宅建業法 実戦篇

自ら売主制限の過去問アーカイブス 平成17年・問43 損害賠償の予定額の制限


宅地建物取引業者が自ら売主としてマンション (販売価額 3,000万円) の売買契約を締結した場合における次の記述のうち、民法及び宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。(平成17年・問43)

1.「は、宅地建物取引業者であるとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,200万円とする特約を定めた。この特約は無効である。」

2.「は、宅地建物取引業者でないとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,200万円とする特約を定めることができる。」

3.「は、宅地建物取引業者であるとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額の定めをしなかった場合、実際に生じた損害額1,000万円を立証により請求することができる。」

4.「は、宅地建物取引業者でないとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を600万円、それとは別に違約金を600万円とする特約を定めた。これらの特約はすべて無効である。」

【正解】

× × ×

1.「は、宅地建物取引業者であるとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,200万円とする特約を定めた。この特約は無効である。」

【正解:×

◆宅建業者間の取引では,自ら売主の8種制限は適用されない

 1,200万円は販売価額 3,000万円の40%である。

 自ら売主の宅建業者は,宅建業者ではない者との売買契約の締結に際して,代金の額【消費税等も含む】の20%を超える損害賠償の予定額を定めることはできない(宅建業法38条1項)

 しかし,買主が宅建業者である場合には,損害賠償額の予定等の制限は適用されないので,本肢は誤りである(宅建業法78条2項)

2.「は、宅地建物取引業者でないとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を1,200万円とする特約を定めることができる。」

【正解:×

◆代金の20%を超える損害賠償の予定額を定めることはできない

 1,200万円は販売価額 3,000万円の40%である。

 自ら売主の宅建業者は,宅建業者ではない者との売買契約の締結に際して,代金の額【消費税等も含む】の20%を超える損害賠償の予定額を定めることはできない(宅建業法38条1項)ので,本肢は誤りである。

3.「は、宅地建物取引業者であるとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額の定めをしなかった場合、実際に生じた損害額1,000万円を立証により請求することができる。」

【正解:

◆損害賠償の予定額を定めなかった場合

 1,000万円は販売価額 3,000万円の約33%である。

 自ら売主の宅建業者は,宅建業者ではない者との売買契約の締結に際して,損害賠償の予定額を定める場合には代金の額【消費税等も含む】の20%以内という制限がある(宅建業法38条1項)

 しかし,は宅建業者なので,この制限は適用されない。は,実際に生じた損害額1,000万円を立証により請求することができるので,正しい。

が宅建業者ではない場合

 宅建業法では,損害賠償の予定額の定めをしなかった場合に損害賠償金や違約金として受け取ることのできる金額に制限はないので,が宅建業者ではない場合であっても,代金の額の20%以内という制限は適用されない

4.「は、宅地建物取引業者でないとの売買契約の締結に際して、当事者の債務不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の予定額を600万円、それとは別に違約金を600万円とする特約を定めた。これらの特約はすべて無効である。」

【正解:×

◆代金の額の20%を超える部分が無効になる

 損害賠償額の予定等の制限は,損害賠償の予定額とは別に違約金を定める場合にも適用され,その場合は合計金額で判断する(宅建業法38条1項)

 合計額が代金の額の20%を超える場合は,代金の額【消費税等も含む】20%を超える部分のみが無効になる(宅建業法38条2項)

 損害賠償の予定額600万円,違約金600万では合計1,200万円で代金の額の40%になり,代金の額の20%を超える部分(600万円)のみが無効になるので,本肢は誤りである。


宅建業法の過去問アーカイブスに戻る  

1000本ノック・宅建業法編・本編のトップに戻る  Brush Up! 自ら売主制限に戻る

宅建過去問に戻る