宅建業法 実戦篇

取引態様の別の明示の過去問アーカイブス 平成10年・問34 取引態様の明示


宅地建物取引業者が,建物の売買に関し広告をし,又は注文を受けた場合の取引態様の明示に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成10年・問34)

1.「は,取引態様の別を明示すべき義務に違反する広告をした場合,業務停止処分の対象になることがあり,情状が特に重いとき,免許を取り消される。」

2.「は,取引態様の別を明示した広告を見た者から建物の売買に関する注文を受けた場合,注文を受けた際に改めて取引態様の別を明示する必要はない。」

3.「は,建物の売買に関する注文を受けた場合,注文者に対して,必ず文書により取引態様の別を明示しなければならない。」

4.「は,他の宅地建物取引業者から建物の売買に関する注文を受けた場合,取引態様の別を明示する必要はない。」

【正解】

× × ×

1.「は,取引態様の別を明示すべき義務に違反する広告をした場合,業務停止処分の対象になることがあり,情状が特に重いとき,免許を取り消される。」

【正解:

◆取引態様の別の明示義務に違反

 宅建業者は,売買・交換・貸借に関する広告をするときは,自ら売買・交換の当事者なのか,代理人なのか,媒介なのかの別を明示しなければなりません(宅建業法34条1項)

 この規定に違反する広告をした場合は,業務停止処分の対象になり,情状が特に重いときは免許を取り消されます(宅建業法65条2項2号,4項,66条1項9号)⇒ 罰則はありません。

取引態様の別の明示義務は,宅建業者がどのような立場で取引にかかわるのか伝えないとトラブルが生じることがあるので,防止するための規定です。

2.「は,取引態様の別を明示した広告を見た者から建物の売買に関する注文を受けた場合,注文を受けた際に改めて取引態様の別を明示する必要はない。」

【正解:×

◆注文を受けたときは遅滞なく取引態様の別を明示

 取引態様の別を明示した広告を見た者からの注文であっても,注文を受けた際に遅滞なく,改めて取引態様の別を明示しなければなりません(宅建業法34条2項)

 広告した時点とその後で,取引態様の別が変わることがあり,また広告を見たといっても,その人が取引態様の別を勘違いしている場合もあります。後々問題を起こさないようにするために,注文を受けたときには遅滞なく明示することになっています。

3.「は,建物の売買に関する注文を受けた場合,注文者に対して,必ず文書により取引態様の別を明示しなければならない。」

【正解:×

◆取引態様の別の明示方法

 取引態様の別の明示は,特に方法は示されておらず,文書・口頭のどちらでもかまいません。本肢では,「必ず文書で明示しなければならない」としていますが,誤りです。

4.「は,他の宅地建物取引業者から建物の売買に関する注文を受けた場合,取引態様の別を明示する必要はない。」

【正解:×

◆注文をしてきたものが宅建業者でも明示する

 注文をしてきた者が宅建業者であっても,取引態様の別を明示しなければなりません。

 宅建業者相互間の取引で適用がないのは自ら売主の8種制限だけです(宅建業法78条2項)


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