宅建業法 実戦篇
自ら売主の制限の過去問アーカイブス 平成5年・問39
自己の所有に属しない宅地建物の売買契約の制限・売買契約締結時期の制限
宅地建物取引業者AがBから土地を取得して,宅地に造成し,自ら売主となって,Cに分譲する場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成5年・問39) |
1.「AB間の契約が売買の予約である場合,Aは,予約完結権を行使するまでの間は,宅地建物取引業者でないCと,売買契約を締結してはならない。」 |
2.「AB間の売買契約において,開発許可を受けることを停止条件とする特約がある場合,Aは,その条件が成就するまでの間は,宅地建物取引業者であるCと,売買契約を締結してはならない」 |
3.「AB間の売買契約が締結されても,土地の引渡しがすむまでの間は,Aは,宅地建物取引業者でないCと,売買契約を締結してはならない。」 |
4.「AB間の売買契約において,その効力の発生がBの代替地取得を条件とする場合,Aは,その条件が成就するまでの間は,宅地建物取引業者でないCと,売買契約を締結してはならない。」 |
●複数の正解肢 |
本問題は,複数正解〔2と4〕になったものと推定されています。 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | ○ |
1.「AB間の契約が売買の予約である場合,Aは,予約完結権を行使するまでの間は,宅地建物取引業者でないCと,売買契約を締結してはならない。」 |
【正解:×】 ◆売買の予約を締結した土地は売ることができる 宅建業者は,宅地建物を取得する契約〔予約も含む。〕を締結している場合,その宅地建物について,宅建業者でない者と売買契約を締結することができます(宅建業法33条の2第1号)。 したがって,AB間の契約が売買の予約であり,Aが予約完結権を行使するまでの間であっても,宅建業者でないCと,売買契約を締結することができます。
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2.「AB間の売買契約において,開発許可を受けることを停止条件とする特約がある場合,Aは,その条件が成就するまでの間は,宅地建物取引業者であるCと,売買契約を締結してはならない」 |
【正解:○】 ◆契約締結時期の制限・開発許可を受けるまでは売買契約を締結することはできない この問題は,いわゆる他人物売買の制限の問題ではなく,契約締結時期の制限の問題です。 自ら売主制限である他人物売買の制限は宅建業者間の取引には適用されないので,一見誤りの記述であるように見えますが,そこだけ見ていると見誤ります。 <開発許可を受けることを停止条件とする特約がある場合>ということは,開発許可をまだ受けていないことを意味するので,ここに着目しなければなりません。 取引の相手方が宅建業者であるかどうかに関係なく,開発許可を受けていなければ,売買契約を締結することはできません(宅建業法36条)。
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3.「AB間の売買契約が締結されても,土地の引渡しがすむまでの間は,Aは,宅地建物取引業者でないCと,売買契約を締結してはならない。」 |
【正解:×】 ◆売買契約を締結していれば,引渡しがすんでいなくても売ることができる AB間の売買契約が締結されていれば,土地の引渡しがすんでいなくても,Aは,宅建業者でないCと,売買契約を締結できます(宅建業法33条の2第1号)。
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4.「AB間の売買契約において,その効力の発生がBの代替地取得を条件とする場合,Aは,その条件が成就するまでの間は,宅地建物取引業者でないCと,売買契約を締結してはならない。」 |
【正解:○】 ◆停止条件付のときは,宅建業者でない者との売買契約をすることはできない
Bから取得する契約が停止条件付 (Bの代替地取得を条件) で,その条件が成就するまでの間は,Aは,自ら売主として宅建業者ではないCと売買契約を締結することはできないので(宅建業法33条の2第1号),本肢は宅建業法に違反します。
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