宅建業法 実戦篇

自ら売主制限の過去問アーカイブス 平成17年・問35

自己の所有に属しない売買契約の締結の制限


宅地建物取引業者が自ら売主となって宅地建物の売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反するものはどれか。なお、この問において、以外の者は宅地建物取引業者ではないものとする。(平成17年・問35)

1.「の所有する宅地について、が売買契約を締結し、所有権の移転登記がなされる前に、に転売し、は更にに転売した。」

2.「の所有する土地付建物について、が賃借していたが、は当該土地付建物を停止条件付でに売却した。」

3.「の所有する宅地について、との売買契約の予約をし、は当該宅地をに転売した。」

4.「の所有する宅地について、と停止条件付で取得する売買契約を締結し、その条件が成就する前に当該物件についてと売買契約を締結した。」

【正解】

違反しない 違反しない 違反しない 違反する

1.「の所有する宅地について、が売買契約を締結し、所有権の移転登記がなされる前に、に転売し、は更にに転売した。」

【正解:違反しない

◆転売

  (宅建業者)― (宅建業者) ―

 への所有権移転登記がなされていなくても,との売買契約を締結しているので,に所有権は移転している。

 また,との売買契約が締結されていれば,に所有権は移っているので,が移転登記を経ていなくても,が宅建業者ではないと売買契約を締結するのは,自己の所有に属しない売買契約締結の制限には違反しない。

2.「の所有する土地付建物について、が賃借していたが、は当該土地付建物を停止条件付でに売却した。」

【正解:違反しない

◆賃借人のいる物件を売却

  (宅建業者) ― [Aは停止条件付でFに売却。]
  |
   (賃借人)

 宅建業者は,自己所有物件に賃借人がいる場合に当該物件を売却しても宅建業法に違反しない。

 また,停止条件付で売却しても,宅建業法上問題にはならない。

3.「の所有する宅地について、との売買契約の予約をし、は当該宅地をに転売した。」

【正解:違反しない

◆予約契約

   ――――――――― (宅建業者) ―― H [AはHに転売]
    売買契約の予約

 宅建業者が現在の所有者から取得する契約をしていれば,その契約が予約であっても,に転売することは,自己の所有に属しない売買契約締結の制限には違反しない(宅建業法33条の2)

4.「の所有する宅地について、と停止条件付で取得する売買契約を締結し、その条件が成就する前に当該物件についてと売買契約を締結した。」

【正解:違反する

◆停止条件付契約を締結して,条件成就前に売却

 I ――――――――― (宅建業者) ―― J [Aは条件成就前に売却]
    停止条件付売買

 宅建業者が現在の所有者から取得する契約をしていても,その契約が停止条件付であり,条件の成就する前であるときは,宅建業者でない者と売買契約を締結することはできない(宅建業法33条の2)

 したがって,本肢の場合,は,自己の所有に属しない売買契約締結の制限に違反する。


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