宅建業法 実戦篇
35条と37条の過去問アーカイブス 平成19年・問40
宅地建物取引業者Aが売主Bと買主Cの間の建物の売買について媒介を行う場合に交付する 「35条書面」 又は 「37条書面」 に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。なお、35条書面とは、同法第35条の規定に基づく重要事項を記載した書面を、37条書面とは、同法第37条の規定に基づく契約の内容を記載した書面をいうものとする。 (平成19年・問40) |
1 Aは、35条書面及び37条書面のいずれの交付に際しても、取引主任者をして、当該書面への記名押印及びその内容の説明をさせなければならない。 |
2 Bが宅地建物取引業者でその承諾がある場合、Aは、Bに対し、35条書面及び37条書面のいずれの交付も省略することができる。 |
3 Cが宅地建物取引業者でその承諾がある場合、Aは、Cに対し、35条書面の交付を省略することができるが、37条書面の交付を省略することはできない。 |
4 Aが、宅地建物取引業者Dと共同で媒介を行う場合、35条書面にAが調査して記入した内容に誤りがあったときは、Aだけでなく、Dも業務停止処分を受けることがある。 |
<コメント> |
●出題論点● |
肢1
肢2 肢3 肢4 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
正答率 | 84.3% |
1 Aは、35条書面及び37条書面のいずれの交付に際しても、取引主任者をして、当該書面への記名押印及びその内容の説明をさせなければならない。 |
【正解:×】 ◆取引主任者の事務 記名押印については,35条書面・37条書面のどちらも,取引主任者がしなければなりません(宅建業法35条5項,37条3項)。 それに対して,内容の説明は,35条書面については取引主任者にさせなければなりませんが,37条書面では取引主任者にさせなければならないという規定はありません(宅建業法35条1項)。 なお,37条書面は,取引主任者の記名押印のほかには,宅建業者が当事者・代理人の場合は契約締結後,媒介の場合は契約成立後に,遅滞なく,契約の当事者に交付しなければならないという規定はありますが,交付にあたって内容の説明を義務付けられているわけではありません。 ●整理● 35条書面と37条書面の比較
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2 Bが宅地建物取引業者でその承諾がある場合、Aは、Bに対し、35条書面及び37条書面のいずれの交付も省略することができる。 |
【正解:×】 ◆宅建業者間の取引でも,35条書面,37条書面の交付義務がある 【原則】 相手方等が宅建業者で,その承諾があったとしても,35条書面,37条書面のどちらも,交付を省略することはできません。 宅建業者間の取引の場合に適用されないのは,自ら売主制限の8種規制だけです。 本肢の場合,Aは,Bに対して,37条書面の交付を省略することはできません。 なお,宅建業者が売買の媒介をする場合,35条書面は買主に対して交付することが義務付けられています。Bは売主なので,Aは,Bに対して,35条書面を交付する必要はありません。 |
3 Cが宅地建物取引業者でその承諾がある場合、Aは、Cに対し、35条書面の交付を省略することができるが、37条書面の交付を省略することはできない。 |
【正解:×】 ◆承諾があっても,35条書面,37条書面の交付を省略することはできない 【原則】 相手方等が宅建業者で,その承諾があったとしても,35条書面,37条書面のどちらも,交付を省略することはできません。 本肢の場合,Cは買主なので,Aは,35条書面,37条書面のどちらも交付しなければなりません。 |
4 Aが、宅地建物取引業者Dと共同で媒介を行う場合、35条書面にAが調査して記入した内容に誤りがあったときは、Aだけでなく、Dも業務停止処分を受けることがある。 |
【正解:○】 ◆共同で媒介を行う場合 【原則】 複数の宅建業者が共同で媒介を行い,共同で35条書面を作成した場合に,そのうちの一の宅建業者が調査して記入した内容に誤りがあったときは,共同で媒介を行った宅建業者のすべてに責任があります。 したがって,本肢の場合,Aだけでなく,Dも,35条の規定に違反したとして,業務停止処分の対象になります(宅建業法65条2項2号)。 |