宅建業法 実戦篇
媒介契約の過去問アーカイブス 平成11年・問37 専属専任媒介契約
宅地建物取引業者Aが,Bから宅地の売却の依頼を受け,Bと専属専任媒介契約 (以下この問において「媒介契約」という) を締結した場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成11年・問37) |
1.「『媒介契約の有効期間内に宅地の売買契約が成立しないときは,同一の期間で契約を自動更新する』 旨の特約を定めた場合,媒介契約全体が無効となる。」 |
2.「宅地の買主の探索が容易で,指定流通機構への登録期間経過後短期間で売買契約を成立させることができると認められる場合には,Aは,契約の相手方を探索するため,当該宅地について指定流通機構に登録する必要はない。」 |
3.「Bが宅地建物取引業者である場合でも,Aが媒介契約を締結したときにBに交付すべき書面には,BがAの探索した相手方以外の者と宅地の売買又は交換の契約を締結したときの措置を記載しなければならない。」 |
4.「媒介契約において,『Bが他の宅地建物取引業者の媒介によって宅地の売買契約を成立させた場合,宅地の売買価額の3%の額を違約金としてAに支払う』 旨の特約は,無効である。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「『媒介契約の有効期間内に宅地の売買契約が成立しないときは,同一の期間で契約を自動更新する』 旨の特約を定めた場合,媒介契約全体が無効となる。」 |
【正解:×】 ◆自動更新する旨の特約は無効 媒介契約の有効期間は,依頼者が申し出ることによってのみ,更新することができ,これに反して自動更新する特約は,無効です(宅建業法34条の2第4項,第9項)。 しかし,無効になるのは自動更新する特約のみであって,媒介契約全体が無効となるのではありません。 |
2.「宅地の買主の探索が容易で,指定流通機構への登録期間経過後短期間で売買契約を成立させることができると認められる場合には,Aは,契約の相手方を探索するため,当該宅地について指定流通機構に登録する必要はない。」 |
【正解:×】 ◆指定流通機構への登録 専属専任媒介契約を締結したときは,契約の相手方を探索するため,媒介の目的物である宅地または建物についての所定の事項を,媒介契約締結の日から5日以内(休業日は除く。)に,指定流通機構に登録しなればなりません(宅建業法34条の2第5項,施行規則15条の8)。 これに例外はなく,買主の探索が容易であるとしても,必ず登録しなければならないので,本肢は誤りです。
|
3.「Bが宅地建物取引業者である場合でも,Aが媒介契約を締結したときにBに交付すべき書面には,BがAの探索した相手方以外の者と宅地の売買又は交換の契約を締結したときの措置を記載しなければならない。」 |
【正解:○】 ◆媒介書面の記載事項−宅建業者が探索した相手方以外の者と契約を締結したときの措置 宅建業者は,媒介契約を締結したときに遅滞なく依頼主に交付する書面〔媒介書面〕には,宅建業法で定められた一定事項を記載することになっています。 専属専任媒介契約の場合は,<媒介契約を締結した宅建業者が探索した相手方以外の者と宅地の売買又は交換の契約を締結したときの措置>を,媒介書面に記載しなければなりません(宅建業法34条の2第1項,施行規則15条の7第2号)。 この規定は依頼主が宅建業者であっても適用されます(宅建業法78条2項)。 ●専属専任媒介契約と専任媒介契約の違い
●媒介書面の記載事項の違い
|
4.「媒介契約において,『Bが他の宅地建物取引業者の媒介によって宅地の売買契約を成立させた場合,宅地の売買価額の3%の額を違約金としてAに支払う』 旨の特約は,無効である。」 |
【正解:×】 ◆他の宅建業者の媒介によって契約を成立させた場合の措置 専任媒介契約,専属専任媒介契約の場合は,<依頼者が他の宅建業者の媒介又は代理によつて売買又は交換の契約を成立させたときの措置 >を,媒介書面に記載しなければなりません(宅建業法34条の2第1項,施行規則15条の7第1号)。 この措置の内容については,宅建業法では特に規定はないので,本肢のように,売買価額の3%の額を違約金とすることは可能であり,有効です。 したがって,「無効」とする本肢は誤りです。 ▼標準専属専任媒介契約約款(平成17年3月28日国土交通省告示第356号)では, ・他の宅建業者に媒介代理を依頼して,契約を締結させたとき ・宅建業者が探索した相手方以外と契約を締結させたとき の措置として,約定報酬額に相当する金額を違約金としています(11条1項,2項)。 |
1000本ノック・宅建業法編・本編のトップに戻る Brush Up! 媒介契約に戻る