宅建業法 実戦篇
営業保証金の過去問アーカイブス 平成10年・問37
宅地建物取引業者A (甲県知事免許) の営業保証金に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成10年・問37) |
1.「Aは,本店について1,000万円,支店1ヵ所について500万円の営業保証金を,それぞれの事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。」 |
2.「Aが免許を受けてから1月以内に営業保証金を供託した旨の届出をしない場合は,甲県知事から届出をすべき旨の催告を受け,さらに催告が到達した日から1月以内に届出をしないと免許を取り消されることがある。」 |
3.「Aは,事業の開始後新たに1の支店を設置したときは,500万円の営業保証金を供託しなければならないが,この供託をした後であれば,その旨の届出をする前においても,当該支店における事業を行うことができる。」 |
4.「Aは,免許失効に伴う営業保証金の取戻しのため,Aとの宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者に対し所定の期間内に申し出るべき旨の公告をしたときは,遅滞なく,その旨を甲県知事に届け出なければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「Aは,本店について1,000万円,支店1ヵ所について500万円の営業保証金を,それぞれの事務所のもよりの供託所に供託しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆営業保証金は,主たる事務所の最寄の供託所に供託する 営業保証金は,主たる事務所について1,000万円,従たる事務所1ヵ所について500万円です。この部分の記述は正しいですが,後半部分が誤りです。 営業保証金は,その全額【主たる事務所,従たる事務所についての営業保証金の合計】を,主たる事務所の最寄の供託所に供託しなければなりません(宅建業法35条1項,2項)。 |
2.「Aが免許を受けてから1月以内に営業保証金を供託した旨の届出をしない場合は,甲県知事から届出をすべき旨の催告を受け,さらに催告が到達した日から1月以内に届出をしないと免許を取り消されることがある。」 |
【正解:×】 ◆供託した旨の届出をしない ⇒ 任意的免許取消事由 宅建業者が免許を受けてから3ヵ月以内に供託した旨を免許権者に届け出ないとき,免許権者は<「供託した旨の届出」をすべき旨の催告>をしなければなりません(宅建業法25条6項)。⇒ 本肢では,「1ヵ月以内に供託した旨の届出をしない場合」となっているので,誤り。 また,この催告が到達した日から1月以内に届出がないときは,免許権者である国土交通大臣または都道府県知事はその宅建業者の免許を取り消すことができます(宅建業法25条7項)。 |
3.「Aは,事業の開始後新たに1の支店を設置したときは,500万円の営業保証金を供託しなければならないが,この供託をした後であれば,その旨の届出をする前においても,当該支店における事業を行うことができる。」 |
【正解:×】 ◆供託をした旨の届出をした後でなければ,新たな支店での事業を開始できない 営業保証金の供託 供託した旨の届出 事業の開始後に新たに従たる事務所を設置したときは,その事務所についての営業保証金を供託した旨の届出をした後でなければ,その従たる事務所での宅建業を開始することはできません(宅建業法26条1項,2項,25条5項)。 本肢では,「供託をした後であれば,供託した旨の届出をしていなくても,当該支店における事業を行うことができる。」としているので,誤りです。
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4.「Aは,免許失効に伴う営業保証金の取戻しのため,Aとの宅地建物取引業に関する取引により生じた債権を有する者に対し所定の期間内に申し出るべき旨の公告をしたときは,遅滞なく,その旨を甲県知事に届け出なければならない。」 |
【正解:○】 ◆営業保証金の取り戻しのために公告した旨の届出 免許の失効に伴う営業保証金の取戻しのため,宅建業に関する取引により生じた債権を有する者に対し所定の期間内に申し出るべき旨の公告【官報に公告する】したときは,遅滞なく,その旨を免許権者である国土交通大臣または都道府県知事に届け出なければなりません(宅建業法30条1項,2項,営業保証金規則8条1項,3項)。 |
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