宅建業法 実戦篇

自ら売主制限の過去問アーカイブス 平成14年・問41 

瑕疵担保責任の特約の制限・手付金等の保全措置・割賦販売契約の解除等の制限


宅地建物取引業者が,自ら売主となり,宅地又は建物を売買する場合に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成14年・問41)

1.「買主との売買契約において,物件が競売で取得した中古住宅であるため,現状有姿とし瑕疵担保責任の期間を 「引渡しから半年まで」 と定めた契約書の条項は有効である。」

2.「買主との未完成物件の売買契約において,手付金等を受領する場合,保証委託契約による保全措置の対象は,代金の額の5/100を超え,かつ,この金額が1,000万円を超える部分である。」

3.「買主との未完成物件の売買において,宅地建物取引業法第41条に規定する手付金等の保全措置が必要であるにもかかわらず,が当該措置を講じない場合は,は,手付金等を支払わないことができる。」

4.「買主との割賦販売契約において,「が割賦金の支払を40日以上遅滞した場合は,催告なしに契約の解除又は支払時期の到来していない割賦金の支払を請求することができる。」 と定めた契約書の条項は有効である。」

【正解】

× × ×

1.「買主との売買契約において,物件が競売で取得した中古住宅であるため,現状有姿とし瑕疵担保責任の期間を 「引渡しから半年まで」 と定めた契約書の条項は有効である。」

【正解:×

◆瑕疵担保責任の特約の制限

 宅建業者は,自ら売主として,宅地又は建物の売買契約を宅建業者ではない者と締結するに際して,その目的物の瑕疵を担保すべき責任に関し,担保責任を負う期間について,その目的物の引渡しの日から2年以上となる特約をする場合を除き,民法の規定〔善意無過失の買主が知ったときから1年〕より買主に不利となる特約をすることはできず,これに反する特約は,無効になります(宅建業法40条)

 売買の目的物が競売で取得した物件であっても,このことに変わりはなく,本肢の「引渡しから半年まで」は無効で,本肢の場合の担保責任を負う期間は,民法の原則に立ち返って,「買主が知ったときから1年」になります。

2.「買主との未完成物件の売買契約において,手付金等を受領する場合,保証委託契約による保全措置の対象は,代金の額の5/100を超え,かつ,この金額が1,000万円を超える部分である。」

【正解:×

◆手付金等保全措置

  宅建業者は,自ら売主として,宅地又は建物の未完成物件の売買契約を宅建業者ではない者と締結するに際して,手付金等を受領する場合,その手付金等が代金の額【消費税を含む】の5%を超え,または,1,000万円を超える場合は,あらかじめ,その全額について保全措置を講じなければなりません(宅建業法41条1項)

 本肢では,「保全措置の対象は,代金の額の5%を超え,かつ,この金額が1,000万円を超える部分」としているので,誤りです。

3.「買主との未完成物件の売買において,宅地建物取引業法第41条に規定する手付金等の保全措置が必要であるにもかかわらず,が当該措置を講じない場合は,は,手付金等を支払わないことができる。」

【正解:

◆保全措置を講じない場合

 宅建業者が,自ら売主として,宅建業者ではない者と売買契約を締結するに際して,保全措置を講じなければならないのに,保全措置を講じないときは,買主は,手付金等を支払わないことができます(宅建業法41条4項)

4.「買主との割賦販売契約において,「が割賦金の支払を40日以上遅滞した場合は,催告なしに契約の解除又は支払時期の到来していない割賦金の支払を請求することができる。」 と定めた契約書の条項は有効である。」

【正解:×

◆割賦販売の契約解除等の制限

 宅建業者が,自ら売主として,宅建業者でない者と,宅地又は建物の割賦販売の契約をした場合に,

 買主が賦払金の支払の義務を履行しないときは,

1) 30日以上の相当の期間を定めてその支払を書面で催告し,

2) その期間内にその義務が履行されないときでなければ,

 賦払金の支払の遅滞を理由として,契約を解除し,又は支払時期の到来していない賦払金の支払を請求することができません(宅建業法42条1項)

 これに反する特約は無効なので(宅建業法42条2項),本肢は誤りです。


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