宅建業法 実戦篇
案内所等の規制の過去問アーカイブス 平成6年・問39 届出・専任の取引主任者・標識
宅地建物取引業者A (甲県知事免許) は,乙県でも新たに宅地分譲と建築請負を行うこととして,宅地分譲については宅地建物取引業者B (乙県知事免許) と販売代理契約を締結した上,Bが分譲地 (50区画) に案内所を設けて行うこととし,建築請負についてはAが乙県に出張所を設けて行うこととした。この場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。(平成6年・問39) ※案内所・・・この場合の「案内所」とは,契約締結権限を有する者は置かれていないが,特定の物件の契約又は申込みの受付等を行う場所とする。 |
1.「Aは,国土交通大臣に免許換えの申請をする必要はない。」 |
2.「Bは,案内所の届出を,乙県知事にのみ行えばよい。」 |
3.「Bは,案内所で宅地の売買契約の申込みを受けるときでも,契約の締結を事務所で行うこととすれば,案内所に専任の取引主任者を設置する必要はない。」 |
4.「Bは,案内所に標識を設置し,売主がAであることを明示しなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
●問題文の読解 | |||||||||
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1.「Aは,国土交通大臣に免許換えの申請をする必要はない。」 |
【正解:○】 ◆免許換えの要否−建築請負の出張所は従たる事務所に該当しない Aは甲県内で設置する建築請負を行う出張所は,宅建業の事務所には該当しないので,国土交通大臣に免許換えの申請をする必要はありません。 Aは甲県知事免許のままでも,甲県以外の区域でも宅建業の業務を行うこと〔契約行為を行う案内所や出張所を設置できる。〕ができます。(ただし,甲県以外の区域に事務所を設置して宅建業の業務を行う場合は複数の都道府県に事務所を有することになるので,国土交通大臣免許に免許換えしなければいけません。) |
2.「Bは,案内所の届出を,乙県知事にのみ行えばよい。」 |
【正解:○】 ◆50条2項の届出 宅建業者が一団の宅地建物(10区画・10戸数以上)を分譲するため〔媒介・代理も含む。〕に,契約行為等を行う案内所を設置して業務を行うには,免許権者と案内所の所在地を管轄する都道府県知事に,業務を開始する10日前までに届け出なければなりません(宅建業法50条2項)。 Bは,乙県知事免許業者で,乙県内に案内所を設置するので, 免許権者=乙県知事, 案内所の所在地を管轄する都道府県知事=乙県知事 ですから,案内所の届出は,乙県知事にのみ行えばよいことになります。 |
3.「Bは,案内所で宅地の売買契約の申込みを受けるときでも,契約の締結を事務所で行うこととすれば,案内所に専任の取引主任者を設置する必要はない。」 |
【正解:×】 ◆契約行為等を行う案内所−取引主任者の設置 宅建業者が一団の宅地建物(10区画・10戸数以上)を分譲するため〔媒介・代理も含む。〕に設置する<契約行為等を行う案内所>は,国土交通省令で取引主任者を1名以上設置しなければいけません(宅建業法15条1項,施行規則6条の2,6条の3)。 契約行為等とは売買契約の申込を受けることも含むので,申込みを受けるのみの案内所であっても,案内所に専任の取引主任者を設置しなければならないので,本肢は誤りです。 |
4.「Bは,案内所に標識を設置し,売主がAであることを明示しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆契約行為等を行う案内所の標識 宅建業者は,事務所や国土交通省令で定める場所ごとに,公衆の見やすいところに標識を掲げなければいけません(宅建業法50条1項)。 標識は,国土交通省令により場所ごとに定められていて,他の業者の宅地建物を媒介代理するための案内所の標識では,売主〔商号又は名称,免許証番号〕も記載しなければなりません(施行規則19条1項4号,2項5号,様式11号の2)。
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