宅建業法 実戦篇
取引主任者の過去問アーカイブス 平成17年・問32 取引主任者
名義貸しの禁止・案内所等の法定設置数・秘密を守る義務・取引主任者証の返還
宅地建物取引業法に規定する取引主任者に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成17年・問32) |
1.「都道府県知事は、その登録を受けている取引主任者が、他人に自己の名義の使用を許し、その他人がその名義を使用して取引主任者である旨の表示をしたとき、当該取引主任者に対し、必要な指示をすることができる。」 |
2.「宅地建物取引業者は、10戸以上の一団の建物の分譲について案内所を設置して行う場合、その案内所において業務に従事する者の数に対する取引主任者の数の割合が1/5以上の成年者である専任の取引主任者を置かなければならない。」 |
3.「宅地建物取引業者の従業者である取引主任者は、本人の同意がある場合を除き、正当な理由がある場合でも、宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」 |
4.「取引主任者Aは、甲県知事から事務の禁止の処分を受け、宅地建物取引主任者証を甲県知事に提出したが、禁止処分の期間が満了した場合は、返還の請求がなくても、甲県知事は、直ちに宅地建物取引主任者証をAに返還しなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
1.「都道府県知事は、その登録を受けている取引主任者が、他人に自己の名義の使用を許し、その他人がその名義を使用して取引主任者である旨の表示をしたとき、当該取引主任者に対し、必要な指示をすることができる。」 |
【正解:○】 ◆指示処分 都道府県知事は,その登録を受けている取引主任者が,他人に自己の名義の使用を許し,その他人がその名義を使用して取引主任者である旨の表示をしたとき,当該取引主任者に対し,必要な指示や事務禁止処分〔情状が特に重いときは登録消除〕をすることができる(宅建業法・68条1項2号,2項,68条の2第1項第4号)。
●備考● 1 宅建業法上は,指示処分に該当するときに事務禁止処分にすることもできる(また,指示処分に従わないときも事務禁止処分にすることができる)(宅建業法・68条2項,3項)。 2登録を受けている者 (取引主任者,又は,登録はしたが,取引主任者証の交付を受けていない者) が登録消除になるのは,登録欠格に該当するに至ったとき,不正手段による登録や取引主任者証の交付を受けた,指示処分に該当し情状が特に重いとき,事務禁止処分に違反したとき,等の場合がある(宅建業法・68条の2第1項)。 |
2.「宅地建物取引業者は、10戸以上の一団の建物の分譲について案内所を設置して行う場合、その案内所において業務に従事する者の数に対する取引主任者の数の割合が1/5以上の成年者である専任の取引主任者を置かなければならない。」 |
【正解:×】 ◆契約行為等を行う案内所等での取引主任者の法定設置数 宅建業者は,10戸以上の一団の建物の分譲について案内所を設置して行う場合,その案内所には1人以上の成年者である専任の取引主任者を置けばよい(宅建業法・15条1項,施行規則6条の2第2号)ので,誤り。
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3.「宅地建物取引業者の従業者である取引主任者は、本人の同意がある場合を除き、正当な理由がある場合でも、宅地建物取引業の業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはならない。」 |
【正解:×】 ◆使用人等の秘密を守る義務 宅建業者の使用人その他の従業者は,正当な理由がある場合でなければ,従業者でなくなった後も,業務を補助したことについて知り得た秘密を他に漏らしてはいけない(宅建業法・75条の2)。 正当な理由がある場合は漏らしてもよいので,誤り。 |
4.「取引主任者Aは、甲県知事から事務の禁止の処分を受け、宅地建物取引主任者証を甲県知事に提出したが、禁止処分の期間が満了した場合は、返還の請求がなくても、甲県知事は、直ちに宅地建物取引主任者証をAに返還しなければならない。」 |
【正解:×】 ◆取引主任者証の返納 取引主任者は,事務の禁止の処分を受けたときは,速やかに,取引主任者証を登録を受けた知事に提出しなければならず,禁止処分の期間が満了した場合,知事は,返還の請求があったときは直ちに取引主任者証を返還しなければならない(宅建業法・22条の2第7項,第8項)。 つまり,知事は,返還の請求がなければ取引主任者証を返還しなくてもよいので,誤り。
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