宅建業法 実戦篇
広告規制の過去問アーカイブス 平成8年・問45
広告開始時期の制限・不当な履行遅延の禁止・取引態様の別の明示・
誤解させる断定的判断の提供の禁止
宅地建物取引業者Aの行う広告その他の業務処理に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成8年・問45) |
1.「Aが宅地を分譲する際に国土利用計画法第27条の4の届出,又は同法第27条の7の届出をする必要がある場合,Aは,当該届出をした後でなければ,分譲の広告をしてはならない。」 |
2.「Aが宅地建物取引業を廃止した旨の届出をした後においても,Aは,届出前に締結した宅地分譲の契約に基づく当該宅地の引渡しを不当に遅延する行為をしてはならない。」 |
3.「Aが宅地の売買に関する注文を受けた場合で,その注文をした者が宅地建物取引業者であるとき,Aは,取引態様の別を明示する必要はない。」 |
4.「Aの分譲する宅地が,10年後開通予定の地下鉄の複数の駅候補地の1つから徒歩5分の場所にある場合,Aは,「地下鉄の新駅まで徒歩5分」と記載したパンフレットにより契約締結の勧誘をすることができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「Aが宅地を分譲する際に国土利用計画法第27条の4の届出,又は同法第27条の7の届出をする必要がある場合,Aは,当該届出をした後でなければ,分譲の広告をしてはならない。」 |
【正解:×】 ◆広告開始時期の制限
注視区域や監視区域の事前届出〔国土利用計画法第27条の4の届出,又は同法第27条の7の届出〕は,法令に基づく許可等の処分で政令で定めるもののなかには入っていないので,本肢は誤りです。 ▼事前届出は,売主と買主の双方が行います。広告をするということはまだ買主が決まっていないのですから,届出のしようがありません。よく考えればわかる問題です。
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2.「Aが宅地建物取引業を廃止した旨の届出をした後においても,Aは,届出前に締結した宅地分譲の契約に基づく当該宅地の引渡しを不当に遅延する行為をしてはならない。」 |
【正解:○】 ◆不当な履行遅延の禁止
この規定は,宅建業を廃止した旨の届出をして免許が効力を失ったときにも適用されます。 宅建業を廃止しても,<宅建業を廃止する前に締結した契約に基づく取引を結了する目的の範囲内においては,なお宅地建物取引業者とみなす。>という規定があるためです(宅建業法76条,11条1項5号,同2項)。 |
●違反した場合の監督処分と罰則 | ||
監督処分 | 罰則 | |
不当な履行遅延 | 業務停止
(情状が特に重いときは免許取消し) |
6月以下の懲役もしくは 100万円以下の罰金, または併科 |
手形貸与による 信用の供与 |
業務停止
(情状が特に重いときは免許取消し) |
6月以下の懲役もしくは 100万円以下の罰金, または併科 |
事実の不告知・
不実な告知 |
業務停止
(情状が特に重いときは免許取消し) |
2年以下の懲役もしくは 300万円以下の罰金, または併科 |
3.「Aが宅地の売買に関する注文を受けた場合で,その注文をした者が宅地建物取引業者であるとき,Aは,取引態様の別を明示する必要はない。」 |
【正解:×】 ◆取引態様の別の明示
この規定は,注文をした者が宅建業者であっても適用されます (宅建業法78条2項)。 したがって,<注文をした者が宅建業者であるときは,取引態様の別を明示する必要はない。>とする本肢は誤りです。 |
4.「Aの分譲する宅地が,10年後開通予定の地下鉄の複数の駅候補地の1つから徒歩5分の場所にある場合,Aは,「地下鉄の新駅まで徒歩5分」と記載したパンフレットにより契約締結の勧誘をすることができる。」 |
【正解:×】 ◆将来の環境または交通の利便について誤解させる断定的判断の提供の禁止 宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し,将来の環境または交通の利便について誤解させるような断定的判断を提供することは,相手方等の保護に欠けるものとして禁止されています (宅建業法47条の2第3項,施行規則16条の12第1号イ)。 したがって,10年後開通する予定の地下鉄の駅の候補地の1つから徒歩5分の場所にあるに過ぎないのに,「地下鉄の新駅まで徒歩5分」と記載したパンフレットにより契約締結の勧誘をするのは,この規定に反し〔駅の候補地になっているだけなので,必ず駅ができるとは限らない〕,宅建業法に違反するので,本肢は誤りです。 |
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