宅建業法 実戦篇

宅建業者の過去問アーカイブス 平成7年・問37 

名義貸しの禁止・申請中の広告はできない・秘密を守る義務・兼業


次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成7年・問37)

1.「宅地建物取引業者は,自己の名義をもって,他の宅地建物取引業者に,宅地建物取引業を営む旨の表示をさせ,又は宅地建物取引業を営む目的をもってする広告をさせてはならない。」

2.「宅地建物取引業の免許を受けようとして免許申請中の者は,免許を受けた場合の準備のためであれば,宅地建物取引業を営む予定である旨の表示をし,又は営む目的をもって広告をすることができる。」

3.「宅地建物取引業者は,宅地建物取引業を営まなくなった後においても,本人の承諾のある場合でなければ,その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」

4.「宅地建物取引業者が宅地建物取引業以外の事業を併せて営もうとする場合は,その事業の種類について免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出た後でなければ,当該事業を開始してはならない。」

【正解】

× × ×

1.「宅地建物取引業者は,自己の名義をもって,他の宅地建物取引業者に,宅地建物取引業を営む旨の表示をさせ,又は宅地建物取引業を営む目的をもってする広告をさせてはならない。」

【正解:

◆自己の名義で,他人に,宅建業の表示や広告をさせてはならない

 宅建業者は,自己の名義で,他人に,宅建業を営む旨の表示をさせたり,宅建業を営む目的をもってする広告をさせることはできません(宅建業法・13条2項)

 その他人が宅建業者であったとしても禁止されていることに変わりはありません。⇒ その宅建業者が業務停止処分等を受けている場合に名義貸しをすることになりかねないからです。

「自己の名義で他人に営業させる場合」と「自己の名義での表示・広告」の対比

   監督処分  罰則
 自己の名義をもつて、
 他人に宅建業を営ませた
 
(13条1項)
 業務停止処分

 〔情状が特に重いときは免許取消〕

 3年以下の懲役もしくは
 300万円以下の罰金,
 又は併科

 〔行為者だけでなく,
 
法人・個人業者にも罰金〕

 自己の名義をもって、他人に、
 宅建業を営む旨の
表示をさせ、
 又は宅建業を営む目的で
広告をさせた。
 (13条2項)
 業務停止処分

 〔情状が特に重いときは免許取消〕

 100万円以下の罰金

 〔行為者だけでなく,
 法人・個人業者にも罰金〕

●名義貸しの禁止
(名義貸しの禁止)
第13条  宅地建物取引業者は、自己の名義をもって、他人に宅地建物取引業を営ませてはならない。

2  宅地建物取引業者は、自己の名義をもって、他人に、宅地建物取引業を営む旨の表示をさせ、又は宅地建物取引業を営む目的をもつてする広告をさせてはならない。

2.「宅地建物取引業の免許を受けようとして免許申請中の者は,免許を受けた場合の準備のためであれば,宅地建物取引業を営む予定である旨の表示をし,又は営む目的をもって広告をすることができる。」

【正解:×

◆無免許事業等の禁止

 宅建業の免許を受けていない者は,宅建業を営む予定である旨の表示をし,又は営む目的をもって広告をすることはできません(宅建業法・12条2項)

 免許申請中の者であっても,まだ免許を受けていないのですから,本肢は,この規定に違反しているので,誤りです。

●名義貸しの禁止
(無免許事業等の禁止)

第12条  第3条第1項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営んではならない。

2  第3条第1項の免許を受けない者は、宅地建物取引業を営む旨の表示をし、又は宅地建物取引業を営む目的をもつて、広告をしてはならない。

3.「宅地建物取引業者は,宅地建物取引業を営まなくなった後においても,本人の承諾のある場合でなければ,その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」

【正解:×

秘密を守る義務

 宅建業者は,正当な理由がなければ,業務上知り得た秘密を他に漏らしてはいけません(宅建業法・45条)

 正当な理由がある場合は,本人の承諾があるもののほかにもあるので,本肢は誤りです。

※正当な理由・・・裁判での証言,税務署員からの質問,取引の相手方の利害に係ること,本人の承諾があるものなど。

 KEY 

 監督処分  指示処分
        1年以内の業務停止処分(全部又は一部)
        (情状が特に重いとき)免許取消処分

 罰則 50万円以下の罰金  両罰規定

4.「宅地建物取引業者が宅地建物取引業以外の事業を併せて営もうとする場合は,その事業の種類について免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出た後でなければ,当該事業を開始してはならない。」

【正解:×

◆宅建業法上では,兼業について届出義務はない

 免許を申請する時に,宅建業以外に行っている事業の種類を,免許申請書に記載することになっていますが(施行規則1条,別記様式1号),宅建業以外に新たに営もうとする事業について届け出る義務はないので,本肢は誤りです。

免許権者は,免許申請時に行っていた宅建業以外の事業の種類について,宅地建物取引業者名簿に登載しなければなりません国土交通大臣及び都道府県知事は,宅地建物取引業者名簿をその閲覧所に備え,請求があったときは,一般の閲覧に供しなければなりません(宅建業法・8条2項8号,施行規則5条2号)

●宅地建物取引業者名簿
(宅地建物取引業者名簿)
第8条  国土交通省及び都道府県に、それぞれ宅地建物取引業者名簿を備える。

2  国土交通大臣又は都道府県知事は、宅地建物取引業者名簿に、国土交通大臣にあつてはその免許を受けた宅地建物取引業者に関する次に掲げる事項を、都道府県知事にあつてはその免許を受けた宅地建物取引業者及び国土交通大臣の免許を受けた宅地建物取引業者で当該都道府県の区域内に主たる事務所を有するものに関する次に掲げる事項を登載しなければならない。

一  免許証番号及び免許の年月日
二  商号又は名称
三  法人である場合においては、その役員の氏名及び政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
四  個人である場合においては、その者の氏名及び政令で定める使用人があるときは、その者の氏名
五  事務所の名称及び所在地
六  前号の事務所ごとに置かれる第十五条第一項に規定する者の氏名
七  第50条の2第1項の認可を受けているときは、その旨及び認可の年月日
八  その他国土交通省令で定める事項
 (施行規則5条)

   ・法第65条第1項 若しくは第3項に規定する指示
    又は同条第2項若しくは第4項に規定する
業務停止の処分があつたときは、その年月日及び内容

   ・宅地建物取引業以外の事業を行なつているときは、その事業の種類

(宅地建物取引業者名簿等の閲覧)
第10条
 国土交通大臣又は都道府県知事は、国土交通省令の定めるところにより、宅地建物取引業者名簿並びに免許の申請及び前条の届出に係る書類又はこれらの写しを一般の閲覧に供しなければならない。


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