宅建業法 実戦篇

営業保証金の過去問アーカイブス 平成6年・問45


宅地建物取引業者が甲県知事の免許を受けて営業保証金を供託した場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成6年・問45)

1.「は,営業保証金の供託を地方債証券によって行うことができるが,その際の当該証券の価額は,額面金額の100分の80である。」

2.「は,営業保証金を供託しても,その旨を甲県知事に届け出た後でなければ,事業を開始することができず,これに違反したときは,6月以下の懲役に処せられることがある。」

3.「は,営業保証金の供託を現金と国債証券によって行った後,主たる事務所を移転して供託所が変更になったときは,営業保証金の保管替えを請求することができる。」

4.「は,の営業保証金の還付がなされたときは,その不足額を供託しなければならないが,その供託は,還付がなされれば,その旨の通知がなくても,行わなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「は,営業保証金の供託を地方債証券によって行うことができるが,その際の当該証券の価額は,額面金額の100分の80である。」

【正解:×

◆有価証券による供託

 営業保証金は地方債証券によって充てることができますが,その際の当該証券の価額は,額面金額の100分の90なので,本肢は誤りです(宅建業法25条3項,施行規則15条1項2号)

有価証券の額面の評価額

 国債証券  額面全額
 地方債証券
 政府保証債
 額面金額の90/100
 その他の債権  額面金額の80/100

2.「は,営業保証金を供託しても,その旨を甲県知事に届け出た後でなければ,事業を開始することができず,これに違反したときは,6月以下の懲役に処せられることがある。」

【正解:

◆供託した旨の届出をしなければ事業を開始できない

 宅建業者は,営業保証金を供託しても,その旨を甲県知事に届け出た後でなければ,事業を開始することができません(宅建業法25条4項,5項)

 従たる事務所を新たに設置したときも,その事務所について供託し,その旨の届出をした後でなければ,その事務所で営業を開始することはできません(宅建業法26条2項)

 KEY 

供託した旨の届出をしないで,事業を開始した 

監督処分 業務停止処分(情状が特に重いときは免許取消)

罰則 6月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金,又は併科

3.「は,営業保証金の供託を現金と国債証券によって行った後,主たる事務所を移転して供託所が変更になったときは,営業保証金の保管替えを請求することができる。」

【正解:×

◆二重供託

 宅建業者は,その主たる事務所を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合,金銭のみで営業保証金を供託しているときは,営業保証金を供託している供託所に対して,移転後の主たる事務所の最寄りの供託所への営業保証金の保管替えを請求することができます。

 しかし,それ以外のとき〔金銭+有価証券,有価証券のみで供託〕は,遅滞なく,営業保証金を移転後の主たる事務所の最寄りの供託所に新たに供託しなければならない(宅建業法29条1項)ので,本肢は誤りです。

 KEY 

 保管替えの請求

金銭のみで供託している場合

4.「は,の営業保証金の還付がなされたときは,その不足額を供託しなければならないが,その供託は,還付がなされれば,その旨の通知がなくても,行わなければならない。」

【正解:×

◆営業保証金の不足額の供託ー通知書の送付を受けた日から2週間以内

 営業保証金の還付がなされたときは,その不足額を供託しなければなりませんが,その供託は,免許権者〔国土交通大臣又は都道府県知事〕から通知書の送付を受けた日から2週間以内です(宅建業法28条1項,営業保証金規則4条)

宅建業者は,供託した日から2週間以内に,供託した旨を免許権者〔国土交通大臣又は都道府県知事〕に届け出なければなりません(宅建業法28条2項)


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