宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 平成11年・問31 取引主任者証
宅地建物取引主任者 (以下「取引主任者」という) Aが,甲県知事から宅地建物取引主任者証 (以下「取引主任者証」という) の交付を受けている場合に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成11年・問31) |
1.「Aが,乙県知事に対し宅地建物取引主任者資格登録の移転の申請とともに取引主任者証の交付を申請したとき,Aは,乙県知事から新たな取引主任者証の交付を受けた後,1週間以内に甲県知事に従前の取引主任者証を返納しなければならない 。」 |
2.「Aが,乙県の区域内における業務に関して乙県知事から事務禁止の処分を受けたとき,Aは,1週間以内に乙県知事に取引主任者証を提出しなければならない。」 |
3.「Aが,取引主任者証の有効期間の更新を受けようとするとき,Aは,甲県知事が指定する講習で有効期間満了の日前1年以内に行われるものを受講しなければならない。」 |
4.「Aが,甲県の区域内における業務に関して事務禁止の処分を受け,甲県知事に取引主任者証を提出した場合で,その処分の期間の満了後返還を請求したとき,甲県知事は,直ちに,取引主任者証をAに返還しなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「Aが,乙県知事に対し宅地建物取引主任者資格登録の移転の申請とともに取引主任者証の交付を申請したとき,Aは,乙県知事から新たな取引主任者証の交付を受けた後,1週間以内に甲県知事に従前の取引主任者証を返納しなければならない 。」 |
【正解:×】 ◆登録の移転とともに取引主任者証の交付申請をしたとき−引換え交付
取引主任者が,登録の移転の申請とともに取引主任者証の交付の申請をしたときは,現に有する取引主任者証と引換えに新たな取引主任者証が交付されるので,本肢は誤りです(宅建業法施行規則14条の14)。 登録の移転によって移転前の取引主任者証は効力を失っているので返納する義務がありますが,返納してしまうと取引主任者の手元に取引主任者証がないために,新たな取引主任者証の交付を受けるまでは重要事項の説明等の取引主任者の事務ができないことになるので,引換え交付にしているわけです。
●このほかの取引主任者証の引換え交付 ▼汚損または破損を理由とする再交付では,汚損しまたは破損した取引主任者証と引換えに新たな取引主任者証が交付されます(宅建業法施行規則14条の15第3項)。 ▼取引主任者証の有効期間の申請による新たな取引主任者証は,現に有する取引主任者証と引換えに交付されます(宅建業法施行規則14条の16第3項)。 ▼取引主任者証の書換え交付では,現に有する取引主任者証と引換えに新たな取引主任者証が交付されます(宅建業法施行規則14条の13第3項)。 |
2.「Aが,乙県の区域内における業務に関して乙県知事から事務禁止の処分を受けたとき,Aは,1週間以内に乙県知事に取引主任者証を提出しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆取引主任者証の提出
取引主任者は,事務禁止の処分を受けたときは,速やかに,取引主任者証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければなりません(宅建業法22条の2第7項)。 本肢では,「1週間以内に,宅地建物取引主任者証を事務禁止処分を行った知事に提出しなければならない」としていて,2つ,誤りがあります。 |
3.「Aが,取引主任者証の有効期間の更新を受けようとするとき,Aは,甲県知事が指定する講習で有効期間満了の日前1年以内に行われるものを受講しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆取引主任者証の有効期間の更新−法定講習の受講義務
誤 : 有効期間満了の日前1年以内 ⇒ 正 : 取引主任者証の有効期間の更新を申請しようとする者は、登録をしている都道府県知事が指定する講習で更新の申請前6ヵ月以内に行われるものを受講しなければなりません(宅建業法22条の3第1項,第2項,施行規則14条の16第1項,2項,14条の17)。 ▼更新後の新たな取引主任者証の交付は,当該取引主任者が現に有する取引主任者証と引換えに行います(施行規則14条の16第3項)。 |
4.「Aが,甲県の区域内における業務に関して事務禁止の処分を受け,甲県知事に取引主任者証を提出した場合で,その処分の期間の満了後返還を請求したとき,甲県知事は,直ちに,取引主任者証をAに返還しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆返還の請求があったときは直ちに返還する−事務禁止期間の満了 取引主任者は事務禁止処分を受けたときは,直ちに,取引主任者証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければなりません(宅建業法22条の2第7項)。⇒違反すると10万円以下の過料 都道府県知事は,事務禁止期間が満了した場合に,提出者から返還の請求があったときは,直ちに,当該取引主任者証を返還しなければなりません(宅建業法22条の2第8項)。
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