宅建業法 実戦篇

取引主任者の過去問アーカイブス 平成12年・問33 資格登録(欠格要件・未成年)


取引主任者の登録に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成12年・問33)

1.「取引主任者が,不正の手段により登録を受けたとして登録の消除の処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分についての決定がされる日までの間に,相当の理由なく登録の消除を申請した場合,は,当該登録が消除された日から5年を経過しなければ,新たな登録を受けることができない。」

2.「取引主任者は,刑法第209条 (過失傷害) の罪により罰金の刑に処せられた場合は,30日以内に登録の消除を申請しなければならず,当該登録が消除された日から5年を経過しなければ,新たな登録を受けることができない。」

3.「取引主任者が,登録を受けている都道府県知事から事務禁止の処分を受け,その禁止の期間中にからの申請に基づくことなく登録を消除された場合は,事務禁止の期間が満了するまでの間は,は,新たな登録を受けることができない。」

4.「未成年 (未婚) であるは,法定代理人から宅地建物取引業の営業に関し許可を得て登録を受けることができるが,宅地建物取引業者がその事務所等に置かなければならない成年者である専任の取引主任者とみなされることはない。」

【正解】

× × ×

1.「取引主任者が,不正の手段により登録を受けたとして登録の消除の処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分についての決定がされる日までの間に,相当の理由なく登録の消除を申請した場合,は,当該登録が消除された日から5年を経過しなければ,新たな登録を受けることができない。」

【正解:

◆登録の欠格要件−登録消除処分に係る聴聞の公示日後,相当の理由なく登録の消除を申請した者

 不正の手段により登録を受けたとして登録消除処分に係る聴聞の期日及び場所が公示された日から当該処分についての決定がされる日までの間に,相当の理由なく登録の消除を申請した場合は,登録が消除された日から5年を経過しなければ,再登録を受けることはできません(宅建業法18条1項7号)

2.「取引主任者は,刑法第209条 (過失傷害) の罪により罰金の刑に処せられた場合は,30日以内に登録の消除を申請しなければならず,当該登録が消除された日から5年を経過しなければ,新たな登録を受けることができない。」

【正解:×

◆登録の欠格要件にならない罰金刑

 宅建業法,刑法〔傷害現場助勢暴行凶器準備集合及び結集脅迫背任〕,暴力行為等処罰に関する法律,暴力団による不当な行為の防止等の法律に違反して,罰金の刑に処せられた者は,その刑の執行が終わった日から5年を経過しなければ<又は時効の完成等により刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しなければ>,取引主任者の資格登録を受けることができません(宅建業法・18条1項5号の2)

 また,登録を受けている者がこれらの罰金刑に処せられたときは,30日以内にその旨を登録を受けている都道府県知事に届け出なければならず(宅建業法・21条2号),その刑の執行が終わった日から5年を経過しないと<又は時効の完成等により刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しないと>,再登録を受けることはできません。

 しかし,刑法第209条 (過失傷害) の罪により罰金の刑に処せられた場合は,上記の欠格要件には該当しないので,本肢は誤りです。

3.「取引主任者が,登録を受けている都道府県知事から事務禁止の処分を受け,その禁止の期間中にからの申請に基づくことなく登録を消除された場合は,事務禁止の期間が満了するまでの間は,は,新たな登録を受けることができない。」

【正解:×

◆登録の欠格要件−登録消除処分を受けて5年を経過しない者

 事務禁止の処分を受け,その禁止の期間中に,事務禁止違反等※1で登録を消除された場合は※2,登録が消除された日から5年を経過しないと再登録を受けることはできません(宅建業法18条1項6号)

 この場合,本肢は,<事務禁止の期間が満了するまでの間は,新たな登録を受けることができない。>としていますが,事務禁止の期間が満了するまでの間ではなく,登録を消除された日から5年間再登録を受けることはできないので,誤りです。

※1事務禁止違反等※1で登録を消除された場合

 具体的には,1) 事務禁止処分に違反した場合,2) 不正手段により登録を受けたことが判明した場合、3) 不正手段により主任者証の交付を受けたことが判明した場合 の三つがある。

※2このほかに,本人の申請によることなく登録が消除される主な場合

   再登録できる時期
未成年者が成年者と同一の行為能力を失った場合,  行為能力を復活または成人後
成年後見人又は被保佐人になった場合,  成年後見人や被保佐人では
 なくなり,かつ,被補助人または
 行為能力を有するに至った後
破産手続き開始の決定があった場合,  復権後
禁錮以上の刑に処せられた場合 執行を終わって5年経過後
その主任者が公示日前60日以内に
役員であった法人の宅建業者が
不正免許取得などで免許を取り消された場合,
その法人の免許取り消しの日から
5年経過後
その主任者が個人の宅建業者で,不正免許取得等
で免許を取り消された場合
免許取り消しの日から5年経過後

4.「未成年 (未婚) であるは,法定代理人から宅地建物取引業の営業に関し許可を得て登録を受けることができるが,宅地建物取引業者がその事務所等に置かなければならない成年者である専任の取引主任者とみなされることはない。」

【正解:×

◆未成年者が専任の取引主任者とみなされる場合

 未成年者 (未婚) は,法定代理人から宅建業の営業に関し許可を得れば,登録を受けることができます。

 原則として,専任の取引主任者にはなることはできません。

 しかし,例外的に,取引主任者である未成年が<自ら宅建業者である場合>や<宅建業者である法人の役員である場合>は,その事務所等に置かれる成年である専任の取引主任者とみなされるので(宅建業法15条2項),本肢は誤りです。

整理

 法定代理人の宅建業の営業に関する許可のみ ⇒ 登録を受けることができるが,専任の取引主任者になることはできない。

 法定代理人の宅建業の営業に関する許可+<自ら宅建業者である場合や宅建業者である法人の役員である場合>⇒ 専任の取引主任者とみなされる。

●専任の取引主任者
 未成年者のうち,民法6条1項の規定により成年者と同一の行為能力を有する者は,個人業者であるとき,または宅建業者である法人の役員のときは,専任の取引主任者とみなされます。 ⇒ 
   ―  専任の
 取引主任者
 専任以外の
 取引主任者
未成年者 成年者と同一の

行為能力を有しない者

 ×

 登録そのものができない 
 のでなれない。

 ×

 登録そのものができない
 のでなれない。

成年者と同一の

行為能力を有する者

 原則は×

 しかし,個人業者であるとき,
 または宅建業者である法人の
 役員のときは,
 専任の取引主任者と
 みなされる。

 しかし,この場合を除けば,
 専任の取引主任者にはなれない。

 
婚姻している者

(婚姻したことがある者)

 

 婚姻している者は,成年者と
 みなされるので,なり得る。

 

 婚姻している者は,成年者と
 みなされるので,なり得る。

註 個人の宅建業者本人が取引主任者であるとき,又は,宅建業者が法人で,その役員(業務を執行する社員,取締役又はこれらに準ずる者)が取引主任者であるときは,その者が自ら主として業務に従事する事務所等については,その者は,その事務所等に置かれる成年者である専任の取引主任者とみなされる(宅建業法15条2項)


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