宅建業法 実戦篇
営業保証金と保証協会の過去問アーカイブス 平成14年・問33
営業保証金と宅地建物取引業保証協会
Aは,宅地の売買契約の解除に伴い,売主である宅地建物取引業者B (国土交通大臣免許) に対して手付金の返還請求権を有し,媒介業者C (甲県知事免許) に対しては媒介報酬の返還請求権を有する。しかし,B,Cいずれも請求に応じない。Bは営業保証金を供託所に供託しており,Cは宅地建物取引業保証協会に加入していた。この場合,宅地建物取引業法の規定によれば,次の記述のうち誤っているものはどれか。(平成14年・問33) |
1.「Aは,その権利を実行するため,Bに関しては営業保証金の還付を,Cに関しては弁済業務保証金の還付を,同時に供託所に申し立てることができる。」 |
2.「Aは,営業保証金についてBに関する権利を実行する場合は,債権額,債権発生の原因たる事実等を記載した一定の様式による書面の提出が必要である。」 |
3.「Aは,弁済業務保証金についてCに関する権利を実行する場合は,宅地建物取引業保証協会の認証を受けなければならない。」 |
4.「Aの権利実行により,還付がなされた場合は,Bは国土交通大臣から通知を受けてから,Cは甲県知事から通知を受けてから,それぞれ2週間以内に不足額を供託しなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | ○ | × |
●問題文の読解 |
B (国土交通大臣免許,営業保証金を供託) 自ら売主 ← 手付金の返還請求権 | | C(甲県知事免許,保証協会の社員) 媒介 ← 媒介の報酬の返還請求権 |
1.「Aは,その権利を実行するため,Bに関しては営業保証金の還付を,Cに関しては弁済業務保証金の還付を,同時に供託所に申し立てることができる。」 |
【正解:○】 ◆還付請求 「Bへの手付金の返還請求権,Cへの媒介の報酬の返還請求権」とも,『宅建業に関する取引により生じた債権』なので,Aは,Bが供託した営業保証金について,またCが加入している保証協会の弁済業務保証金ついて,その債権の弁済を受ける権利を有します(宅建業法27条1項,64条の8第1項)。 したがって,Aは,Bに関しては営業保証金の還付を,Cに関しては弁済業務保証金の還付を,供託所に申し立てることができます。 |
2.「Aは,営業保証金についてBに関する権利を実行する場合は,債権額,債権発生の原因たる事実等を記載した一定の様式による書面の提出が必要である。」 |
【正解:○】 ◆通知書の提出 権利の実行のため供託物の還付を受けようとする者は,供託規則に定めるところによるほか,債権額,債権発生の原因たる事実,供託者の氏名又は名称及び住所等を記載した一定の書式の通知書3通を供託所に提出しなければなりません(営業保証金規則1条,別記書式)。 |
3.「Aは,弁済業務保証金についてCに関する権利を実行する場合は,宅地建物取引業保証協会の認証を受けなければならない。」 |
【正解:○】 ◆保証協会の認証 弁済業務保証金について権利を実行する場合は,保証協会の認証を受けなければなりません(宅建業法64条の8第2項)。 |
4.「Aの権利実行により,還付がなされた場合は,Bは国土交通大臣から通知を受けてから,Cは甲県知事から通知を受けてから,それぞれ2週間以内に不足額を供託しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆弁済業務保証金の不足額の供託 Bの場合 ⇒ 宅建業者は,営業保証金の還付によって供託額に不足を生じた場合,免許権者から通知を受けてから2週間以内に不足額の供託をしなければなりません(宅建業法28条1項,営業保証金規則4条)。 Cの場合 ⇒ 保証協会の社員は,保証協会から通知を受けた日から2週間以内に,保証協会に還付充当金を納付しなければなりません(宅建業法64条の10第2項)。保証協会の社員は,この期間内に納付しないときは社員の地位を失います。 弁済業務保証金の不足額の供託は保証協会が行うので(宅建業法64条の8第3項),本肢の「Cは甲県知事から通知を受けてから,2週間以内に不足額を供託しなければならない。」は誤りです。 |
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