宅建業法 実戦篇
自ら売主の制限の過去問アーカイブス 平成9年・問45
自己の所有に属しない宅地建物の売買契約締結の制限 (他人物売買の制限)
宅地建物取引業者Aが,自ら売主として,B所有の宅地(造成工事完了後)をCに売却しようとしている。この場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。 (平成9年・問45) |
1.「Cが宅地建物取引業者である場合で,B所有の当該宅地はBがDから売買により取得したものであるが,BがDにまだその売買代金を完済していないとき,Aは,Cと売買契約を締結できる。」 |
2.「Cが宅地建物取引業者でない場合で,AがBから当該宅地を取得する契約の予約を締結しているときは,Aが予約完結権を行使するまでの間であっても,Aは,Cと売買契約を締結できる。」 |
3.「Cが宅地建物取引業者である場合で,AがBと「代替地の提供があれば,Bは,Aに当該宅地を譲渡する」旨の契約を締結しているとき,Aは,Cと売買契約を締結できる。」 |
4.「Cが宅地建物取引業者でない場合で,AがCから受け取る手付金について宅地建物取引業法第41条の2の規定による手付金等の保全措置を講じたときは,AB間の宅地の譲渡に関する契約の有無にかかわらず,Aは,Cと売買契約を締結できる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
1.「Cが宅地建物取引業者である場合で,B所有の当該宅地はBがDから売買により取得したものであるが,BがDにまだその売買代金を完済していないとき,Aは,Cと売買契約を締結できる。」 |
【正解:○】 ◆買主が宅建業者のときは,自ら売主の8種制限は適用されない
宅建業者相互間の取引には,自ら売主の8種制限〔他人物売買の制限も,その一つ〕は適用されません(宅建業法78条2項)。 したがって,宅建業者Aは自ら売主として,宅建業者であるCとB所有の宅地〔自らの所有に属しない宅地〕について売買契約を締結することができます。 |
2.「Cが宅地建物取引業者でない場合で,AがBから当該宅地を取得する契約の予約を締結しているときは,Aが予約完結権を行使するまでの間であっても,Aは,Cと売買契約を締結できる。」 |
【正解:○】
Bから取得する契約が予約契約であるときは,予約完結権を行使するまでの間であっても,当該宅地を取得できるのが明らかなので,Aは,自ら売主として宅建業者ではないCと売買契約を締結することができます(宅建業法33条の2第1号)。
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3.「Cが宅地建物取引業者である場合で,AがBと「代替地の提供があれば,Bは,Aに当該宅地を譲渡する」旨の契約を締結しているとき,Aは,Cと売買契約を締結できる。」 |
【正解:○】 ◆所有者との間の売買契約が停止条件付のとき
「代替地の提供があれば,Aに当該宅地を譲渡する」というのは停止条件付契約です。 Bから取得する契約が停止条件付のとき,その条件が成就するまでの間は,Aは,自ら売主として宅建業者ではない者と売買契約を締結することはできません(宅建業法33条の2第1号)。 しかし,Cは宅建業者なので,自ら売主の8種制限〔他人物売買の制限も,その一つ〕は適用されないため,Aは,Cと売買契約を締結できます(宅建業法78条2項)。
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4.「Cが宅地建物取引業者でない場合で,AがCから受け取る手付金について宅地建物取引業法第41条の2の規定による手付金等の保全措置を講じたときは,AB間の宅地の譲渡に関する契約の有無にかかわらず,Aは,Cと売買契約を締結できる。」 |
【正解:×】 ◆手付金等保全措置は関係ない
完成物件の手付金等保全措置を講じていても,AB間で当該宅地の譲渡に関する契約〔予約を含み,停止条件付のものを除く。〕が締結されていなければ,Aは,自ら売主として,宅建業者でないCと売買契約を締結することはできません(宅建業法33条の2第1号)。 |
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