宅建業法 実戦篇
業務上の諸規制の過去問アーカイブス 平成16年・問45
指定流通機構・秘密を守る義務・手附の額の制限・帳簿
宅地建物取引業者A社に関する次の記述のうち,宅地建物取引業法の規定によれば,誤っているものはどれか。(平成16年・問45) |
1.「A社は,宅地の売買の専任媒介契約を締結し,指定流通機構に登録を行った物件について売買契約が成立した場合は,遅滞なくその旨を指定流通機構に通知しなければならず,当該通知を怠ったときは指示処分を受けることがある。」 |
2.「A社は,業務上知り得た秘密について,正当な理由がある場合でなければ他にこれを漏らしてはならないが,A社の従業者 a についても,a が専任の取引主任者であるか否かにかかわらず同様に秘密を守る義務を負う。」 |
3.「A社が自ら3,000万円の宅地の売主となる場合,手付金の保全措置を講じれば,宅地の引渡し前に手付金として900万円を受領することができる。」 |
4.「A社がその事務所ごとに備えることとされている帳簿の記載は,一定の期間ごとではなく,宅地建物取引業に関し取引のあったつど一定の事項を記載しなければならないこととされている。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | ○ | × | ○ |
1.「A社は,宅地の売買の専任媒介契約を締結し,指定流通機構に登録を行った物件について売買契約が成立した場合は,遅滞なくその旨を指定流通機構に通知しなければならず,当該通知を怠ったときは指示処分を受けることがある。」 |
【正解:○】 ◆指定流通機構への成約の通知 専任媒介契約を締結し,指定流通機構に登録を行った物件について売買契約が成立したときは,遅滞なくその旨を指定流通機構に通知しなければいけません(宅建業法34条の2第7項)。 この通知を怠ると,宅建業法に違反したことにより,指示処分の対象になります(宅建業法65条1項,3項)。 |
2.「A社は,業務上知り得た秘密について,正当な理由がある場合でなければ他にこれを漏らしてはならないが,A社の従業者 a についても,a が専任の取引主任者であるか否かにかかわらず同様に秘密を守る義務を負う。」 |
【正解:○】 ◆秘密を守る義務 宅建業者は,正当な理由がなければ,その業務上取り扱ったことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならず,またその使用人は,専任の取引主任者であるか否かにかかわらず,業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはいけません(宅建業法45条,75条の2)。 |
●条文確認 |
(秘密を守る義務) 第45条 宅地建物取引業者は、正当な理由がある場合でなければ、その業務上取り扱つたことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。宅地建物取引業を営まなくなつた後であつても、また同様とする。 (宅地建物取引業者の使用人等の秘密を守る義務) |
3.「A社が自ら3,000万円の宅地の売主となる場合,手付金の保全措置を講じれば,宅地の引渡し前に手付金として900万円を受領することができる。」 |
【正解:×】 ◆手附の額の制限−手付金等保全措置を講じても代金の20%超の手附は受領できない 宅建業者は,自ら売主となる宅地又は建物の売買契約を宅建業者ではない者と締結するに際して,代金の額【消費税等を含む】の20%を超える額の手附を受領することはできません(宅建業法39条1項)。 手付金の保全措置を講じても,このことに変わりはないので,本肢は誤りです。 ▼本肢では,「宅地の引渡し前」という文言があるので,いぶかしく思ったかもしれません。これは,手付金等が引渡し前に支払われるものをいうために,問題文中に出てきたもので,深い意味はありません。 |
4.「A社がその事務所ごとに備えることとされている帳簿の記載は,一定の期間ごとではなく,宅地建物取引業に関し取引のあったつど一定の事項を記載しなければならないこととされている。」 |
【正解:○】 ◆帳簿は,取引のあったつど,記載する 宅建業者は,その事務所ごとに,その業務に関する帳簿を備え,宅建業に関し取引のあつたつど,その年月日,その取引に係る宅地又は建物の所在及び面積その他国土交通省令で定める事項を記載しなければなりません(宅建業法49条)。 |
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