宅建業法 実戦篇

重要事項説明の過去問アーカイブス 平成18年・問35


 宅地建物取引業者が行う宅地建物取引業法第35条に規定する重要事項の説明に関する次の記述のうち、同条の規定に違反しないものはどれか。(平成18年・問35)

1 自ら売主として宅地の売買をする場合において、買主が宅地建物取引業者であるため、重要事項を記載した書面を交付しなかった。

2 建物の貸借の媒介において、水道、電気及び下水道は完備、都市ガスは未整備である旨説明したが、その整備の見通しまでは説明しなかった。

3 宅地の売買の媒介において、当該宅地の一部が私道の敷地となっていたが、買主に対して私道の負担に関する事項を説明しなかった。

4 建物の貸借の媒介において、建物の区分所有等に関する法律に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め (その案を含む。) がなかったので、そのことについては説明しなかった。

<コメント>  
 
●出題論点●
 

【正解】

違反する 違反する 違反する 違反しない

 正答率  58.3%

1 自ら売主として宅地の売買をする場合において、買主が宅地建物取引業者であるため、重要事項を記載した書面を交付しなかった。

【正解:違反する平成元年・問44・肢3,平成4年・問42・肢1,平成5年・問44・肢1,平成6年・問44・肢3,平成16年・問40・肢1,平成18年・問35・肢1,

◆相手方が宅建業者でも,重要事項説明義務

 相手方が宅建業者の時に適用されないのは自ら売主の8種制限だけです。それ以外は,相手方が宅建業者でも適用されるので,本肢は誤りです(宅建業法78条2項)

2 建物の貸借の媒介において、水道、電気及び下水道は完備、都市ガスは未整備である旨説明したが、その整備の見通しまでは説明しなかった。

【正解:違反する

◆都市ガス未整備の場合の見通し

 <飲用水、電気及びガスの供給並びに排水のための施設の整備の状況(これらの施設が整備されていない場合においては、その整備の見通し及びその整備についての特別の負担に関する事項) は,宅地建物の売買・交換(その媒介・代理) ,宅地建物の貸借とも,重要事項として説明しなければならないので,本肢は違反します(宅建業法35条1項4号)

   建物の売買・交換
 (その媒介・代理)
 建物の
 貸借の媒介・代理
 飲用水、電気及びガスの供給,排水のための施設
の整備の状況
(整備されていないときはその見通しと特別な負担)
 説明義務  説明義務
 台所,浴室,便所その他の
当該建物の設備の整備の状況
 説明義務はない  説明義務

3 宅地の売買の媒介において、当該宅地の一部が私道の敷地となっていたが、買主に対して私道の負担に関する事項を説明しなかった。

【正解:違反する平成5年・問44・肢3,平成18年・問35・肢3,

◆私道負担

 建物の貸借の媒介・代理以外では,私道負担に関する事項は重要事項として説明しなければならないので,本肢は違反します(宅建業法35条1項3号)

4 建物の貸借の媒介において、建物の区分所有等に関する法律に規定する専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め (その案を含む。) がなかったので、そのことについては説明しなかった。

【正解:違反しない平成13年・問36・肢3,平成18年・問35・肢4,

◆規約がないとき

 専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め (その案を含む。) があれば,その内容を説明する義務がありますが,規約の定めや案がない場合は説明のしようがないので,説明は要しないとされています。

 したがって,説明しなくても宅建業法には違反しません。

区分所有法の専有部分の貸借の媒介・代理では,以下の二つだけが重要事項です。それ以外は,貸借の媒介・代理では説明義務はありません(宅建業法施行規則16条の2)

・専有部分の用途その他の利用の制限に関する規約の定め(案も含む) があるときは,その内容

・ 当該一棟の建物及びその敷地の管理が委託されているときは,その委託を受けている者の氏名及び住所(法人にあつては,その商号又は名称,その主たる事務所の所在地)


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