宅建業法 実戦篇
自ら売主制限の過去問アーカイブス 平成14年・問40
手付の額の制限・手付解除・手付金等の保全措置・損害賠償額の予定等の制限
宅地建物取引業者Aが,自ら売主となって宅地建物取引業者でない買主Bと建物 (完成物件) を売買する場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成14年・問40) |
1.「Aは,Bの承諾を得ている場合は、契約自由の原則に則り,購入代金の額の2/10を超える額の手付を受領できる。」 |
2.「Bが手付を支払った後,代金の一部を支払った場合は,Aは,手付の倍額を償還することによる契約解除はできない。」 |
3.「AがBから受領した手付が代金の額の1/10を超え,かつ,1,000万円を超える場合,Aは,いかなる場合も手付金等の保全措置を行わなければならない。」 |
4.「Aは,Bの債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額の予定や違約金を契約条項に定めることができるが,これらの合計額が代金の額の2/10を超える場合は,Bに不利になるので全額無効である。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「Aは,Bの承諾を得ている場合は、契約自由の原則に則り,購入代金の額の2/10を超える額の手付を受領できる。」 |
【正解:×】 ◆手附の額の制限 宅建業者は,自ら売主として宅建業者でない者との宅地・建物の売買契約の締結に際して,代金の額【消費税含む】の20%を超える額の手附を受領することはできません(宅建業法39条1項)。 買主の承諾を得ていても,このことに変わりはないので本肢は誤りです。 |
2.「Bが手付を支払った後,代金の一部を支払った場合は,Aは,手付の倍額を償還することによる契約解除はできない。」 |
【正解:○】 ◆手附による解除 宅建業者が,自ら売主として宅建業者でない者との宅地・建物の売買契約の締結に際して手附を受領したときは,その手附がいかなる性質のものであっても,当事者の一方が契約の履行に着手するまでは,買主はその手附を放棄して,当該宅建業者はその倍額を償還して,契約の解除をすることができます(宅建業法39条2項)。 本肢では,買主が代金の一部を支払っているので,買主Bは契約の履行に着手しています。このため,売主である宅建業者Aは手附による解除をすることはできません。 |
3.「AがBから受領した手付が代金の額の1/10を超え,かつ,1,000万円を超える場合,Aは,いかなる場合も手付金等の保全措置を行わなければならない。」 |
【正解:×】 ◆手付金等保全措置 宅建業者が自ら売主として,完成物件について,宅建業者でない者との売買契約の締結に際し,代金の額【消費税含む】の10%を超え,又は,1,000万円を超える手付金等を受領しようとするときには,原則として,あらかじめ手付金等保全措置を講じなければなりません(宅建業法41条の2第1項)。 しかし,買主への所有権移転の登記がされたときや買主が所有権の登記をしたとき〔所有権保存登記をしたとき〕は,保全措置を講じなくてもよいので,本肢は誤りです。 |
4.「Aは,Bの債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額の予定や違約金を契約条項に定めることができるが,これらの合計額が代金の額の2/10を超える場合は,Bに不利になるので全額無効である。」 |
【正解:×】 ◆損害賠償額の予定等の制限 宅建業者が自ら売主として宅建業者ではない者と宅地・建物の売買契約を締結するに際して,債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償額の予定や違約金の合計は代金の額【消費税含む】の20%を超える定めをすることはできません。 20%を超える定めをした場合は,20%を超える部分について無効になるので,本肢は誤りです(宅建業法38条1項,2項)。 |
●条文確認 |
(損害賠償額の予定等の制限)
第38条 宅地建物取引業者がみずから売主となる宅地又は建物の売買契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の十分の二をこえることとなる定めをしてはならない。
2 前項の規定に反する特約は、代金の額の十分の二をこえる部分について、無効とする。
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