宅建業法 実戦篇

自ら売主の8種制限の過去問アーカイブス 平成18年・問39 小問集合 

クーリングオフ・損害賠償額の予定・手付解除・手付金等保全措置


 宅地建物取引業者が自ら売主として、宅地建物取引業者でないとの間で土地付建物の売買契約を締結した場合、次の記述のうち、宅地建物取引業法 (以下この問いにおいて 「法」 という。) の規定によれば、誤っているものはどれか。(平成18年・問39)

1 は、が設置したテント張りの案内所で買受けの申込みをし、翌日の事務所で契約を締結した場合には、それ以後は一切法第37条の2による当該契約の解除を行うことはできない。

2 当該契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超える定めをしてはならない。

3 当該契約に 「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、は受領した手付を返還して、契約を解除することができる」 旨の特約を定めた場合、その特約は無効である。

4 は、当該建物が未完成であった場合でも、への所有権移転の登記をすれば、から受け取った手付金等について、その金額を問わず法第41条に定める手付金等の保全措置を講じる必要はない。

<コメント>  
 
●出題論点●
 

【正解】

×

 正答率  75.0%

1 は、が設置したテント張りの案内所で買受けの申込みをし、翌日の事務所で契約を締結した場合には、それ以後は一切法第37条の2による当該契約の解除を行うことはできない。

【正解:×平成3年・問46・肢3,平成5年・問41・肢4,平成6年・問42・肢4,平成13年・問43・肢4,平成15年・問39・肢1,

◆クーリングオフできる場所

 買受けの申込み場所と契約の締結場所が異なる場合は,買受けの申込み場所によって,クーリングオフできるかを考えます

 本肢の場合,買受けの申込み場所はテント張りの案内所であり,クーリングオフできない事務所等には該当しないため(宅建業法施行規則16条の5第1号ロ),クーリングオフによる解除を行うことができます。

2 当該契約において、当事者の債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定めるときは、これらを合算した額が代金の額の10分の2を超える定めをしてはならない。

【正解:平成11年・問33・肢4,平成14年・問40・肢4,平成16年・問37・肢4,平成18年・問39・肢2,

◆損害賠償額の予定等の制限−合算した額は代金の20%を超えることはできない

 債務の不履行を理由とする契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し,または違約金を定めるときは,これらを合算した額が代金の額の10分の2を超える定めをすることはできません(宅建業法38条1項)

3 当該契約に 「当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、は受領した手付を返還して、契約を解除することができる」 旨の特約を定めた場合、その特約は無効である。

【正解:平成5年・問43・肢1,平成6年・問43・肢3,平成7年・問45・肢2,平成13年・問41・肢3,平成18年・問39・肢2,

◆自ら売主の宅建業者は,受領した手付の倍額を償還する

 手付による解除をするには,自ら売主の宅建業者は受領した手付の倍額を買主に償還しなければならず,これより買主に不利な特約は無効です(宅建業法39条2項,3項)

 本肢の場合,「売主であるAが受領した手付を返還して、契約を解除することができる」としているため,この特約は無効です。

4 は、当該建物が未完成であった場合でも、への所有権移転の登記をすれば、から受け取った手付金等について、その金額を問わず法第41条に定める手付金等の保全措置を講じる必要はない。

【正解:平成13年・問41・肢3,平成14年・問40・肢3,平成18年・問39・肢4,

◆未完成物件の手付金等保全措置を講じる必要がない場合

 手付金等保全措置は,買主が所有権移転登記をした場合や買主が所有権の登記(所有権保存登記)をしたときは,講じる必要はない(宅建業法41条1項)ので,本肢は正しい記述です。


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