宅建業法 実戦篇

保証協会の過去問アーカイブス 平成11年・問44 


宅地建物取引業保証協会(以下この問において「保証協会」という)に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成11年・問44)

1.「保証協会に加入しようとする者は,加入しようとする日までに弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならないが,加入に際して,加入前の宅地建物取引業に関する取引により生じたその者の債務に関し,保証協会から担保の提供を求められることはない。」

2.「弁済業務保証金の還付を受けようとする者は,保証協会の認証を受けなければならず,認証申出書の提出に当たっては,弁済を受ける権利を有することを証する確定判決の正本を必ず添付しなければならない。」

3.「保証協会は,弁済業務保証金の還付があった場合は,当該還付に係る社員又は社員であった者に対し,その還付額に相当する額の還付充当金を法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所に納付すべきことを通知しなければならない。」

4.「保証協会は,社員に対して債権を有する場合は,当該社員が社員の地位を失ったときでも,その債権に関し弁済が完了するまで弁済業務保証金分担金をその者に返還する必要はない。」

【正解】

× × ×

1.「保証協会に加入しようとする者は,加入しようとする日までに弁済業務保証金分担金を保証協会に納付しなければならないが,加入に際して,加入前の宅地建物取引業に関する取引により生じたその者の債務に関し,保証協会から担保の提供を求められることはない。」

【正解:×

◆加入時の担保の提供 

 保証協会は,社員が社員となる前に当該社員と宅建業に関し取引をした者の有するその取引により生じた債権に関し弁済が行なわれることにより弁済業務の円滑な運営に支障を生ずるおそれがあると認めるときは,当該社員に対し,担保の提供を求めることができる(宅建業法64条の4第3項)

 保証協会に加入しようとする者は,弁済業務保証金分担金の納付のほか,本肢のように,弁済業務の円滑な運営に支障を生ずるおそれがあると認めるときは,担保の提供を求められることがあります。

 したがって,本肢は誤りです。

2.「弁済業務保証金の還付を受けようとする者は,保証協会の認証を受けなければならず,認証申出書の提出に当たっては,弁済を受ける権利を有することを証する確定判決の正本を必ず添付しなければならない。」

【正解:×

◆認証申出書の添附書類

 弁済業務保証金の還付を受けようとする者は,保証協会の認証を受けなければなりませんが(宅建業法64条の8第2項),認証申出書に確定判決の正本を添附する必要はないので,本肢は誤りです(施行規則26条の5第2項)

●認証の申出 −宅建業法施行規則−
(認証の申出)
第26条の5
 法第64条の8第2項 の規定により宅地建物取引業保証協会の認証を受けようとする者は、その者と取引をした社員が属する宅地建物取引業保証協会に別記様式第21号による認証申出書を三通提出しなければならない。

2  前項の認証申出書には、次の各号に掲げる書類を添附しなければならない。

一  債権発生の原因である事実、取引が成立した時期、債権の額及び認証を申し出るに至つた経緯を記載した書面

二  法第64条の8第1項 の権利を有することを証する書面

三  認証の申出人が法人である場合においては、その代表者の資格を証する書面

四  代理人によつて認証の申出をしようとするときは、代理人の権限を証する書面

3.「保証協会は,弁済業務保証金の還付があった場合は,当該還付に係る社員又は社員であった者に対し,その還付額に相当する額の還付充当金を法務大臣及び国土交通大臣の定める供託所に納付すべきことを通知しなければならない。」

【正解:×

◆還付充当金の納付先

 弁済業務保証金の還付があった場合,保証協会は,当該還付に係る社員又は社員であった者に対し,その還付額に相当する額の還付充当金を保証協会に納付すべきことを通知します(宅建業法64条の10第1項)

 本肢は,「還付充当金の納付を供託所に納付」としているので,誤りです。

還付充当金の納付すべき旨の通知を受けた者は,通知を受けた日から2週間以内に納付しなければなりません。この期間内に納付しないと,保証協会の社員の地位を失います(宅建業法64条の10第2項,第3項)

4.「保証協会は,社員に対して債権を有する場合は,当該社員が社員の地位を失ったときでも,その債権に関し弁済が完了するまで弁済業務保証金分担金をその者に返還する必要はない。」

【正解:

◆弁済業務保証金分担金の返還の条件

 保証協会は,弁済業務保証金を取り戻したときは,当該社員であつた者又は社員に対し,その取り戻した額に相当する額の弁済業務保証金分担金を返還することになりますが(宅建業法64条の11第2項)

 (i) 保証協会が,社員であった者又は社員に対して債権を有する場合は,その債権に関し弁済が完了した後に,

 (ii) また,社員であった者又は社員に関し認証をしたときは,還付充当金の債権に関し弁済が完了した後に,

 弁済業務保証金分担金を返還しなければいけません(宅建業法64条の11第3項)

 本肢は,正しい記述です。

弁済業務保証金の取り戻しは,「社員の地位を失ったとき」,「社員が支店を廃止したとき」,の2つがあります。

保証協会が,社員であった者に対して弁済業務保証金分担金を返還する場合は,その前提として,<認証を受けるため一定期間内に申し出るべき旨を保証協会が公告で示した期間が経過した後>であることにも注意してください(宅建業法64条の11第3項)


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