宅建業法 実戦篇
広告規制の過去問アーカイブス 平成6年・問40
広告開始時期の制限・取引様態の別の明示・誇大広告の禁止・
宅地建物取引業者Aの行う広告に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成6年・問40) |
1.「Aは,別荘地に住宅を建設して分譲する場合,契約の締結を建築確認後に行うこととすれば,広告については,建築確認前であっても,建築確認申請中である旨を表示して行うことができる。」 |
2.「Aは,取引態様の別について,広告の際省略しても,顧客から注文を受けた際に明示すれば,さしつかえない。」 |
3.「Aは,実在しない物件を広告し,又は虚偽の表示を行ってはならないが,物件が実在し,その表示に誤りがなければ,実際に取引する意思のない物件を,広告してもさしつかえない。」 |
4.「Aは,媒介物件の売却の依頼を直接受けた宅地建物取引業者が作成した広告を,そのまま掲載して,A名義のチラシを作成し,配布した場合でも,その広告内容によっては,責任を問われることがある。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「Aは,別荘地に住宅を建設して分譲する場合,契約の締結を建築確認後に行うこととすれば,広告については,建築確認前であっても,建築確認申請中である旨を表示して行うことができる。」 |
【正解:×】 ◆広告の開始時期の制限,契約締結時期の制限 宅建業者は,建築工事完了前では,建築確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ,当該工事に係る建物の売買に関する広告をすることも,また,売買契約を締結することも禁止されています(宅建業法33条,不動産の表示に関する公正競争規約5条,宅建業法36条)。 建築確認申請中である旨を表示しても広告をしてはいけません。
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●広告開始時期の制限と契約締結時期の制限 | |||||||||||||
1) 違反した場合の監督処分・罰則
2) 貸借の媒介・代理の扱いの違い
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2.「Aは,取引態様の別について,広告の際省略しても,顧客から注文を受けた際に明示すれば,さしつかえない。」 |
【正解:×】 ◆取引態様の別の明示 宅建業者は,広告をするとき,及び,注文を受けたときは遅滞なく,取引態様の別を明示しなければなりません(宅建業法34条)。 注文を受けたときに明示するから広告で省略してもよいということにはなりません。また,広告で明示しているからといって注文を受けるときに省略することはできません。
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3.「Aは,実在しない物件を広告し,又は虚偽の表示を行ってはならないが,物件が実在し,その表示に誤りがなければ,実際に取引する意思のない物件を,広告してもさしつかえない。」 |
【正解:×】 ◆誇大広告等の禁止 物件が実在し,その表示に誤りがなくても,実際に取引する意思のない物件について広告することは,取引できると誤認させるおそれのある表示(おとり広告)であり,<著しく事実に相違する表示>に該当し,誇大広告等の禁止に抵触し,宅建業法に違反します(宅建業法32条,不動産の表示に関する公正競争規約14条2号)。
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4.「Aは,媒介物件の売却の依頼を直接受けた宅地建物取引業者が作成した広告を,そのまま掲載して,A名義のチラシを作成し,配布した場合でも,その広告内容によっては,責任を問われることがある。」 |
【正解:○】 ◆他の宅建業者が作成した広告を掲載 短い問題文の中で読解するのはキツイことですが,本肢は次のように読み取らなければいけません。 <媒介物件の売却の依頼を直接受けた宅建業者>・・・この表現から,Aとこの業者が共同して媒介していると読み取ります。 A名義のチラシに,他の宅建業者が作成した広告をそのまま掲載して配布した場合でも,A名義のチラシであることに変わりはなく,誇大広告等に該当するものがあれば,Aもその責任を問われます。
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