宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 平成6年・問37 取引主任者証・監督処分・罰則
宅地建物取引主任者 (以下 「取引主任者」 という。) と宅地建物取引主任者証 (以下 「取引主任者証」 という。) に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成6年・問37) |
1.「取引主任者は,常時取引主任者証を携帯して,取引の関係者から請求があったとき提示することを要し,これに違反したときは,10万円以下の過料に処せられることがある。」 |
2.「取引主任者は,取引主任者証を紛失した場合,その再交付がなされるまでの間であっても,取引主任者証を提示することなく,重要事項説明を行ったときは,取引主任者としてすべき事務を行うことを禁止されることがある。」 |
3.「取引主任者は,取引主任者証を他人に貸与してはならず,これに違反したときは,事務の禁止の処分を受けることがあるが,情状が特に重くても,登録を消除されることはない。」 |
4.「取引主任者は,勤務先を変更したとき,取引主任者証の書換え交付の申請を行わなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「取引主任者は,常時取引主任者証を携帯して,取引の関係者から請求があったとき提示することを要し,これに違反したときは,10万円以下の過料に処せられることがある。」 |
【正解:×】紛らわしい問題 ◆取引主任者証の提示義務 取引主任者は,取引の関係者から請求があったときは提示しなければなりませんが(宅建業法22条の4),違反しても罰則はありません。 重要事項の説明をするときに,取引主任者証を提示しなかったときは10万円以下の過料に処せられますが(宅建業法35条4項,86条),本肢はこれとは違いますので,注意してください。 |
2.「取引主任者は,取引主任者証を紛失した場合,その再交付がなされるまでの間であっても,取引主任者証を提示することなく,重要事項説明を行ったときは,取引主任者としてすべき事務を行うことを禁止されることがある。」 |
【正解:○】 ◆取引主任者証の提示 重要事項の説明をするときに,取引主任者証を提示しなかったときは10万円以下の過料に処せられ(宅建業法35条3項,86条),指示処分・事務禁止処分の対象になります(宅建業法68条1項3号,2項)。本肢のように,紛失して再交付申請中の場合でも同じです。
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3.「取引主任者は,取引主任者証を他人に貸与してはならず,これに違反したときは,事務の禁止の処分を受けることがあるが,情状が特に重くても,登録を消除されることはない。」 |
【正解:×】 ◆取引主任者証の貸与 取引主任者証を他人に貸与すれば<他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して取引主任者である旨の表示>をする可能性があり,指示処分・事務禁止処分の対象になります。情状が特に重いときは登録消除されるので,本肢は誤りです(宅建業法68条1項2号,2項,68条の2第1項4号)。
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●指示処分と事務禁止処分 |
(取引主任者としてすべき事務の禁止等) 第68条 都道府県知事は、その登録を受けている取引主任者が次の各号の一に該当する場合においては、当該取引主任者に対し、必要な指示をすることができる。 一 宅地建物取引業者に自己が専任の取引主任者として従事している事務所以外の事務所の専任の取引主任者である旨の表示をすることを許し、当該宅地建物取引業者がその旨の表示をしたとき。 二 他人に自己の名義の使用を許し、当該他人がその名義を使用して取引主任者である旨の表示をしたとき。 三 取引主任者として行う事務に関し不正又は著しく不当な行為をしたとき。 2 都道府県知事は、その登録を受けている取引主任者が前項各号の一に該当する場合又は同項若しくは次項の規定による指示に従わない場合においては、当該取引主任者に対し、一年以内の期間を定めて、取引主任者としてすべき事務を行うことを禁止することができる。 3 都道府県知事は、当該都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている取引主任者が第一項各号の一に該当する場合においては、当該取引主任者に対し、必要な指示をすることができる。 4 都道府県知事は、当該都道府県の区域内において、他の都道府県知事の登録を受けている取引主任者が第一項各号の一に該当する場合又は同項若しくは前項の規定による指示に従わない場合においては、当該取引主任者に対し、一年以内の期間を定めて、取引主任者としてすべき事務を行うことを禁止することができる。 |
4.「取引主任者は,勤務先を変更したとき,取引主任者証の書換え交付の申請を行わなければならない。」 |
【正解:×】 ◆取引主任者証の書換え交付 取引主任者が勤務先(宅建業者)を変更したときは,勤務先は資格登録簿の登載事項なので,遅滞なく,変更の登録を申請しなければなりません(宅建業法20条)。 しかし,勤務先は取引主任者証の記載事項ではないので,書換え交付を申請する必要はありません。
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