宅建業法 実戦篇
営業保証金の過去問アーカイブス 平成18年・問34
宅地建物取引業法に規定する営業保証金に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成18年・問34) |
1 宅地建物取引業の免許を受けた者は、事業を開始した日から3月以内に営業保証金を供託し、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。 |
2 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに支店を設置したときは、その支店の最寄りの供託所に政令で定める額を供託し、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。 |
3 金銭のみをもって営業保証金を供託している宅地建物取引業者は、その本店を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、遅滞なく、供託している供託所に対し、移転後の本店の最寄りの供託所への営業保証金の保管換えを請求しなければならない。 |
4 宅地建物取引業者は、取引の相手方の権利の実行により営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなったときは、通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を金銭で供託しなければならない。 |
<コメント> |
●出題論点● |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
正答率 | 76.2% |
1 宅地建物取引業の免許を受けた者は、事業を開始した日から3月以内に営業保証金を供託し、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。 |
【正解:×】 ◆供託した旨の届出 誤 : 事業を開始した日から3月以内に 宅建業者は免許を受けた後,営業保証金を供託し,供託した旨を免許権者に届け出なければいけませんが,事業を開始できるのは供託した旨の届出をした後です(宅建業法25条4項,5項)。 ▼<国土交通大臣又は都道府県知事は,免許をした日から3月以内に宅建業者が供託した旨の届出をしないときは,その届出をすべき旨の催告をしなければならず,この催告が到達した日から1月以内に供託した旨の届出がないときには,免許を取り消すことができる。>という規定はありますが(宅建業法25条6項,7項),供託時期や供託した旨の届出については,3月以内にしなければならないということではありません。 ▼国土交通大臣への供託した旨の届出は,主たる事務所を管轄する知事を経由することなく,直接国土交通大臣に届けることに注意してください。国土交通大臣の供託の関係の届出ではすべて直接届け出ます。 |
2 宅地建物取引業者は、事業の開始後新たに支店を設置したときは、その支店の最寄りの供託所に政令で定める額を供託し、その旨を免許を受けた国土交通大臣又は都道府県知事に届け出なければならない。 |
【正解:×】 ◆支店の設置による供託は,主たる事務所の最寄りの供託所に 誤 : その支店の最寄りの供託所に 正 : 主たる事務所の最寄りの供託所 新たに支店を設置したときは,主たる事務所の最寄りの供託所に,その分の営業保証金を供託します(宅建業法26条,25条1項)。 |
3 金銭のみをもって営業保証金を供託している宅地建物取引業者は、その本店を移転したためその最寄りの供託所が変更した場合、遅滞なく、供託している供託所に対し、移転後の本店の最寄りの供託所への営業保証金の保管換えを請求しなければならない。 |
【正解:○】 ◆保管換え 金銭のみで供託している場合は,現在供託している供託所に対して,移転後の本店の最寄りの供託所への営業保証金の保管換えを請求しなければなりません(宅建業法29条1項)。 |
4 宅地建物取引業者は、取引の相手方の権利の実行により営業保証金の額が政令で定める額に不足することとなったときは、通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を金銭で供託しなければならない。 |
【正解:×】 ◆不足額の供託は2週間以内。金銭・有価証券のどちらでもよい 誤 : 金銭で供託 正 : 金銭・有価証券のどちらでも供託できる 営業保証金の還付があったため,営業保証金に不足することとなった場合は,免許権者から通知書の送付を受けた日から2週間以内に不足額を供託しなければなりませんが,金銭または有価証券のどちらでもよいので,本肢は誤りです(宅建業法28条3項,25条3項)。 ▼過去問では,「通知書の送付を受けた日から2週間以内」を素材にすることが多かったのですが,供託するものについて問うのは,この2週間以内で落とし穴に誘い込むためと考えられます。 |