宅建業法 実戦篇
業務上の規制の過去問アーカイブス 平成11年・問40
広告開始時期の制限・契約締結時期の制限・
自己の所有に属さない宅地建物の売買契約締結の制限・業務停止処分と広告
宅地建物取引業者Aが,自ら売主として,建物を販売する場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。(平成11年・問40) |
1.「Aは,建物を新築するため建築確認の申請中であったので, 「建築確認申請済」 と表示して,その建物の販売に関する広告を行い,販売の契約は建築確認を受けた後に締結した。」 |
2.「Aが,建物を新築するため建築確認の申請中であったので,宅地建物取引業者Bに対し,その建物を販売する契約の予約を締結した。」 |
3.「Aは,中古の建物を,その所有者Cから停止条件付きで取得する契約を締結し,当該条件の未成就のまま,その建物を宅地建物取引業者Dに対し販売する契約を締結した。」 |
4.「Aは,都道府県知事から業務の全部の停止を命じられ,その停止の期間中に建物の販売に関する広告を行ったが,販売の契約は当該期間の経過後に締結した。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
違反する | 違反する | 違反しない | 違反する |
1.「Aは,建物を新築するため建築確認の申請中であったので, 「建築確認申請済」 と表示して,その建物の販売に関する広告を行い,販売の契約は建築確認を受けた後に締結した。」 |
【正解:違反する】 ◆広告開始時期の制限 宅建業者は,建築に関する工事の完了前の物件について,工事について必要とされる建築確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ,その工事に係る建物の売買・交換(その媒介・代理),貸借の媒介・代理に関する広告をすることはできません(宅建業法33条の2)。 販売の契約を建築確認の後に締結したのであっても,建築確認の前に広告をしているので,宅建業法に違反しています。⇒ 建築確認の申請済と表示しても,建築確認の前なので,違反していることに変わりはありません。 |
2.「Aが,建物を新築するため建築確認の申請中であったので,宅地建物取引業者Bに対し,その建物を販売する契約の予約を締結した。」 |
【正解:違反する】 ◆契約締結時期等の制限 宅建業者は,建築に関する工事の完了前の物件について,工事について必要とされる建築確認その他法令に基づく許可等の処分で政令で定めるものがあった後でなければ,その工事に係る建物について,売買・交換の契約を締結したり,売買・交換の媒介・代理して契約を締結することはできません(宅建業法36条)。⇒ 禁止される契約は予約も含まれます。 売買・交換の相手方が宅建業者であっても,この規定は適用されるので(宅建業法78条2項),本肢は宅建業法に違反します。 |
3.「Aは,中古の建物を,その所有者Cから停止条件付きで取得する契約を締結し,当該条件の未成就のまま,その建物を宅地建物取引業者Dに対し販売する契約を締結した。」 |
【正解:違反しない】 ◆自己の所有に属しない宅地建物の売買契約の制限 自己の所有に属しない宅地又は建物について,停止条件付で取得する契約を締結している場合,その条件が未成就の間は,自ら売主として,宅建業者ではない者と売買契約を締結することはできません(宅建業法33条の2第1号)。 しかし,自ら売主の8種制限は,宅建業者相互間の取引には適用されないので〔買主が宅建業者のときは適用されない。〕,本肢は宅建業法に違反しません。 |
4.「Aは,都道府県知事から業務の全部の停止を命じられ,その停止の期間中に建物の販売に関する広告を行ったが,販売の契約は当該期間の経過後に締結した。」 |
【正解:違反する】 ◆業務停止期間中に広告をすることは 宅建業者が業務の全部の停止を命じられたときは,販売に関する広告も宅建業の業務なので,業務停止期間中に販売広告をするのは,宅建業法に違反します。 販売の契約は業務停止期間の経過後に締結したとしても,このことに変わりはありません。 ▼宅建業者が業務停止処分に違反すると,免許権者はその免許を取消さなければなりません(宅建業法66条1項9号)。 |
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