宅建業法 実戦篇

営業保証金の過去問アーカイブス 平成8年・問47 

供託すべき旨の催告・有価証券の評価額・営業保証金の供託先・還付による不足額の供託


宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成8年・問47)

1.「国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をした日から1月以内に営業保証金を供託した旨の届出がない場合,当該免許を受けた宅地建物取引業者に対して届出をすべき旨の催告をしなければならない。」

2.「宅地建物取引業者 (事務所数1) がその事業を開始するため営業保証金として金銭及び地方債証券を供託する場合で,地方債証券の額面金額が1,000万円であるときは,金銭の額は,100万円でなければならない。」

3.「宅地建物取引業者は,事業開始後支店を1つ新設した場合には,当該支店のもよりの供託所に営業保証金500万円を供託しなければならない。」

4.「宅地建物取引業者は,営業保証金が還付されたためその額に不足を生じた場合,不足が生じた日から2週間以内に,その不足額を供託しなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「国土交通大臣又は都道府県知事は、免許をした日から1月以内に営業保証金を供託した旨の届出がない場合,当該免許を受けた宅地建物取引業者に対して届出をすべき旨の催告をしなければならない。」

【正解:×

◆供託の届出をすべき旨の催告

 国土交通大臣又は都道府県知事は,免許をした日から3月以内に宅建業者が供託をした旨の届出をしないときは,その届出をすべき旨の催告をしなければなりません(宅建業法25条6項) ⇒ 本肢では,<1月以内に届出がない場合に催告>となっているので誤りです。

 国土交通大臣又は都道府県知事は,上記の催告が到達した日から1月以内に宅地建物取引業者が供託した旨の届出をしないときは,その免許を取り消すことができます(宅建業法25条7項,任意的免許取消)

宅建業者は,供託した旨の届出をした後でなければ,その事業を開始することはできません(宅建業法25条5項)

 KEY 

免許をした日から3月以内に宅建業者が供託をした旨の届出をしないとき 

国土交通大臣又は都道府県知事は,届出をすべき旨の催告をしなければならない

●任意的免許取消 
 以下の場合は,<免許を取り消すことができる>となっていて,必ず免許を取り消さなければならないのではありません。

・免許に付された条件に違反(66条2項)

・免許を受けた日から3ヵ月以内に供託した旨の届出がなく,届出をするよう催告を受けたのにも係らず,催告が通達した日から1ヵ月以内に,届出がないとき(25条7項)

・所在不確知(67条1項)

2.「宅地建物取引業者 (事務所数1) がその事業を開始するため営業保証金として金銭及び地方債証券を供託する場合で,地方債証券の額面金額が1,000万円であるときは,金銭の額は,100万円でなければならない。」

【正解:

有価証券での供託

 営業保証金や保証協会の弁済業務保証金は,国債証券,地方債証券その他の国土交通省令で定める有価証券(振替社債等を含む。国土交通省令では31種類の有価証券が指定されている。)で供託することができます(宅建業法・25条3項,64条の7・第3項,施行規則・15条の2・第1項)

 ただし,有価証券の価額は,額面全額をそのまま評価するのではなく,以下の有価証券の区分に従い,定めるところによります(施行規則・15条・1項)

 国債証券  その額面金額
 地方債証券 又は
 政府がその債務について保証契約をした債券
 その額面金額の90%
 上記以外の債券  その額面金額の80%

 本肢では,金銭及び地方債証券を供託する場合です。地方債証券は額面の90%にしか評価されないので,額面が1,000万円でも,90%の900万円にしか評価されないので,不足分の100万円を金銭で供託することになります。

3.「宅地建物取引業者は,事業開始後支店を1つ新設した場合には,当該支店のもよりの供託所に営業保証金500万円を供託しなければならない。」

【正解:×

◆支店新設での供託は,主たる事務所〔本店〕の最寄の供託所に供託する

 営業保証金は,主たる事務所〔本店,1,000万円〕,従たる事務所〔支店,1ヵ所につき500万円〕の区別なく,主たる事務所の最寄の供託所に供託します(宅建業法・25条1項)

 <支店のもよりの供託所に営業保証金500万円を供託>とする本肢は誤りです。

 KEY 

営業保証金の供託 

主たる事務所,従たる事務所の区別なく,
主たる事務所の最寄の供託所に供託

4.「宅地建物取引業者は,営業保証金が還付されたためその額に不足を生じた場合,不足が生じた日から2週間以内に,その不足額を供託しなければならない。」

【正解:×

◆営業保証金の還付−営業保証金の不足額の供託

 宅建業者は,営業保証金が還付されたためその額に不足を生じた場合,免許権者から通知書が届いた日から2週間以内に,その不足額を供託しなければなりません(宅建業法・28条1項)

 <不足が生じた日から2週間以内に供託しなければならない。>とする本肢は誤りです。

 KEY 

 営業保証金が還付された

免許権者から通知書が届いた日から2週間以内に不足額を供託

宅建業者は,営業保証金の不足額を供託したときは,その供託物受入れの記載のある供託書の写しを添附して,2週間以内に,その旨をその免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければなりません(宅建業法・28条2項)


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