宅建業法 実戦篇
宅建業者の免許の過去問アーカイブス 平成19年・問33 免許の基準
免許権者〔免許の区分〕,免許の欠格要件,免許取消し要件,
宅地建物取引業の免許(以下「免許」という。)に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。 (平成19年・問33) |
1 甲県に本店を、乙県に支店をそれぞれ有するA社が、乙県の支店でのみ宅地建物取引業を営もうとするときは、A社は、乙県知事の免許を受けなければならない。 |
2 宅地建物取引業者B社の取締役が、刑法第209条 (過失傷害) の罪により罰金の刑に処せられた場合、B社の免許は取り消される。 |
3 宅地建物取引業者C社が業務停止処分に違反したとして、免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない場合、C社は免許を受けることができない。 |
4 D社の取締役が、かつて破産宣告を受けたことがある場合で、復権を得てから5年を経過しないとき、D社は免許を受けることができない。 |
<コメント> |
●出題論点● |
肢1
本店で宅建業を行わなくても,宅建業法上は事務所に該当する
肢2 欠格要件に該当しない罰金刑では免許取消しにはならない 肢3 免許を取消された日から5年を経過していない者は免許を受けることはできない 肢4 破産手続開始の決定があっても,復権を得れば,直ちに免許を受けることができる |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
正答率 | 83.1% |
1 甲県に本店を、乙県に支店をそれぞれ有するA社が、乙県の支店でのみ宅地建物取引業を営もうとするときは、A社は、乙県知事の免許を受けなければならない。 |
【正解:×】 ◆本店で宅建業を行わなくても,宅建業法上は事務所に該当する 本店では宅建業を行わず,支店でのみ宅建業を営む場合も,本店は全体を統括する立場にあるので,宅建業を行わない本店も,宅建業法の事務所に該当します(宅建業法3条1項,施行令1条の2第1号)。 本肢の場合,甲県に本店,乙県に支店と,二以上の都道府県にわたって,事務所があるので,国土交通大臣の免許を受けなければなりません。
|
2 宅地建物取引業者B社の取締役が、刑法第209条 (過失傷害) の罪により罰金の刑に処せられた場合、B社の免許は取り消される。 |
【正解:×】 ◆欠格要件に該当しない罰金刑では免許取消しにはならない 宅建業者である法人の役員が,免許の欠格要件に該当する罰金刑に処せられると,免許権者はその法人の免許を取り消さなければなりません(宅建業法66条1項1号,5条1項3号の2)。⇒ 参照・罰金刑で欠格要件になるもの しかし,本肢の場合,刑法第209条 (過失傷害) の罪による罰金刑なので,欠格要件に該当しません。 したがって,B社は免許を取り消されることはないので,本肢は誤りです。 |
●罰金刑で欠格要件になるもの | |
免許を申請する法人の<役員や政令で定める使用人>の中に,
がいる場合, その法人は欠格要件に該当し,国土交通大臣または都道府県知事はその法人に免許をしてはいけません。(宅建業法・5条1項3号の2,7号) |
3 宅地建物取引業者C社が業務停止処分に違反したとして、免許を取り消され、その取消しの日から5年を経過していない場合、C社は免許を受けることができない。 |
【正解:○】 ◆免許を取消された日から5年を経過していない者は免許を受けることはできない 宅建業者であったが,「不正手段による免許取得」,「業務停止処分に該当するが,情状が特に重い」,「業務停止処分に違反」の三大極悪理由により,免許を取り消された場合は,その取消しの日から5年を経過していないと,免許を受けることができません(宅建業法5条1項2号,66条1項8号,9号)。 |
4 D社の取締役が、かつて破産宣告を受けたことがある場合で、復権を得てから5年を経過しないとき、D社は免許を受けることができない。 |
【正解:×】 ◆破産手続開始の決定があっても,復権を得れば,免許を受けることができる 宅建業者である法人の役員に,破産者で復権を得ない者がいる場合は,免許を受けることはできません(宅建業法5条1項1号)。 しかし,かつて破産宣告を受けた〔現在の法律では,破産手続開始の決定があった〕役員が現在では復権を得ているのであれば,復権を得た日から5年を経過していなくても,免許を受けることができます。復権を得れば,直ちに免許を申請できるからです。 |