宅建業法 実戦篇
営業保証金の過去問アーカイブス 平成17年・問33
有価証券の評価額・営業保証金の還付・供託所等に関する説明
宅地建物取引業者A (甲県知事免許) の営業保証金に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (平成17年・問33) |
1.「Aは、甲県の区域内に新たに二つの支店を設け宅地建物取引業を営もうとする場合、額面金額1,000万円の地方債証券を供託して営業保証金に充てれば足りる。」 |
2.「家主Bは、居住用建物の賃貸の管理委託契約をAと締結していたが、Aが借主から収受した家賃を約束期日が過ぎてもBに支払わなかった。この場合、Bは、Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。」 |
3.「印刷業者Cは、Aが行う宅地建物の売買に関する広告の印刷依頼を受け、印刷物を作成し納品したが、AがCに対しその代金を支払わなかった。この場合、Cは、Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。」 |
4.「Aは、買主Dに対し、土地付建物の売買契約を締結する前に、営業保証金を供託した主たる事務所のもよりの供託所及びその所在地について説明するようにしなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
1.「Aは、甲県の区域内に新たに二つの支店を設け宅地建物取引業を営もうとする場合、額面金額1,000万円の地方債証券を供託して営業保証金に充てれば足りる。」 |
【正解:×】 ◆有価証券の評価額 2つの支店(その他の事務所)を設置したので,営業保証金は1,000万円を供託しなければならない(宅建業法施行令2条の4)。 営業保証金は有価証券でも供託できるが,すべての有価証券で額面金額そのままで評価されるのではない。 本肢では,国債証券の場合は額面の金額が1,000万円なら供託できるが,地方債証券の場合は額面の90%で計算した額で供託しなければならないので,額面金額1,000万円の地方債証券では不足する(宅建業法25条3項,施行規則15条2項)。 したがって,誤りである。 ◆有価証券の額面の評価額
|
2.「家主Bは、居住用建物の賃貸の管理委託契約をAと締結していたが、Aが借主から収受した家賃を約束期日が過ぎてもBに支払わなかった。この場合、Bは、Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。」 |
【正解:×】 ◆営業保証金の還付 営業保証金の還付対象は,宅建業者と宅建業に関して取引したことから生じる債権である(宅建業法27条1項)。賃貸物件の管理委託契約は宅建業に関する取引とはいえないので,Bは,Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有しない。したがって,誤りである。
|
3.「印刷業者Cは、Aが行う宅地建物の売買に関する広告の印刷依頼を受け、印刷物を作成し納品したが、AがCに対しその代金を支払わなかった。この場合、Cは、Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有する。」 |
【正解:×】 ◆営業保証金の還付 宅地建物の売買に関する広告の印刷物の作成により生じた債権は,宅建業に関する取引とはいえないので,Cは,Aが供託した営業保証金からその債権の弁済を受ける権利を有しない。したがって,誤りである。
|
4.「Aは、買主Dに対し、土地付建物の売買契約を締結する前に、営業保証金を供託した主たる事務所のもよりの供託所及びその所在地について説明するようにしなければならない。」 |
【正解:○】 ◆供託所等に関する説明 宅建業者は,取引の相手方等に対して,契約が成立するまでの間に,営業保証金の供託所及びその所在地〔供託した額は説明事項ではない。〕について説明〔口頭でもよい。〕をするようにしなければならない(宅建業法35条の2第1号)ので,正しい。 ▼宅地建物業保証協会の社員である場合にも,同様の規定がある(宅建業法35条の2)。
|