宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 平成14年・問35
登録の移転・法人の役員・欠格要件(破産手続開始の決定)
宅地建物取引主任者資格登録 (以下この問において「登録」という。) 又は取引主任者に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成14年・問35) |
1.「甲県知事の登録を受けている取引主任者が,乙県に住所を移転し,丙県知事免許を受けている宅地建物取引業者に勤務先を変更した場合,甲県知事を経由して乙県知事に対し,登録の移転の申請をすることができる。」 |
2.「取引主任者が取締役をしている宅地建物取引業者が,不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとして,その免許を取り消されるに至った場合,当該取引主任者はその登録を消除される。」 |
3.「取引主任者が勤務している宅地建物取引業者が,宅地建物取引業に関し不正な行為をして業務停止処分を受けた場合,当該取引主任者は速やかに,宅地建物取引主任者証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない。」 |
4.「取引主任者について破産手続開始の決定があり,取引主任者が自ら登録の消除を申請した場合,復権を得てから5年を経過しなければ,新たに登録をすることはできない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「甲県知事の登録を受けている取引主任者が,乙県に住所を移転し,丙県知事免許を受けている宅地建物取引業者に勤務先を変更した場合,甲県知事を経由して乙県知事に対し,登録の移転の申請をすることができる。」 |
【正解:×】 ◆登録の移転は住所の移転では申請できない
登録の移転は,登録地以外の都道府県に所在する宅建業者の事務所の業務に従事するか,又は,従事しようとするときに,登録を受けている知事を経由して,移転しようとしする都道府県の知事に申請することができます(宅建業法19条の2)。 本肢の場合,「住所を移転した乙県の知事に,登録の移転の申請をすることができる。」としていますが,住所の移転では登録の移転を申請することはできないので,誤りです。 → 丙県知事免許を受けている宅建業者に勤務先を変更しているので,丙県知事に対してならば登録の移転を申請することができる。 ▼本肢では,単に,『丙県知事免許を受けている宅建業者に勤務先を変更』としているので,事務所以外の場所で従事する場合も考えられます。 例えば,この業者が丙県以外の県に契約行為等を行う出張所・案内所・展示会場(事務所以外の場所)を設置して,そこで本肢の取引主任者が従事することもありえるわけです。 しかし,本肢の場合は,住所の移転と対比して問題文で掲げられていることから,本肢では,<丙県内にある事務所に従事することとなった>と考え,丙県知事への登録の移転を申請するべき,と考えていいかと思います。 |
2.「取引主任者が取締役をしている宅地建物取引業者が,不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとして,その免許を取り消されるに至った場合,当該取引主任者はその登録を消除される。」 |
【正解:○】 ◆法人業者の免許取消に伴い,役員であった取引主任者が連動して登録消除になる場合 取引主任者が役員をしている宅地建物取引業者が,不正の手段により宅地建物取引業の免許を受けたとして,その免許を取り消されると,当該取引主任者もその登録を消除されます。 当該免許取消にかかわる聴聞の期日・場所が公示された日の60日以内に,その法人の役員であった取引主任者〔取引主任者証の交付を受けず,登録しか受けていない者も〕は,登録消除事由に該当するからです(宅建業法68条の2第1項1号,第2項1号,18条1項4号の2)。 |
3.「取引主任者が勤務している宅地建物取引業者が,宅地建物取引業に関し不正な行為をして業務停止処分を受けた場合,当該取引主任者は速やかに,宅地建物取引主任者証をその交付を受けた都道府県知事に提出しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆取引主任者証の提出 取引主任者が事務禁止処分を受けたときは,速やかに取引主任者証を,その登録を受けた知事に提出しなければなりませんが(宅建業法22条の2第7項), 勤務している宅建業者が業務停止処分を受けた場合に,取引主任者証を,その登録を受けた知事に提出しなければならないという規定はありません。 |
4.「取引主任者について破産手続開始の決定があり,取引主任者が自ら登録の消除を申請した場合,復権を得てから5年を経過しなければ,新たに登録をすることはできない。」 |
【正解:×】 ◆破産−復権を得れば直ちに登録を受けることができる 取引主任者に破産手続開始の決定があった場合は,登録の消除事由に該当し(宅建業法68条の2第1項1号,18条1項3号),登録を消除されます。 復権していなければ,再登録を受けることはできませんが,復権を得れば直ちに登録を受けることができるので,本肢は誤りです。 ▼取引主任者に破産手続開始の決定があったときは,30日以内に,その旨を,登録を受けている知事に,本人が届け出なければなりません(宅建業法21条2号,18条1項3号)。 |
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