宅建業法 実戦篇

媒介契約の過去問アーカイブス 平成17年・問36 専任媒介契約・専属専任媒介契約


宅地建物取引業者が、所有の宅地の売却の媒介依頼を受け、と媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法によれば、正しいものはいくつあるか 。(平成17年・問36)

 ア   の申出により、契約の有効期間を6月と定めた専任媒介契約を締結した場合、その契約はすべて無効である。
 イ  AB間で専属専任媒介契約を締結した場合、に対し、当該契約の業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならない。
 ウ   AB間で専属専任媒介契約を締結した場合、は、が探索した相手方以外の者と売買契約を締結することができない。
1.「一つ」

2.「二つ」

3.「三つ」

4.「なし」

【正解】 1

× ×

ア 「 の申出により、契約の有効期間を6月と定めた専任媒介契約を締結した場合、その契約はすべて無効である。」

【正解:×

◆有効期間

 専任媒介契約・専属専任媒介契約の有効期間は3月を超えることはできず,これより長い期間を定めても,有効期間は3月になる(宅建業法34条の2第3項)

 つまり,3月より長い有効期間を定めたときは,3月を超える期間について無効であるのにとどまり,その媒介契約そのものがすべて無効になるわけではないので,誤り。

有効期間と更新の規定

 専属専任媒介契約  3ヵ月以内,依頼者から更新の申出がなければ,更新できない。
 専任媒介契約  3ヵ月以内,依頼者から更新の申出がなければ,更新できない。
 一般の媒介契約  規定なし

イ 「AB間で専属専任媒介契約を締結した場合、に対し、当該契約の業務の処理状況を2週間に1回以上報告しなければならない。」

【正解:×

◆業務処理状況の報告

 業務処理状況の報告は,専任媒介契約では2週間に1回以上,専属専任媒介契約では1週間に1回以上となっている(宅建業法34条の2第8項)

 イでは,専属専任媒介契約を締結しているのに,業務の処理状況を2週間に1回以上報告となっているので,誤りである。

業務処理状況の報告回数

 専属専任媒介契約  1週間に1回以上
 専任媒介契約  2週間に1回以上
 一般の媒介契約  規定なし

ウ 「AB間で専属専任媒介契約を締結した場合、は、が探索した相手方以外の者と売買契約を締結することができない。」

【正解:

◆専属専任媒介契約−自己発見取引の禁止

 専属専任媒介契約を締結した場合,依頼者は,他の宅建業者に重ねて依頼することはできず,また依頼した宅建業者が探索した相手方以外の者と売買契約を締結することができないので正しい(宅建業法34条の2第8項,施行規則15条の7第2項)

専任媒介契約では,他の宅建業者に重ねて依頼することはできないが,自己発見取引は禁止されていない。⇒ 専任媒介契約では,他の宅建業者が探索した相手方でなければ,依頼した宅建業者が探索した相手方以外の者とも契約を締結できる。

専属専任媒介契約と専任媒介契約の違い

   他の宅建業者に媒介・代理を  依頼者が自ら発見した
 相手方との契約
専任媒介契約  重ねて依頼することはできない  できる
専属専任媒介契約  できない

媒介書面の記載事項の違い

      専任媒介契約  専属専任媒介契約
依頼者が
他の宅建業者の媒介又は代理によって
売買又は交換の契約を成立させたときの措置
 記載する  記載する
依頼者が,
売買又は交換の媒介を依頼した宅建業者が
探索した相手方以外の者と売買又は交換の
契約を締結したときの措置
 −  記載する

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