宅建業法 実戦篇
媒介契約の過去問アーカイブス 平成12年・問36 一般媒介契約
宅地建物取引業者Aが,B所有建物の売買の媒介の依頼を受け,Bと一般媒介契約 (専任媒介契約でない媒介契約) を締結した場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成12年・問36) |
1.「Aは,遅滞なく,宅地建物取引業法第34条の2の規定により依頼者に交付すべき書面を作成し,取引主任者をして記名押印させ,Bに交付しなければならない。」 |
2.「「Bが,A以外の宅地建物取引業者に重ねて売買の媒介の依頼をする際は,Aに通知しなければならない」旨の定めをしたときは,その定めは無効である。」 |
3.「Aが,建物を売買すべき価額について意見を述べる場合に,その根拠を明らかにしなかったとき,Aは,そのことを理由に業務停止の処分を受けることがある。」 |
4.「BがAに対して支払う報酬に関する事項については,必ずしも宅地建物取引業法第34条の2の規定により依頼者に交付すべき書面に記載する必要はない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「Aは,遅滞なく,宅地建物取引業法第34条の2の規定により依頼者に交付すべき書面を作成し,取引主任者をして記名押印させ,Bに交付しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆媒介書面の記名押印 宅建業者は,宅地・建物の売買・交換の媒介契約を締結したときは,遅滞なく,媒介書面〔34条の2の規定により依頼者に交付すべき書面〕を作成して記名押印し,依頼者に交付しなければなりません(宅建業法34条の2第1項)。 ⇒ 貸借の媒介・代理では,34条の2の規定が適用されないため,媒介書面の交付も義務付けられていないことに注意してください。 取引主任者に記名押印させなければならないという規定はないので,誤りです。 |
2.「「Bが,A以外の宅地建物取引業者に重ねて売買の媒介の依頼をする際は,Aに通知しなければならない」旨の定めをしたときは,その定めは無効である。」 |
【正解:×】 ◆明示型と非明示型 一般媒介契約は他の宅建業者に重ねて媒介を依頼することができますが,特約で,重ねて媒介を依頼した他の宅建業者を明示する明示型と明示しない非明示型に分けられます。
媒介契約を明示型にする特約は有効なので,本肢は誤りです。 ▼媒介書面には,<依頼者が他の宅建業者に重ねて売買又は交換の媒介又は代理を依頼することの許否及びこれを許す場合の他の宅地建物取引業者を明示する義務の存否に関する事項 >を必ず記載しなければなりません(宅建業法34条の2第1項第3号)。 赤字部分は,「一般媒介契約」と「専任媒介契約または専属専任媒介契約」の別, 青字部分は,「一般媒介契約のときに,明示型または非明示型の別」 を意味します。 ▼明示型の場合は,<依頼者が明示していない他の宅建業者の媒介又は代理によつて契約を成立させたときの措置>も媒介書面に記載することになっています(施行規則15条の7第3号)。 |
3.「Aが,建物を売買すべき価額について意見を述べる場合に,その根拠を明らかにしなかったとき,Aは,そのことを理由に業務停止の処分を受けることがある。」 |
【正解:○】 ◆根拠の明示義務 宅建業者は,売買すべき価額又は評価額について意見を述べるときは,その根拠を明らかにしなければなりません(宅建業法34条の2第2項)。 この規定に違反したときは,業務停止処分を受けることがあります(宅建業法65条2項)。⇒ 罰則はありません。 |
4.「BがAに対して支払う報酬に関する事項については,必ずしも宅地建物取引業法第34条の2の規定により依頼者に交付すべき書面に記載する必要はない。」 |
【正解:×】 ◆報酬に関する事項 報酬に関する事項は媒介書面に必ず記載しなければならないので,本肢は誤りです(宅建業法34条の2第1項第6号)。 |
●媒介書面の記載事項 (宅建業法34条の2第1項,施行規則15条の7) |
一 宅地又は建物を特定するために必要な表示 ・ <専任媒介契約・専属専任媒介契約>依頼者が他の宅建業者の媒介又は代理によつて契約を成立させたときの措置 |
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