として業務に従事していても,その事実が発覚したときは,Dは,その登録を消除されることがある」 |
【正解:○】 ◆不正手段で合格し登録 =登録消除要件 Dは宅建試験に不正な手段によって合格したことにより,その合格は取り消され,都道府県知事はその登録を消除しなければなりません(宅建業法17条1項,68条の2第1項第2号,第3号)。 Dがその後取引主任者として業務に従事していても,このことに変わりはないので,本肢は正しい記述です。
▼都道府県知事,または指定試験機関は,不正手段によって試験を受け,又は受けようとした者に対して,合格の決定を取り消し,又は試験を受けることを禁止することができます。また,都道府県知事は,情状により3年以内の期間を定めて試験を受けることができないものとすることができます(宅建業法17条)。 |
4.「取引主任者Eが刑法第211条 (業務上過失傷害) の罪を犯し,10万円の罰金の刑に処せられた場合,Eは,その登録を消除されることはない。」 |
【正解:○】 ◆登録消除処分になる罰金刑 罰金刑を受けて登録消除処分になるのは,宅建業法に違反,刑法の一定の罪,暴力行為等処罰に関する法律の罪,暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の違反の場合です(宅建業法・18条1項5号の2,68条1項1号)。 刑法第211条 (業務上過失傷害) の罪による罰金刑では登録を消除されることはありません。 |
●罰金刑で登録消除になるもの | |
免許の欠格要件と同じです(宅建業法・18条1項5号の2,68条1項1号)。
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