宅建業法 実戦篇
保証協会の過去問アーカイブス 平成6年・問46 弁済業務保証金の還付
本店と3ヵ所の支店を有する宅地建物取引業者A (甲県知事免許,平成5年12月1日営業開始) が,平成6年4月1日宅地建物取引業保証協会 (以下この問において「保証協会」という。) に加入し,弁済業務保証金分担金を納付したが,その後同年7月1日,Bから,同年3月1日のAとの不動産取引により債権が生じたとして,弁済業務保証金の還付請求があった。この場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。(平成6年・問46) |
1.「Bの取引はAが保証協会の社員となる前のものであるから,Bの還付請求は,Aがそのとき営業保証金を供託していた供託所に対して,しなければならない。」 |
2.「Aの納付した弁済業務保証金分担金は150万円であるが,Bが保証協会から弁済をうけることができる額は,最高2,500万円である。」 |
3.「Bが還付を受けるには,その額について,甲県知事の認証を受けなければならない。」 |
4.「Aは,Bが還付を受け,当該還付額相当額の還付充当金を納付すべきことを保証協会から通知されたときは,2週間以内にこれを納付することを要し,その納付をしないときは,Aの免許は,効力を失う。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
●問題文の読解 −時系列− |
12/1 3/1 4/1 7/1 ――●――――●―――――●―――――●――――――――――― 営業開始 Bと取引 保証協会加入 Bが還付請求 |
1.「Bの取引はAが保証協会の社員となる前のものであるから,Bの還付請求は,Aがそのとき営業保証金を供託していた供託所に対して,しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆社員となる前に宅建業に関して取引した者も供託所に還付請求ができる 保証協会は,保証協会の社員が保証協会に加入する前の宅建業の取引について債権を有する者にも,弁済業務を行います(宅建業法64条の8第1項)。 したがって,Bは保証協会に対して還付請求を行うことになります。〔営業保証金は保証協会の社員になったときは公告せずに取り戻せるので,Bが還付請求する時点では営業保証金は取り戻されています。〕 本肢は<社員となる前に営業保証金を供託していた供託所に還付請求しなければならない>としているので誤りです。 |
2.「Aの納付した弁済業務保証金分担金は150万円であるが,Bが保証協会から弁済をうけることができる額は,最高2,500万円である。」 |
【正解:○】 ◆弁済を受けることができる金額=保証教会に入っていない場合に供託する営業保証金の額を限度とする 保証協会の社員と宅建業に関して取引のあった者が弁済を受けられるのは,社員でない場合に供託すべき営業保証金の相当額です(宅建業法64条の8第1項)。 弁済業務保証金分担金は,主たる事務所について60万円,従たる事務所一箇所について30万円なので,このことから社員でない場合に供託すべき営業保証金の額を算定しましょう。 本肢では150万円になっているので,従たる事務所の数は, (分担金−主たる事務所分)÷従たる事務所一箇所分=従たる事務所の数 なので, (150万円−60万円)÷30万円=4 から,主たる事務所1,従たる事務所4だということがわかります。 したがって,保証教会に入っていない場合に供託する営業保証金は, 1,000万円+500万円×4=2,500万円 であることから,Bは,保証協会から最高で2,500万円の弁済を受けることができます。 |
3.「Bが還付を受けるには,その額について,甲県知事の認証を受けなければならない。」 |
【正解:×】 ◆保証協会の認証 Bは,還付を受けるにあたって保証協会の認証を受けなければなりません(宅建業法64条の8第2項)。 本肢は<都道府県知事の認証>となっているので,誤りです。 |
4.「Aは,Bが還付を受け,当該還付額相当額の還付充当金を納付すべきことを保証協会から通知されたときは,2週間以内にこれを納付することを要し,その納付をしないときは,Aの免許は,効力を失う。」 |
【正解:×】 ◆還付充当金を納付しないときは社員の地位を失う 還付充当金を納付すべきことを保証協会から通知されたときは,2週間以内にこれを納付することを要するというところは正しい記述ですが(宅建業法64条の10第2項),その後が間違っています。 保証協会から通知された日から2週間以内に納付しなかったときは,その宅建業者は保証協会の社員たる地位を失います(宅建業法64条の10第3項)。 したがって,還付充当金を納付しなかった場合に免許が失効することにはならないので,本肢は誤りです。 ▼社員としての地位を失ったときは,その日から1週間以内に営業保証金を供託しなければなりません(宅建業法64条の15)。 |
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