宅建業法 実戦篇
業務上の規制の過去問アーカイブス 平成18年・問40 業務に関する禁止事項
宅地建物取引業者が行う業務に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定に違反しないものはどれか。(平成18年・問40) |
1 建物の販売に際して、利益を生ずることが確実であると誤解させる断定的判断を提供する行為をしたが、実際に売買契約の成立には至らなかった。 |
2 建物の販売に際して、不当に高額の報酬を要求したが、実際には国土交通大臣が定める額を超えない報酬を受け取った。 |
3 建物の販売に際して、手付について貸付けをすることにより売買契約の締結の誘引を行ったが、契約の成立には至らなかった。 |
4 建物の販売に際して、当該建物の売買契約の締結後、既に購入者に対する建物引渡債務の履行に着手していたため、当該売買契約の手付放棄による解除を拒んだ。 |
<コメント> |
●出題論点● |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
違反する | 違反する | 違反する | 違反しない |
正答率 | 89.2% |
1 建物の販売に際して、利益を生ずることが確実であると誤解させる断定的判断を提供する行為をしたが、実際に売買契約の成立には至らなかった。 |
【正解:違反する】平成8年・問40・肢2,平成15年・問38・肢1,平成18年・問40・肢1, ◆断定的判断の提供の禁止 宅建業者やその代理人,使用者その他の従業者 (宅建業者等) が,契約締結の勧誘をするときに,相手方等に対し,利益を生ずることが確実であると誤解させるべき断定的判断を提供する行為をしてはいけません(宅建業法47条の2第1項)。 実際に売買契約の成立には至らなかったとしても,断定的判断の提供自体が禁止されているので,本肢は宅建業法に違反します。 |
●将来の環境,交通その他の利便について誤解させるべき断定的判断の提供の禁止 |
宅建業者は,宅建業に係る契約の締結の勧誘をするに際し,相手方等に対して,契約の目的物である宅地・建物の将来の環境,交通その他の利便について誤解させるべき断定的判断を提供することは,禁止されています(宅建業法47条の2第3項,施行規則16条の12第1号イ)。 |
2 建物の販売に際して、不当に高額の報酬を要求したが、実際には国土交通大臣が定める額を超えない報酬を受け取った。 |
【正解:違反する】平成11年・問42・肢1,平成18年・問40・肢2, ◆不当に高額の報酬を要求することの禁止 宅建業者が,その相手方等に対して,不当に高額の報酬を要求する行為 をすることは禁止されています(宅建業法47条2号)。 実際には国土交通大臣が定める額を超えない報酬を受け取ったとしても,不当に高額の報酬を要求する行為自体が禁止されているので,本肢は宅建業法に違反します。 |
3 建物の販売に際して、手付について貸付けをすることにより売買契約の締結の誘引を行ったが、契約の成立には至らなかった。 |
【正解:違反する】平成11年・問42・肢2,平成12年・問40・肢3,平成13年・問42・肢2,平成15年・問38・肢3,平成18年・問40・肢3, ◆手付について貸付け等の信用の供与をすることは禁止 宅建業者が,手付けについて貸付けその他信用の供与をすることにより契約の締結を誘引する行為は禁止されています(宅建業法47条3号)。 実際に売買契約の成立には至らなかったとしても,信用の供与自体が禁止されているので,本肢は宅建業法に違反します。 |
4 建物の販売に際して、当該建物の売買契約の締結後、既に購入者に対する建物引渡債務の履行に着手していたため、当該売買契約の手付放棄による解除を拒んだ。 |
【正解:違反しない】 ◆正当な理由なく,手付による解除を拒むことは禁止 宅建業者等は,相手方等が手付を放棄して契約の解除を行うに際し,正当な理由なく,当該契約の解除を拒み,又は妨げることは,禁止されています(宅建業法47条の2第3号,施行規則16条の12第3号)。 しかし,本肢の場合,宅建業者は,既に買主に対する建物引渡債務の履行に着手しているため,買主から宅建業者に対して手付放棄による契約の解除をすることはできません。 したがって,売主である宅建業者が手付放棄による解除を拒んだとしても,宅建業法に違反することはありません。 |