宅建業法 実戦篇

案内所等の規制の過去問アーカイブス 平成5年・問48 

届出・専任の取引主任者・標識


甲県内の一団の宅地30区画の分譲について,売主である宅地建物取引業者(乙県知事免許) が宅地建物取引業者 (国土交通大臣免許) に販売代理を依頼して,が案内所を設けて,売買契約の申込みを受ける場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。(平成5年・問48)

1.「は,その案内所の設置について国土交通大臣及び甲県知事に届け出る必要があるが,も,その分譲について届け出る必要がある。」

2.「は,その案内所の従業員数に対して5人に1人以上の割合で,専任の取引主任者を置かなければならない。」

3.「は,その案内所に置く専任の取引主任者について,の事務所の専任の取引主任者を派遣しなければならない。」

4.「は,その案内所の見やすい場所に,専任の取引主任者の氏名を表示した標識を掲げなければならない。」

【正解】

× × ×

●問題文の読解
 売主 : 宅建業者(乙県知事免許)―――――― 宅建業者 (国土交通大臣免許)
                        販売代理   (単独で,案内所を設置)

 この案内所は,契約行為を行うので,は,免許権者及び案内所の地域を管轄する知事に届出義務があります。

  事務所  契約行為等を行う
 案内所・展示会場等
 契約行為等を行わない
 案内所・展示会場等
 一団の宅地建物の
 
所在する場所
 標識  ○  ○  ○  ○
 専任の
 取引主任者
 5人に

 1人以上

 1人以上  −  −
 従業者名簿  ○  −  −  −
 帳簿  ○  −  −  −
 報酬の額の掲示  ○  −  −  −

1.「は,その案内所の設置について国土交通大臣及び甲県知事に届け出る必要があるが,も,その分譲について届け出る必要がある。」

【正解:×

◆50条2項の届出

 契約行為等を行う案内所については,業務を開始する10日前までに,国土交通省令で定めるところにより,免許権者及び案内所の地域を管轄する知事に届出なければいけません(宅建業法50条2項,施行規則19条)

 本肢の案内所は販売代理業者であるが設置するため,は,免許権者である国土交通大臣,案内所を管轄する甲県知事にあらかじめ届出なければいけません。国土交通大臣には,甲県知事を経由して届出をします(宅建業法78条の3第2項)

 売主であるは,この案内所はが設置するため50条2項の届出は不要であり,分譲についても届出義務はありません。

2.「は,その案内所の従業員数に対して5人に1人以上の割合で,専任の取引主任者を置かなければならない。」

【正解:×

◆契約行為等を行う案内所では1人以上

 一団の宅地建物の分譲について契約行為等を行う案内所では,その案内所の従業員数に関係なく,専任の取引主任者を1人以上置けばよいので(宅建業法15条1項,施行規則6条の2第2号),本肢は誤りです。

 KEY 

契約行為等を行う案内所 

専任の取引主任者は1人以上

3.「は,その案内所に置く専任の取引主任者について,の事務所の専任の取引主任者を派遣しなければならない。」

【正解:×

◆案内所等での取引主任者

 契約行為等を行う案内所に置く専任の取引主任者については,現地で雇用しても,事務所の専任の取引主任者を派遣してもどちらでもよい〔建設省通達〕ので,<事務所の専任の取引主任者を派遣しなければならない>とする本肢は誤りです。

宅地建物取引業法の解釈と運用の考え方(国土交通省)では,<専任の取引主任者としては、実際に専任の取引主任者として勤務する者1人を届け出れば足りるものとする。>としています。

4.「は,その案内所の見やすい場所に,専任の取引主任者の氏名を表示した標識を掲げなければならない。」

【正解:

◆契約行為を行う案内所の標識には,専任の取引主任者の氏名を表示

 宅建業者は,国土交通省令で定める業務を行う場所ごとに,公衆の見やすい場所に,標識を掲げなければいけません(宅建業法50条1項,施行規則19条)

 この標識は,掲げる場所によって,国土交通省令で定める様式が異なっており,契約行為等を行う案内所では,専任の取引主任者の氏名を表示しなければいけません(宅建業法施行規則19条,様式11号,様式11号の2)

●宅地建物取引業法の解釈と運用の考え方(国土交通省)
第15条第1項関係

1 事務所以外で専任の取引主任者を置くべき場所について(規則第6条の2関係)

(1) 規則第6条の2各号に掲げる場所における「契約の締結」について

本条各号に掲げる場所において、宅地建物の売買若しくは交換の契約又は宅地建物の売買、交換若しくは賃借の代理若しくは媒介の契約を締結する際には、当該場所で取り扱う物件について、契約を締結する権限の委任を受けた者を置くものであるか、又は契約締結権限を有する者が派遣されているものとする。

(2) 「契約の申込み」について

 「契約の申込み」とは、契約を締結する意思を表示することをいい、物件の購入のための抽選の申込み等金銭の授受を伴わないものも含まれることとする。

(3) 規則第6条の2第1号関係

 本号に該当する場所は、令第1条の2と同等程度の事務所としての物的施設を有してはいるが、宅地建物取引業に係る契約締結権限を有する者が置かれない場所であり、特定の物件の契約又は申込みの受付等を行う場所、特定のプロジェクトを実施するための現地の出張所等が該当し、不特定の物件の契約を行う等継続的に取引の相手方に対して契約締結権限を行使する者が置かれることとなる場合は、令第1条の2第2号に規定する「事務所」に該当するものとする。

 (4) 規則第6条の2第4号関係

 本号に該当する場所は、宅地建物の取引や媒介契約の申込みを行う不動産フェア、宅地建物の買い換え・住み替えの相談会、住宅金融公庫融資付物件等のように一時に多数の顧客が対象となる場合に設けられる抽選会、売買契約の事務処理等を行う場所その他催しとして期間を限って開催されるものとする。

 (5) その他

  1 複数の宅地建物取引業者が設置する案内所について

 同一の物件について、売主である宅地建物取引業者及び媒介又は代理を行う宅地建物取引業者が同一の場所において業務を行う場合には、いずれかの宅地建物取引業者が専任の取引主任者を1人以上置けば法第15条第1項の要件を満たすものとする

 なお、不動産フェア等複数の宅地建物取引業者が異なる物件を取り扱う場合には、各宅地建物取引業者ごとに1人以上の専任の取引主任者を置くものとする。

  2 臨時に開設する案内所について

 週末に取引主任者や契約締結権者が出張して申込みの受付や契約の締結を行う別荘の現地案内所等、週末にのみ営業を行うような場所についても、専任の取引主任者を置くものとする。


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