宅建業法 実戦篇

宅建業者の免許の過去問アーカイブス 平成19年・問32 免許の要否・宅建業の定義


 宅地建物取引業の免許(以下この問において「免許」という。)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。  (平成19年・問32)

1 が、競売により取得した宅地を10区画に分割し、宅地建物取引業者に販売代理を依頼して、不特定多数の者に分譲する場合、は免許を受ける必要はない。

2 が、自己所有の宅地に自ら貸主となる賃貸マンションを建設し、借主の募集及び契約をに、当該マンションの管理業務をに委託する場合、は免許を受ける必要があるが、は免許を受ける必要はない。

3 破産管財人が、破産財団の換価のために自ら売主となって、宅地又は建物の売却を反復継続して行い、その媒介をに依頼する場合、は免許を受ける必要はない。

4 不特定多数の者に対し、建設業者が、建物の建設工事を請け負うことを前提に、当該建物の敷地に供せられる土地の売買を反復継続してあっせんする場合、は免許を受ける必要はない。

<コメント>  
 
●出題論点●

 肢1 宅地を区画割りして不特定多数の者に分譲するのは,宅建業に該当する

 肢2 自ら賃貸,管理業務は,宅建業に該当しな

 肢3 破産管財人から依頼を受けて,宅地建物の売買の媒介をするのは宅建業に該当する

 肢4 建築請負契約に付随して,建物の敷地の売買を反復継続してあっせんするのは,宅建業に該当する  

【正解】

× × ×

 正答率  85.9%

1 が、競売により取得した宅地を10区画に分割し、宅地建物取引業者に販売代理を依頼して、不特定多数の者に分譲する場合、は免許を受ける必要はない。

【正解:×

◆宅地を区画割りして不特定多数の者に分譲 ⇒ 免許を受けなければならない 

 宅地を区画割りして,不特定多数の者に分譲する場合は,宅地建物取引業を行うことになるので,免許が必要です(宅建業法2条2号,3条。以下,同じ。)

 分譲販売の媒介や代理を宅建業者に依頼しても,このことには変わりはありません。

区画割りする宅地をどうやって取得したかについては,免許の要否を判断する上で,考える必要はなく,競売で取得したことについては免許の要否には関係ない。

2 が、自己所有の宅地に自ら貸主となる賃貸マンションを建設し、借主の募集及び契約をに、当該マンションの管理業務をに委託する場合、は免許を受ける必要があるが、は免許を受ける必要はない。

【正解:

◆自ら賃貸,管理業務は,宅建業に該当しない

 (賃貸マンションの貸主)  ⇒  (から委託を受けて,借主の募集・契約)  

              └―→  (から委託を受けて,管理業務)

 自ら貸主になる場合()や単に管理業務をする場合()は免許は要りません。

 しかし,は,から委託を受けて,不特定多数の者ととの賃貸借契約の媒介や代理を反復継続して行うので,宅地建物取引業を行うことになり,免許を受けなければなりません。

3 破産管財人が、破産財団の換価のために自ら売主となって、宅地又は建物の売却を反復継続して行い、その媒介をに依頼する場合、は免許を受ける必要はない。

【正解:×

◆破産管財人から依頼を受けて,宅地建物の売買の媒介

 破産管財人が,破産財団の換価のために自ら売主となって,宅地または建物の売却を反復継続して行うのは,破産法に基づく行為として裁判所の監督の下に行われるため,業として行われるものではなく,宅地建物取引業の免許を受けることを要しないとされています(国土交通省の宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)

 しかし,その破産管財人から依頼されて,売買の媒介を行う者は宅地建物取引業に該当し,免許を受けなければなりません。

宅地や建物の売買の媒介や代理を誰から依頼されたかについては,免許の要否を判断する上で,考える必要はない。誰からであろうと依頼されて,宅地や建物の売買の媒介や代理を行うには,宅建業者の免許が必要になる。

 国,地方公共団体(宅建業法78条1項),都市再生機構(都市再生機構法施行令32条1項4号)のように宅建業法が適用されないもの〔免許不要〕,破産管財人から依頼されて,宅地または建物の売買,交換,貸借の媒介・代理を行う者は,宅地建物取引業に該当し,免許を受けなければならない。

 

●国土交通省・宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方
第2条第2号関係

2  その他

(2) 破産管財人は、破産財団の管理処分権を有し、裁判所の監督の下にその職務として財産の処分及び配分を行うものであり、破産財団の換価のために自らの名において任意売却により宅地又は建物の取引を反復継続的に行うことがあるが、当該行為は、破産法に基づく行為として裁判所の監督の下に行われるものであることにかんがみ、法第2条2号にいう「業として行なうもの」には該当せず、当該行為を行うに当たり法第3条第1項の免許を受けることを要さないものとする。

 ただし、当該売却に際しては、必要に応じて、宅地建物取引業者に代理又は媒介を依頼することにより、購入者の保護を図ることが望ましい。

4 不特定多数の者に対し、建設業者が、建物の建設工事を請け負うことを前提に、当該建物の敷地に供せられる土地の売買を反復継続してあっせんする場合、は免許を受ける必要はない。

【正解:×

◆建築請負契約に付随して,建物の敷地の売買を反復継続してあっせん

 不特定多数の者に建物の敷地の売買を反復継続してあっせんする行為は,建築請負契約に付随するもの〔建物の建設工事を請け負うことを前提にしたもの〕であったとしても,宅地建物取引業に該当し,免許を受けなければなりません(建設省・回答・昭和27.8.11)


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