宅建業法 実戦篇
宅建業者の過去問アーカイブス 平成18年・問30 免許の基準−欠格要件
宅地建物取引業の免許 (以下この問において「免許」という。) に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。(平成18年・問30) |
1 A社の取締役が、刑法第 211 条 (業務上過失致死傷等) の罪を犯し、懲役1年執行猶予2年の刑に処せられ、執行猶予期間は満了した。その満了の日から5年を経過していない場合、A社は免許を受けることができない。 |
2 B社は不正の手段により免許を取得したとして甲県知事から免許を取り消されたが、B社の取締役Cは、当該取消に係る聴聞の期日及び公示の日の30日前にB社の取締役を退任した。B社の免許取消の日から5年を経過していない場合、Cは免許を受けることができない。 |
3 D社の取締役が、刑法第 159 条 (私文書偽造) の罪を犯し、地方裁判所で懲役2年の判決を言い渡されたが、この判決に対して高等裁判所に控訴して現在裁判が係属中である。この場合、D社は免許を受けることができない。 |
4 E社は乙県知事から業務停止処分についての聴聞の期日及び場所を公示されたが、その公示後聴聞が行われる前に、相当の理由なくして宅地建物取引業を廃止した旨の届出をした。その届出の日から5年を経過していない場合、E社は免許を受けることができない。 |
<コメント> |
●出題論点● |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
正答率 | 68.5% |
1 A社の取締役が、刑法第 211 条 (業務上過失致死傷等) の罪を犯し、懲役1年執行猶予2年の刑に処せられ、執行猶予期間は満了した。その満了の日から5年を経過していない場合、A社は免許を受けることができない。 |
【正解:×】平成3年・問39・エ,平成8年・問37・肢1,平成16年・問31・肢2,平成17年・問31・肢3,平成18年・問30・肢1, ◆執行猶予期間の満了 ⇒ 免許を受けることができる 執行猶予期間 ―●―――――――――――――――○―――――――――――――― 法人の役員に禁錮以上の刑に該当する者がいれば,その法人は欠格要件に該当し,免許を受けることができません(宅建業法5条1項3号,7号)。 しかし,禁錮以上の刑に処せられ執行猶予が付されていたとしても,執行猶予期間が満了すれば,刑の言い渡しそのものの効力が失われ,欠格要件に該当しません。 A社の取締役の執行猶予期間が満了すれば,5年の経過を待つことなく,A社は免許を受けることができます。 |
2 B社は不正の手段により免許を取得したとして甲県知事から免許を取り消されたが、B社の取締役Cは、当該取消に係る聴聞の期日及び公示の日の30日前にB社の取締役を退任した。B社の免許取消の日から5年を経過していない場合、Cは免許を受けることができない。 |
【正解:○】平成5年・問36・肢4,平成12年・問30・肢2,平成16年・問31・肢3,平成18年・問30・肢2, ◆免許を取り消された法人の役員であった者 ⇒ 欠格要件に該当する 免許取消処分 ―●―――●―――――――――――●―――――●―――――――――○― 公示日前60日以内に役員であった者は この期間は免許を受けられない 不正免許取得などで免許を取り消された宅建業者が法人の場合,免許取消に係る聴聞の公示の日前60日以内にその法人の役員であった者は,免許の欠格要件に該当し,その法人の免許取消の日から5年を経過していない場合,免許を受けることはできません(宅建業法5条1項2号)。 |
3 D社の取締役が、刑法第 159 条 (私文書偽造) の罪を犯し、地方裁判所で懲役2年の判決を言い渡されたが、この判決に対して高等裁判所に控訴して現在裁判が係属中である。この場合、D社は免許を受けることができない。 |
【正解:×】昭和58年・問36・肢2,昭和61年・問38・肢2,平成18年・問30・肢3, ◆控訴または上告中 ⇒ 刑が確定していないので,欠格要件に該当しない (地方裁) ――●―――――○――――――――― └ 免許を受けることができる。 欠格要件になる刑罰を言い渡されても,控訴または上告中であれば,刑は確定していないので,欠格要件には該当しません。 したがって,取締役が裁判が係属中で刑が確定していないため,D社は,免許の欠格要件には該当しないため,免許を受けることができます。 |
4 E社は乙県知事から業務停止処分についての聴聞の期日及び場所を公示されたが、その公示後聴聞が行われる前に、相当の理由なくして宅地建物取引業を廃止した旨の届出をした。その届出の日から5年を経過していない場合、E社は免許を受けることができない。 |
【正解:×】平成元年・問39・肢2,平成18年・問30・肢4, ◆業務停止処分の聴聞の後に,廃業届 ⇒ 欠格要件に該当しない 免許取消処分 ――●―――――●―――――――――○― └―――――――――┘└ 免許を受けることができる。 一定の事由〔免許の不正取得,業務停止処分に該当し情状が特に重い,業務停止処分に違反〕により免許取消処分についての聴聞の期日及び場所を公示され,その公示後聴聞が行われる前に,相当の理由なくして宅建業を廃止した旨の届出をした場合は,その届出の日から5年を経過していない場合,免許を受けることはできません(宅建業法5条1項2号の2)。 しかし,本肢の場合は,業務停止処分についての聴聞の公示後に宅建業を廃止した旨の届出をしているので,免許の欠格要件には該当しません。 業務停止処分 ――●――――――○――――――――― └ 免許を受けることができる。 |