宅建業法 実戦篇

事務所等の過去問アーカイブス 平成9年・問30 従業者名簿


宅地建物取引業者の従業者名簿に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。 (平成9年・問30)

1.「従業者名簿に,従業者の氏名,住所,生年月日及び主たる職務内容を記載したが,宅地建物取引主任者 (以下「取引主任者」という。) であるか否かの別は記載しなかった。」

2.「従業者名簿を,最終の記載をした日から5年間保存し,その後直ちに廃棄した。」

3.「従業者名簿を,それぞれの事務所ごとに作成して備え付け,主たる事務所に一括して備え付けることはしなかった。」

4.「取引の関係者から従業者名簿の閲覧を求められたが,宅地建物取引業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に,この申出を断った。」

【正解】

違反する 違反する 違反しない 違反する

1.「従業者名簿に,従業者の氏名,住所,生年月日及び主たる職務内容を記載したが,宅地建物取引主任者 (以下「取引主任者」という。) であるか否かの別は記載しなかった。」

【正解:違反する

従業者名簿の記載事項

 宅建業者は,事務所ごとに所定の様式(施行規則別記様式8号の2)の従業者名簿を備え,従業者の氏名・住所・従業者証明書番号その他国土交通省令で定める事項を記載しなければなりません(宅建業法48条3項,施行規則17条の2第1項,同第2項)

 取引主任者であるか否かの別は記載事項です。記載しないと,宅建業法に違反します。

●従業者名簿の記載事項
・氏名,住所,従業者証明書の番号,

・生年月日

・主たる職務内容

取引主任者であるか否かの別

・当該事務所の従業者となった年月日

・当該事務所の従業者でなくなったときは,その年月日

2.「従業者名簿を,最終の記載をした日から5年間保存し,その後直ちに廃棄した。」

【正解:違反する
◆最終の記載をした日から10年間保存義務

 宅建業者は,事務所ごとに所定の様式の従業者名簿を備え,最終の記載をした日から10年間保存しなければなりません従業者の氏名・住所・従業者証明書番号その他国土交通省令で定める事項を記載しなければなりません(宅建業法48条3項,施行規則17条の2第4項)

 <最終の記載をした日から5年間保存し,その後直ちに廃棄>するのは,宅建業法に違反します。

従業者名簿と帳簿の対比

1) 保存期間

 従業者名簿  最終の記載をした日から10年間保存
 帳 簿  帳簿は,各事業年度の末日に閉鎖し,閉鎖後5年間保存

※当該宅地建物取引業者が自ら売主となる新築住宅に係るものは10年間保存。

2) 監督処分と罰則

   監督処分  罰則
 従業者名簿  業務停止処分  50万円以下の罰金
 帳 簿  指示処分  50万円以下の罰金

3.「従業者名簿を,それぞれの事務所ごとに作成して備え付け,主たる事務所に一括して備え付けることはしなかった。」

【正解:違反しない

◆事務所ごとに備える

 宅建業者は,主たる事務所に一括して備えるのではなく,事務所ごとに所定の様式の従業者名簿を備えなければなりません(宅建業法48条3項)

 本肢は宅建業法に違反しません。

4.「取引の関係者から従業者名簿の閲覧を求められたが,宅地建物取引業法第45条に規定する秘密を守る義務を理由に,この申出を断った。」

【正解:違反する

◆従業者名簿の閲覧

 宅建業者は,事務所ごとに所定の様式の従業者名簿を備え,従業者の氏名・住所・従業者証明書番号その他国土交通省令で定める事項を記載し,取引の関係者から請求があったときは閲覧させなければなりません(宅建業法48条3項・4項,施行規則17条の2第1項,同第2項)

 『秘密を守る義務』は,業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはいけないというものであり,従業者名簿を閲覧させてはいけないという規定ではないので,本肢は宅建業法に違反します。


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